処方薬とサプリメントを一緒に飲んでも大丈夫?組み合わせによっては危険な場合も
- 作成:2022/05/06
「病院で出してもらった処方薬と、ネットショップで購入したサプリメントを一緒に飲んでも大丈夫なのだろうか」と、ふと疑問に思ったことはありませんか? 薬には飲み合わせがよくない物があります。薬同士の相性が悪いと、逆に悪い作用を起こしてしまうというものです。それはサプリメントと処方薬という組み合わせでも同様です。 そこで本記事では、代表的なサプリメントと併用してはいけない処方薬の組み合わせについて解説していきます。 ご自身が飲んでいる薬とサプリメントの飲み合わせが気になった方は、ぜひ本記事を参考にしましょう。
この記事の目安時間は3分です
そもそも薬とサプリメントの違いとは
そもそも、処方薬とサプリメントの違いや明確な定義について理解している方は少ないのではないでしょうか。ここでは処方薬とサプリメントの定義を確認していきます。
薬(医薬品)とは
医薬品の定義は、「人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、機械器具等でないもの」とされています。
(出典:厚生労働省主管法律 第 4 編 医薬食品 第1章医薬食品 より)
さらに医薬品は厚生労働省による審査に合格し、効果や有効性が科学的に認められなければ世に出ることはありません。厚生労働省による審査は、医薬品の効果や有効性だけでなく、安全性や製造方法や使用量、副作用など様々な観点から総合的に厳しくチェックしています。
上記の審査を通過しなければ、どんなに効果があるとわかっていても医薬品として販売することは不可能です。
中でも一般的に処方薬と呼ばれているものは正式には医薬用医薬品といいます。医薬用医薬品は、医師もしくは歯科医師が発行する処方箋に基づき、薬剤師が調剤する医薬品です。
高い効き目が期待できる反面、副作用が出る恐れもあるため、医師や薬剤師の指導が必要な薬です。ドラッグストアや薬局では購入できません。
サプリメントとは
サプリメントは英語で綴ると「Supplement」で、日本語では「補う」という意味です。近年ではより健康に生きたいという考えからサプリメントを日常的に摂取する人も増えてきています。
サプリメントは健康食品の一種です。健康食品はあくまで「食品」であり、薬とは明確に区別されています。
そもそもサプリメントは「健康な人が栄養補助食品として使うこと」を前提に販売されており、病気の予防や治療効果を期待して飲むものではありません。
【成分別】処方薬との併用に注意が必要なサプリメント
処方薬には一緒に飲むと効き目が弱くなったり逆に強く効きすぎたりする組み合わせが存在します。
これらは処方薬同士の組み合わせはもちろん、処方薬とサプリメントの組み合わせでも起こり得ます。サプリメントだからといって、処方薬との飲み合わせを甘くみてはいけません。
今回はわかりやすいようにサプリメントをビタミン系・特定保健用食品系の2つに分けて、併用に注意が必要な組み合わせを表にして解説していきます。
ビタミン系のサプリ
サプリメントの中でもビタミン系は最もスタンダードで危険性の少ないもののように感じます。しかし、処方薬によって危険な組み合わせも存在するため注意が必要です。
ビタミンの主成分別に、相性の良くない医薬品を紹介していきます。
ビタミンC
1)利尿薬(アセタゾラミド):大量のビタミンCと併用することで腎結石や尿路結石が起こる可能性がある。
2)卵胞ホルモン薬(エストロゲン):ビタミンCによって薬剤の代謝が阻害され、薬の効果が強くなってしまう可能性がある。
ビタミンD
1)強心薬(ジゴキシンなど)は、ビタミンDによって効果が強くなりすぎる可能性がある。
2)活性型ビタミンD3製剤は、ビタミンDとの相互作用によって高カルシウム血症が表れる可能性を高くする。
葉酸
1)抗てんかん薬(フェニトイン製剤):葉酸とともに飲むことで、抗てんかん薬の効果をさげてしまい、けいれん重積を起こす可能性がある。
カルシウム
1)強心薬(ジゴキシンなど):カルシウムと一緒に飲むことで、強心薬の効果が強くなる可能性がある。
鉄
1)甲状腺ホルモン薬、②セフェム系抗生物質:鉄がこれらの薬の吸収を妨害することで、薬の効果が長くなり効きすぎてしまう可能性がある。
特定保健用食品系
特定保健用食品系のサプリにも併用してはいけない医薬品があります。基本的に同じような作用のあるサプリと処方薬は併用しない方がよいでしょう。
