鼻、耳、陰部にも起こる脂漏性皮膚炎(発疹)と対応方法
- 作成:2016/02/16
脂漏性皮膚炎は、鼻、耳、陰部に起きることがあります。セルフケアも可能ですが、別の病気が潜んでいる可能性もありますので、注意が必要です。鼻や耳、陰部に起きる脂漏性皮膚炎について、対応方法も含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
鼻に起きる脂漏性皮膚炎
「脂漏性皮膚炎」は皮脂の多い領域に生じるタイプの皮膚炎です。湿疹の一つで、体質とともに環境や体調によって発症しますが、皮膚にもともと住んでいる「マラセチア」という皮脂を好む菌が関わっていると言われています。
脂漏性皮膚炎が起こりやすいのは顔や頭です。顔の中でも症状が出やすいのは、皮脂腺の発達した額や鼻、法令線(ほうれいせん)、耳です。それ以外にも胸や背中、脇または陰部に出ることもあります。男性のほうが皮脂の分泌が多いため発症しやすいのですが、女性にも発症します。炎症を起こすと皮膚が赤くなり、油っぽい黄色い皮膚片が落ちるようになります。あまり重症化することはありませんが、顔や頭皮から皮膚片が落ちることで見た目を気にしたり、不潔な印象を与えるのではないかと不安になったりしがちです。
脂漏性皮膚炎は治療で改善しますが、一度よくなっても再発しやすいため、正しく対処して悪化予防に努めましょう。
耳に起きる脂漏性皮膚炎
耳は脂漏性皮膚炎の症状が出やすい場所です。耳の中ではなく、外から見える部分である「耳介」に症状が出ます。炎症を起こして赤くなり、皮膚片がはがれ落ちたりします。顔や頭皮は毎日丁寧に洗っていても、耳の付け根やシワの奥がうまく洗えていないと発症しやすくなります。シャンプー液や洗顔料が耳についたままになると皮膚炎が悪くなることもあるので、すすぎ残しのないように丁寧に洗いましょう。
脂漏性皮膚炎に似た症状として、耳に症状が出る「尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)」があります。原因も対処法も異なるため、脂漏性皮膚炎の治療を行っても長期に渡って改善しない場合は専門医に相談しましょう。
陰部に起きる脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎は、体に症状が出る場合もあります。皮脂腺の発達した脇やおへその周り、股や陰部に症状が出ることもあり、たいていかゆみを伴います。
スキンケアは他の場所と同様で、皮膚のシワの奥やくぼんだ部分に貯まった皮脂を石鹸で洗い落として清潔に保ちましょう。いずれも皮膚の柔らかい部分ですから、強くこすらずに、そっと洗ってください。脂漏性皮膚炎を起こすマラセチア菌に効果のある成分、「ミコナゾール硝酸塩」や「ピロクトンオラミン」、「ジンクピリチオン」が入った洗浄剤で体を洗うとよいこともあります。石鹸液が残らないよう十分にすすぎ、よく乾かしましょう。乾燥が目立つようならよく洗った後に保湿剤を塗っても良いでしょう。
もともと皮脂の多い部分ですから、保湿剤は控え目に使いましょう。陰部に見られる脂漏性皮膚炎は、カンジダ症など他の病気と紛らわしいこともあります。原因も治療方法も異なりますから、自己判断せず専門医を受診しましょう。
セルフケアは可能か?
脂漏性皮膚炎は体質が関係しているため完全には治りにくいのですが、毎日のケアで再発を効果的に抑えることができます。皮脂の貯まる部位を重点的に洗うのが良いのですが、強くこすって洗うと刺激を与えて、肌のバリアとしての働きを弱めてしまうこともあるので、十分に濡らしてからそっと洗いましょう。洗顔料や石鹸などは、しっかりとすすぎ流すように気をつけましょう。
はっきりした因果関係は不明ですが寝不足やストレス、肥満によって皮膚炎の症状がひどくなることがあります。規則正しい生活を行うようにしましょう。食生活も重要で、食べ物の栄養によって改善することもあると言われます。「多価不飽和脂肪酸」と呼ばれる物資を多く含むサバやサケなどの魚の摂取は、皮膚炎の発症を減らすという報告がされています。たくさんの種類のビタミン類、栄養素を含むバランスのよい食事を心がけましょう。
鼻、耳、陰部に起きる脂漏性皮膚炎についてご紹介しました。もしかして脂漏性皮膚炎かもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、ご活用ください。
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