子宮頸がんワクチンの副作用の症状とは?接種が勧められなくなった経緯も解説
- 作成:2016/01/07
子宮頸がんは若い世代の女性に発症するがんの1つです。子宮頸がんワクチンは、世界的には有効性が認められているものの、日本においては副作用(正確には副反応)との関係が指摘されています。症状としては、全身の痛みやしびれを訴えるケースがあるようですが、因果関係ははっきりしていません。医療には、リスクが付き物な側面がありますので、効果とリスクを知ったうえで、方針を決めましょう。
この記事の目安時間は6分です
目次
- 毎年1万人が発症する子宮頸がん
- ウイルスには性交で感染する
- 子宮頸がんワクチンの効果とは?回数は?
- 各国で進むワクチン接種
- ワクチンに副作用がある?因果関係は?
- ワクチン接種が勧められなくなった経緯
- ワクチンと関係なく、定的な検査を
毎年1万人が発症する子宮頸がん
子宮頸がんは子宮の入り口の近くの子宮頸部にできるがんのことで、日本では、毎年約10000人に発症し、約3500人が亡くなっています。喫煙など他の原因も考えられますが、子宮頸がん患者の90%以上にヒトパピローマウィルス(HPV)の感染を認めるため、ヒトパピローマウィルスによる長期にわたる持続的な感染が主な原因と考えられています。ヒトパピローマウィルスは100種類以上存在しますが、子宮頸がんを起こすものは約15種類と言われています。
ヒトパピローマウィルスは子宮頸がんだけではなく、咽頭がん、喉頭がん、膀胱がん、肛門がんなどの原因にもなると言われています。
ウイルスには性交で感染する
ヒトパピローマウィルスは性交でうつると考えられており、性交経験のある女性の80%が感染していると言われています。感染したからといって、必ず少々が出るわけではなく、ほとんどは2年以内に自然に排出されると考えられています。
ただ、一部の女性で、子宮頸部の粘膜内で、ウイルスが持続感染を起こし、10年から20年かけて子宮頸がんを発症します。宮の入り口付近のがんであるため、観察や検査が行いやすく、婦人科健診や診察で発見されやすいがんであるといえます。早期発見の場合、比較的治療しやすく、良くなりやすい癌だとされています。
20代後半から増え、30代後半が発症のピークになっています。近年では20代30代の女性にも増えています。
子宮頸がんになった場合は、初期の頃にはほとんど症状がありませんが、月経中以外での出血、性行為中の出血、普段見たことがないおりものの増加、生理が長引くなどが見られた場合は、受診しましょう。
子宮頸がんワクチンの効果とは?回数は?
子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウィルスの中でも、ヒトパピローマウィルスの16と18の型は、全体の50%から70%を占めると言われています。
子宮頸がんワクチンは、このヒトパピローマウィルス感染に対する予防接種のことです。この型のウィルスに対するワクチンが、世界各国で接種されています。ワクチンを接種しておくと、子宮頸がんを90%以上予防できると考えられています。
なぜ予防が期待できるかというと、子宮頸がんワクチンは、侵入したHPVを体から排除する「抗体(こうたい)」を作らせ、HPV感染を防ぐためです。酢おとロング抗体とは、ウイルスや細菌など自分とは違った異物を体から追い出す物質です。
子宮頸がんワクチンは一定の間をあけて、合計3回接種します。1回から2回では十分に抗体ができないため、3回の接種が必要なのです。
ただし、このワクチンは必ず子宮頸がんを予防するわけではありません。前述のように、HPVには100以上の種類があります。その中でも子宮頸がんの原因の50%から70%を占めると言われるHPV16型、18型のウイルスをワクチンで予防できます。しかし、他にもがんの原因になるHPVウイルスがあり、ワクチンで対応できないウイルスには効果がありません。
ワクチンを接種しなかった場合と比べると、がんになる率は低下しますが、ワクチン接種をしたからといって、必ずしもがんにならないわけではありません。ワクチンを接種しても、定期的な子宮頸がん検診をすることが重要になります。
各国で進むワクチン接種
性交によってウィルスに感染するため、ワクチンは性交経験前の女児が、最も接種すべきと言われています。世界では、日本よりも先に接種が始まっており、オーストラリア、アメリカでは11歳から12歳の男女に、イギリスでは12歳以上の女児に接種されていました。国際的にはがんを予防できる有効なワクチンで、安全性にも問題ないとされ積極的な接種が勧められています。
ワクチンに副作用がある?因果関係は?
薬に対する体への予期しない(よくない)影響は「副作用」と言いますが、ワクチンに対するものは「副反応」と呼びます。ここでは、説明を簡単にするために、「副作用」という言葉を使います。
日本では、一時12歳から16歳の女児に対し子宮頸がんワクチンが定期接種となりましたが、ワクチン接種後の副反応で、全身の痛みやしびれを訴える事例があり、2015年の時点では、積極的な接種の勧告を控えている状況です。
ワクチンとの関連性に対し専門家が調べた結果、明らかな因果関係は見つけられていません。思春期の女性には、同様の症状が一定の割合で起こるため、ワクチンによるものかどうかははっきりしないという結論になっています。
副反応とはワクチンに対する体の様々な反応のことで、かゆみや痛み、腫れなどから、重いものだと今回問題になったような「複合性局所疼痛症候群(原因は不明で、全身が痛くなる)」やアナフィラキシーショックがあります。その他の症状では、めまい、蕁麻疹、発熱などが副作用全体の1%から10%未満で、しびれ感、全身の脱力が1%未満に見られると報告されています。
ワクチン接種が勧められなくなった経緯
厚生労働省は、副作用の報告があったことから、ワクチンの定期接種を行うべきか、専門家による検討を行いました。ワクチン接種で得られる、「がんの予防」という利益と、接種しない場合の「がんの発生」という不利益を、比較考慮した結果、ワクチン接種を全面的に中止するほどではないとされました。
しかし副作用がでることはありますので、副作用がどの程度発生するか等、より明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間、ワクチン接種は積極的に勧めるべきでないとされました。現在は、子宮頸癌ワクチンの接種は積極的には勧められていません。
ワクチンと関係なく、定的な検査を
子宮頸がんの予防は、ワクチン以外にも、定期的ながん検診が有効です。ワクチンは世界的には安全で推奨されていますが、日本では勧められていない状況です。国内で受けることも可能ですが、副反応が心配な方もいると思いますので、リスクと副反応を天秤にかけて、どちらが良いかよく考えて接種するようにしてください。
ワクチンを接種した場合でもしない場合でも、早期発見には2年に1度の子宮頸がん検診を受けるようにしましょう。現在では各自治体で子宮頸がん検診が行われており、20歳から受けることができます。がん検診の受診券を持って産婦人科に行くと、ブラシなどで子宮の入り口をこすり、その中にがんやがんの前の状態である「異型細胞」という細胞がないかを調べます。
子宮頸がんの発症は20歳代後半から増えていきますので、検診も20歳以上の女性が対象です。詳しくは住民票のある自治体(市区町村)に確認をしてみてください。
子宮頸がんは、早期に発見できれば比較的治療しやすく、治りやすいがんです。ただ、子宮頸がんは、最初は自覚が全くなく、進行すると不正性器出血や性交時の出血、足腰の痛みや血尿を認めます。
ワクチンは前述のように、子宮頸がんの予防効果が期待できますが、必ず予防できるわけではありません。ですので、ワクチンを接種する場合でも、子宮がん検診を受けましょう早期発見のために検診は欠かさずに行きましょう。
子宮頸がんワクチンの副作用(副反応)についてご紹介しました。子宮頸がんを不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
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