顔の脂漏性皮膚炎(発疹)と洗顔料、保湿剤によるスキンケア
- 作成:2016/02/16
顔の脂漏性皮膚炎はTゾーンやほうれい線などに起きます。男性では30歳前後、女性は55歳前後で症状が出る方が多いです。洗顔料や保湿剤などでセルフケアは可能ですが、注意点もあります。セルフケアの方法や注意点を含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
Tゾーンやほうれい線に起きる
「脂漏性(しろうせい)」とは皮脂が過剰に出ている状態で、そのために炎症を起こすのが「脂漏性皮膚炎」です。一生のうちでは、何度か皮脂の分泌が多くなる時期があります。まず生まれてすぐの赤ちゃんでは、皮脂が多く分泌されています。そのため70%の赤ちゃんで脂漏性皮膚炎の症状が出るといわれますが、多くは半年ほどで軽快します。その後、思春期になると再び皮脂の分泌が盛んになり、ニキビなどが出やすくなります。脂漏性皮膚炎を発症しやすいのは、さらに年を経て成人してからのほうが多く、男性では30歳前後、女性では55歳前後の方が最も多く症状を訴えます。
脂漏性皮膚炎の炎症を起こすと皮膚が赤くなり、油っぽい黄色い皮膚片が落ちるようになります。脂漏性皮膚炎が起こりやすいのは皮脂腺の発達しているところで、顔の中では額や鼻などのいわゆる「Tゾーン」、法令(ほうれい)線、そして眉や耳です。炎症の程度が極度にひどくなることはありませんが、頭皮や顔からはがれ落ちた皮膚が不潔な印象を与えるのではないかと不安になり、精神的にも悪影響を及ぼしがちです。
脂漏性皮膚炎の起こる原因の一つとして「マラセチア」と呼ばれる、もともと私たちの顔に住んでいる菌の関与が指摘されています。この菌は皮脂を好み、皮脂の多いところで増殖します。さらにストレスや睡眠不足、肥満など生活習慣とも関連していると考えられています。正しく対処して症状がひどくならないようにしましょう。
薬はステロイドやケトコナゾール
顔は脂漏性皮膚炎の症状が出やすい場所で、顔面のみに発症する方は約20%と言われます。顔では皮脂の分泌が多く、マラセチア菌が増殖しやすいことが原因の一つです。炎症がひどい場合にはステロイド薬が処方されます。ステロイドの塗り薬は炎症をうまく抑えて皮膚炎を改善しますが、顔面に長期にわたって使用すると、毛細血管が拡張して、赤ら顔になることがあります。ステロイドを使った治療では、皮膚科医の指示に従うことが大切です。
脂漏性皮膚炎ではマラセチアの増殖を抑えることが改善につながります。基本的には洗顔を怠らず、皮脂の多い部分を重点的にそっと往復して洗ってください。一般には「ケトコナゾール」と呼ばれる抗菌薬を含む、塗り薬が処方されます。また増殖を抑える薬剤を配合した洗顔料や保湿剤などでスキンケアを行うことでも良いでしょう。
抗菌剤入りの洗顔料の選択肢も
脂漏性皮膚炎を悪化させないためには日ごろのケアが重要です。スキンケアの基本は「脂が多く出ている部分を重点的に洗うこと」です。マラセチア菌の増殖を防ぐために毎日行ってください。洗顔に抗菌剤入りの洗顔料を用いるのも良いでしょう。脂漏性皮膚炎の原因菌であるマラセチア菌には、「ミコナゾール硝酸塩」や「ピロクトンオラミン」、「ジンクピリチオン」などの成分が効きます。これらの抗菌剤を含む洗顔料や化粧水は市販されていますので、有効成分を確認してから買い求めましょう
洗いすぎは禁物
炎症したところを清潔に保つためには洗顔は欠かせません。ただし洗い過ぎは禁物です。十分に濡らさない状態でゴシゴシとこすったり、一日に何度も洗顔料で洗ったりすると、刺激が強すぎて皮膚のバリア機能を弱めてしまいます。また洗顔料が皮膚に残ると症状の悪化を招きますので、すすぎは何度も行いましょう。
もともと皮脂の多い部分であるため、過度に油分の多い保湿剤は不向きです。洗顔後には乳液やクリームなどで適度な保湿をすることがお勧めです。男性は女性より皮脂の分泌量が多く比較的皮膚がうるおっていますが、冬期に乾燥が気になるようなら保湿をしましょう。ただし皮膚炎がひどい時には、保湿剤にかぶれて皮膚炎が悪化することがありますから注意してください。
顔の脂漏性皮膚炎の症状や薬などについてご紹介しました。もしかして脂漏性皮膚炎かもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、ご活用ください。
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