脂漏性皮膚炎(湿疹)のスキンケアと注意点 病院行かずに治る?
- 作成:2016/01/04
脂漏性皮膚炎は、治療については、医療機関で処方される薬が有効な候補の1つですが、市販のシャンプーや適切なスキンケアで、一時的に効果が出る場合があります。ただ、原因となっている菌を増やさないようにしなくてはいけないほか、シャンプーやリンスなどで症状が悪化するケースがあります。スキンケアの注意点などについて、医師の監修記事でわかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
病院にいかなくても治る?
脂漏性皮膚炎は、初期段階の軽い赤みやかゆみ程度であれば、市販薬やシャンプーで症状を抑える対応はできますので、軽快する可能性は十分あります。しかし、マラセチアは皮膚に常在するカビの一種であるため、環境条件によっては再びカビが繁殖して症状をぶり返す可能性、市販薬やシャンプーが皮膚を刺激して症状を悪化させてしてしまう可能性があります。また皮膚の乾燥を防ぐためのワセリンやクリームなどの保湿剤が合わず、症状を悪化させる体質の方もいます。
個人差はありますが、初期段階で病院に行かず市販薬を使用して脂漏性皮膚炎が完全に治ったという方は少ないようです。過剰に増殖してしまっているマラセチアを抑制するために、病院で処方される抗真菌薬を軽症のうちに使用したほうが良いでしょう。放置して悪化すると、かゆくなって、発疹の出た場所をひっかくために、頭皮であれば脱毛、その他の皮膚であれば患部の化膿を引き起こすリスクがあります。
こすりすぎ、洗いすぎに注意
脂漏性皮膚炎の自己管理(セルフケア)は重要です。日常生活での自己管理は予防そして再発防止にもつながります。脂漏性皮膚炎のセルフケアのポイントは、マラセチアの増殖に関係していると考えられている要因を極力排除することです。マラセチアは皮脂を好んで増殖しますので、スキンケアをする場合、皮脂の多い部分をしっかり洗う習慣を身につけてください。頭部、鼻部、眉、額、顎(あご)が皮脂の多い部分です。古い皮脂は石けんやシャンプーを使って洗い流すようにしましょう。石鹸とシャンプーを比べると、シャンプーの方が、刺激が強いため、まず頭をシャンプーしてから、顔と身体を、石けんをよく泡立て優しく包み込むように洗いましょう。
患部を清潔に保つことは大切ですが、肌の弱い方は、皮膚をこすりすぎると炎症を起こしやすいため注意が必要です。頭皮の脂漏性皮膚炎の場合、フケと勘違いしてしまう方が大変多く、かゆみがひどい、フケがひどい、脂っこいからといって、執拗(しつよう)に洗ったり、強くこすりすぎたりすると、皮膚の炎症を悪化させてしまいます。また自分の肌にあっていないシャンプー、リンス、整髪剤を使用してしまうことも皮膚の炎症や症状を悪化させてしまいます。
その他の自己管理できる要因とは、ストレスのコントロール、症状を悪化させている可能性のあるスキンケア用品の排除、そして生活習慣(睡眠や食事など)の見直しです。
民間療法の情報には注意
脂漏性皮膚炎は、一般的な病院における治療で、通常問題なく改善する病気です。様々な皮膚炎の治療や症状緩和に関して、漢方薬、アロマセラピー、ハーブティー、中国茶、薬草などの効果的な作用や情報が流れていますが、体質改善の補助的な役割を担うものだと理解したほうが良いでしょう。
皮膚炎の場合は、初期段階で民間療法を実施し悪化させてしまうこともあります。自己判断で間違った薬を使用して悪化させたり、別の皮膚炎あるいは接触性皮膚炎(何らかの物質の摂食による皮膚炎)を発症させることもあります。
処方薬は2週間から4週間利用継続を
病院を受診する場合、脂漏性皮膚炎の治療は長期間に渡ります。まず、医療機関で処方された薬を、通常約2週間から4週間使用し続けます。シャンプーや洗顔料は再発防止のため自分の肌に合っている場合は、そのままずっと使用を継続していくことが勧められています。
脂漏性皮膚炎の治療では、炎症を抑えること、抗真菌薬の使用によりマラセチアの増殖を抑制すること、皮脂の分泌を抑えることの3つが目標になります。目標が達成できれば、脂漏性皮膚炎の発症、再発あるいは慢性化を食い止めることができます。脂漏性皮膚炎の治療は、医療機関の診察代および薬局での処方薬にも健康保険が適用されますので、通常自己負担3割です。なお、脂漏性皮膚炎を発症しても入院の必要はほとんどありません。
脂漏性皮膚炎の治療やスキンケアについてご紹介しました。もしかして脂漏性皮膚炎かもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
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