もやもや病の原因、症状、診断基準 遺伝する?「類もやもや病」の意味も解説

  • 作成:2016/10/15

もやもや病は、手足の麻痺やけいれんなどが症状として出る病気で、遺伝が関係している可能性が指摘されています。ただ、非常に診断が難しい側面があります。診断基準を含めて、専門医師の監修記事でわかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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もやもや病は遺伝する?

原因は未だ不明 遺伝子の関係があるとの指摘も

もやもや病の原因は未だ解明されていません。現在のところ、もやもや病の遺伝的素因に、様々な環境要因が作用して発症する「多因子が関与する病気」と考えられています。つまり、何か1つの原因のみで発症するとは考えられていません。ただ、最近になって「RNF213遺伝子」と呼ばれる遺伝子など、特定の遺伝子異常を持つ人はもやもや病を発症しやすいことが分かっています。

もやもや病は家族内発症する(家族に発症者がいて、家族の別の人が発症すること)方が、10%から12%程度にいると言われています。しかし、もやもや病の患者さんから生まれたお子さんが、必ずもやもや病を発症するわけではありません。とはいえ、家族内にもやもや病の患者さんがいれば、早めに検査を受けてみると良いでしょう。早期発見・早期治療をすることで、脳梗塞(のうこうそく)や脳出血など脳卒中の症状で発症するリスクを下げることができます。

もやもや病の大人の症状

成人に起こるもやもや病の症状は様々です。典型的な症状として、「手足の麻痺(まひ)」、「言葉が話せなくなったり」、「ろれつが回らない」などが挙げられます。一過性脳虚血(のうきょけつ)症状(「TIA型」)といわれ、小児でも同様の症状がよく見られます。また、もやもや血管は破たんしやすいため、成人では脳内出血やくも膜下出血が起こることも多く(「出血型」)、突然の頭痛や、意識の消失が症状となることもあります。他に、「脳梗塞型」「てんかん型」「頭痛型」「無症状型」などがあります。症状が多様なため、出る症状のタイプごとに型があるわけです。

もやもや病の子供の症状

一方、小児のもやもや病は、過呼吸になりやすい行動(号泣、笛を吹く、かけっこなど)で誘発され、脳虚血の症状が出ることが多くあります。具体的には、急に力が抜ける「脱力発作」、意識消失、けいれん、不随意運動(自分の意思ではなく起こる動き)などがあります。また、くり返す頭痛も、よくみられる症状です。脳梗塞で発症した場合は、麻痺や失語(しつご;言葉の障害)などの他、精神発達遅延、知能低下や学習障害が前面に現れることもあります。年齢的には、5歳以下の乳幼児で脳梗塞発症(重症例)が多くなっています。

もやもや病の診断基準

もやもや病の基本的な形としては、両側内頚動脈終末部(頚動脈の終わる部分、頭の中心のあたりにあります)が狭くなることが、慢性的進行んでいき、「側副路(そくふくろ;バイパス)」として脳底部(のうていぶ;大脳の下面です)などに、「異常血管網(もやもや血管)」が形成されます。診断基準は以下のようになっています。

(1)診断上、脳血管を評価するために脳血管造影[またはMRA(Magnetic Resonance Angiography;磁気共鳴血管造影)]などの画像検査が必要で、少なくとも次の所見がある。
①頭蓋内内頚動脈終末部を中心とした領域に狭窄(せまくなること)または閉塞(つまること)がみられる。
②もやもや血管(異常血管網)が動脈相(どうみゃくそう;血管造影で動脈が写ってくるタイミング)で見られる。

(2)もやもや病は原因不明の疾患であり、下記に伴う類似の脳血管病変は除外する。
①動脈硬化が原因と考えられる内頚動脈閉塞性病変
②頭部放射線照射の既往

つまり、動脈硬化が原因とみられる場合や、がんの治療などで、頭部に放射線を受けたことがある方は、「もやもや病」とは診断されないこととなます。

「類もやもや病」って何?

もやもや病と類似した血管変化が起きる病気は、もやもや病い以外にも多数あり、「もやもや症候群」または「類もやもや病」として、もやもや病とは区別されてきました。具体的には、自己免疫性疾患(SLEなど)、髄膜炎、フォンレックリングハウゼン病、脳腫瘍、ダウン症候群、頭部外傷など、様々な病気が含まれます。

現在のもやもや病を認定する上では、診断基準の(1)の特徴的な血管の変化があり、(2)の除外に該当しなければ、「類もやもや病」の診断基準を満たすため、「広義のもやもや病」と診断されます。広義もやもや病の中身を整理すると、以下の通りです。

・もやもや病両側例→典型的なもやもや病
・もやもや病片側例→もやもや病による血管の変化が、片方にしか見られない
・類もやもや病

もやもや病の原因と症状についてご紹介しました。もしかして○かもしれないと不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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