血圧が高めな方向けのサプリ(ラクトトリペプチド・かつお節オリゴペプチド・サーデンペプチド・イソロイシルチロシン)
1)高血圧治療薬:降圧作用が増強されるおそれがある
2)カリウム保持性利尿薬:カリウム貯留作用が増強され血清カリウム値が上昇するおそれがある。
血糖が気になる方向けのサプリ(グアバ葉ポリフェノール・難消化性デキストリン・小麦アルブミン・L-アラビノース)
1)糖尿病治療薬:サプリメントも薬の両者とも、糖を分解する酵素の働きを抑える作用を持つ場合、低血糖の症状になる可能性がある。
コレステロールが気になる方向けのサプリ(大豆たんぱく質・キトサン・低分子化アルギン酸ナトリウム)
1)脂溶性ビタミン(ビタミンA・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンK):サプリメント側に含まれる成分には胆汁酸と結合する作用があるため、吸収に胆汁酸を必要とする脂溶性ビタミンや脂溶性薬剤の吸収が減少する可能性がある
【まとめ】処方薬とサプリメントの飲み合わせに不安がある方は薬局へ
本記事では、病院で処方される医薬品と市販のサプリメントの飲み合わせについて解説しました。
サプリメントはあくまで食品という扱いのため、病気の予防や治療をしてくれるものではありません。
ただ、医薬品との併用についてはよく考えて服用する必要があります。危険な飲み合わせについては今回紹介したもの以外にもたくさんあるため、心配な方はまずおくすり手帳と該当するサプリメントを持ってお近くの薬局で相談するとよいでしょう。(注3)
【参考文献】
愛知県薬剤師会.“医薬品との併用に注意のいる健康食品”
医健.“薬のプロを目指しておくなら知っておきたい!サプリメントと薬の違い”.
住友林業.“知らないと危険!シニア世代が注意したい薬の飲み合わせ”
関連するQ&A
関連する記事
このトピック・症状に関連する、実際の医師相談事例はこちら
病気・症状名から記事を探す
- あ行
- か行
- さ行
-
- 災害
- 再放送
- 子宮外妊娠
- 子宮筋腫
- 子宮頸がん
- 子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん
- 子宮頸がん検診・検査
- 子宮頸がんの症状
- 子宮頸がんのリスク・予防
- 子宮内膜症
- 脂肪肝
- 手術
- 出産後の症状・悩み
- 出産準備・入院
- 食事・授乳・ミルク
- 食欲
- 心臓病
- 自閉症
- 女性
- 自律神経失調症
- 腎炎・腎盂炎
- じんましん(蕁麻疹)
- 膵臓がん
- 睡眠
- 髄膜炎
- 頭痛薬、副作用
- 性器の異常・痛み
- 性器ヘルペス
- 性交痛
- 成長(身長・体重など)
- 性病検査
- 性欲
- 生理痛(生理・月経の痛み)
- 生理と薬(ピルなど)
- 生理不順・遅れ(月経不順)
- 摂食障害
- 切迫早産
- 切迫流産
- セミナー・動画
- 前立腺
- その他
- その他アルコール・薬物依存の悩み
- その他胃の症状・悩み
- その他うつの病気・症状
- その他エイズ・HIVの悩み
- その他肝臓の病気
- その他外傷・怪我・やけどの悩み
- その他心の病気の悩み
- その他子宮頸がんの悩み
- その他子宮体がんの悩み
- その他子宮の病気・症状
- その他出産に関する悩み
- その他腫瘍の悩み
- その他消化器の症状・悩み
- その他腎臓の病気・症状
- その他生理の悩み・症状
- その他臓器の病気・症状
- その他皮膚の病気・症状
- その他卵巣がんの悩み
- その他卵巣の病気
- その他流産の症状・悩み
- た行
- な行
- は行
- ま行
- や行
- ら行
協力医師紹介
アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。
記事・セミナーの協力医師
-
白月 遼 先生
患者目線のクリニック
-
森戸 やすみ 先生
どうかん山こどもクリニック
-
法村 尚子 先生
高松赤十字病院
-
横山 啓太郎 先生
慈恵医大晴海トリトンクリニック
-
堤 多可弘 先生
VISION PARTNERメンタルクリニック四谷
-
平野井 啓一 先生
株式会社メディカル・マジック・ジャパン、平野井労働衛生コンサルタント事務所
Q&Aの協力医師
内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。