低体温症の原因、症状、低体温との違い 低体温は改善する
- 作成:2015/12/25
「低体温症」は、体の中心部の温度が35度以下に下がる状態で、迅速な対応が必要となります。一方で、「低体温」とは、冷え性の原因となるもので、医学的には低体温症とは異なるものです。原因や症状について、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
低体温症とは何?「低体温」とは違う?
低体温症(ていたいおんしょう)とは、体の中心部の温度が35℃以下に下がってしまった際に起こる様々な症状のことです。
体温を計ったときに36℃を下回る人のことを「低体温」と呼んだりしますが、この場合はあくまで体温を計った脇の下などの部分が36℃に満たないという状態であり、体の中心部はたいてい37℃ほどに保たれています。それに対し低体温症は、病的意義を持ち、処置を要する状態です。俗に言う「低体温」とは別のものです。
低体温症には2つの種類があります。
1つは、偶発性(ぐうはつせい)低体温症です。これは、事故や遭難などの不慮の事態によって引き起こされる低体温症のことです。2011年の東日本大震災の際、まだ寒い季節に体が濡れた状態で救助を待ち続けた人の中に多く発生したのがこの偶発性低体温症でした。
もう1つは誘発性(ゆうはつせい)低体温症と呼ばれ、脳や心臓の手術を安全に行うために患者の体を冷却する医療技術によって起こされます。
低体温症の原因は
低体温症の原因、つまり体の中心部が冷え切る原因は幾つかあります。
まず、低い気温です。寒い冬はもちろん、夏でも山岳部では冬のように寒い場所があります。登山などの際、そのような場所に軽装で出かけてしまうことで低体温症になるというケースがよくあります。
次に、熱喪失状態、つまり体温が奪われてしまった状態です。津波や突然の雨などで衣服が濡れ、気化熱によって体が冷え切ってしまうなどの状態を指します。
次に、熱産生の低下。これは体の中で作られる熱の量が少なくなってしまうことで、日常で起こりやすいのはアルコールの摂りすぎによる場合です。また飢餓や栄養失調、疾患によって起こることもあります。
最後に、体温調節能低下です。もともと人間の体には自分で体温を調節する機能が備わっていますが、主に加齢によってこの機能がは低下していきます。熱産生の低下と同様に、何らかの疾患によって起こる場合もあります。
これらの原因が重なりあったとき、低体温症が発生しやすいとされています。発生を防ぐためには、体を冷やさないようにする備えや習慣が大切ですね。
命にかかわる低体温症の重症化
本来体の中心部は37℃前後に保たれているべきですが、低体温症によって体温が下がるにつれていろいろな症状が起こります。
35℃を下回ると、まず震えが始まります。震えとは、体の筋肉が熱を発生させようとする運動であり、医学的には「寒冷反応(かんれいはんのう)」と呼ばれています。寒冷反応が始まると酸素の消費量が大幅に上がるため、思考能力の低下、歩行困難などの症状が起こることもあります。
更に体温が下がり、30℃以下になると心臓の働きに支障をきたします。致死的な心室細動を含む不整脈が起こる恐れもあります。体に酸素を供給できなくなるため昏睡状態に陥ることもあり、適切な処置を急がなければ命にかかわることもあります。
周りの人が低体温症になってしまったら、すぐに救急車を呼んでください。到着を待つ間にも、衣類や毛布で患者をくるんだり、あたたかい飲み物を飲ませたり、飲むのが困難ならば脇の下や太ももの付け根などの部分にあてて保温することが大切です。
低体温は、規則正しい生活で解消を
低体温症ではなく、日頃から体温が36℃以下となる「低体温」の場合もいくつかの症状が出ることがあります。
代表的なのは冷え症です。女性によくある症状として知られていますね。体温が低く血行が悪いため、体の末端の部分、特に指先やつま先などが冷えやすくなります。同じく血行が悪いことにより、生理痛やむくみが起こることもよくあります。他にも、消化が悪くなる、免疫力が落ちて風邪にかかりやすくなるなどの症状があります。
改善のためには、規則正しい生活とバランスの取れた食生活が一番有効です。軽い運動をするのも良いでしょう。
低体温症ついて原因や症状、低体温との違いをご紹介しました。体の冷えに不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
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