糖尿病の原因とメカニズム 遺伝する?インスリンって何?

  • 作成:2016/03/15

糖尿病の原因としては、甘い食べ物以外に遺伝もあります。そもそも糖尿病とはどんな状態なのかを理解しておくと、予防につながる可能性があります。糖尿病の原因などについて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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糖尿病とは?インスリンとは?

糖尿病は、膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンが足りなくなったり、十分働かなくなってしまうために起こる病気です。私たちは、ご飯やパン、くだものや砂糖、アルコールなどに含まれる糖質をとると、体内で消化吸収されてブドウ糖に変わり、血液の中を流れます。血液の中に含まれるブドウ糖の量を示したものが「血糖値」です。血糖は、インスリンの働きによって、体内でブドウ糖を必要とする各部位の細胞へと吸収され、からだを動かすエネルギー源になったり、グリコーゲンという物質に変化してから肝臓に蓄えられます。

しかし、インスリンの働きが十分でないと、体内の各部位で血液中のブドウ糖を取り込むことができなくなってしまいます。すると、血液中は次第にブドウ糖の量が多くなって血糖値が高くなります。そして、高血糖の状態が続いているのが糖尿病なのです。

2つのタイプ 1型と2型とは何か?

糖尿病は、「1型糖尿病」と「2型糖尿病」の2種類に分けられます。1型糖尿病は、何らかの原因で膵臓からインスリンがほとんど分泌されなくなってしまうために、インスリンが欠乏してしまう状態です。1型糖尿病の場合、体内でインスリンを作り出すことができないために、血糖値を正常範囲内に近づけるために、外からインスリンを補うことが生涯にわたり必要となります。

2型糖尿病は、生活習慣の影響などにより、膵臓からインスリンが出にくくなったり、血液中からインスリンを受け取る細胞の働きが低下したりすると、血液中のブドウ糖が多い高血糖の状態となります。高血糖の状態が慢性化すると「2型糖尿病」と診断されます。

日本人の場合、糖尿病と診断された患者さんのほとんどは2型糖尿病であり、患者の多くは、日ごろの生活習慣が原因で糖尿病を発症しているとみられています。ただし、食生活の改善や適度な運動などによって、血糖値を正常範囲にすることが十分可能です。

糖尿病となる食べ物は、甘いもの以外も 遺伝の場合も

家族の中に糖尿病にかかった人がいたり、肥満の人がいる場合は、生まれつき糖尿病になりやすい体質であると考えられています。しかし、2型糖尿病を発症する原因として、遺伝の影響はゼロではないものの、原因の大半は生活習慣や環境などの影響によるものとされています。

2型糖尿病の発症は、食生活が最も大きく影響していると考えられています。近年、わが国で糖尿病患者が増加し続けているのは、脂質が多く欧米化した食事が一因と考えられています。糖尿病は、甘いものの食べ過ぎが原因と思っている人も少なくないようですが、甘いものを食べなくても、普段から食事やおやつを食べ過ぎたり、大量の飲酒をしたりする習慣を続けると、糖尿病の発症リスクが高くなります

体内でインスリンが作られなくなる1型糖尿病の場合、遺伝で自己免疫異常を起こしやすい体質の場合は発症の可能性が高くなると考えられていますが、1型糖尿病の発症原因としては、遺伝以外にもウィルス感染や生活環境など多数の要素が複雑に関係しているとみられています。

肥満や喫煙もリスクに

2型糖尿病を発症する原因として、食生活以外の生活習慣も大きく関係しているとみられ、とくに肥満は糖尿病の一因とされています。普段から食事やおやつをたくさん食べたり、大量の飲酒をしていても、適度な運動で摂取した分のカロリーを消費していれば問題ありません。しかし、運動不足の状態が続くと肥満となり、糖尿病の発症リスクが高くなるのです。

また、喫煙も糖尿病発症のリスクを高くすることがわかっています。これは、喫煙によって、自律神経の一種である交感神経を刺激し、体内のインスリンの働きを妨げるために血糖値が上昇しやすいからです。喫煙以外では、睡眠不足や過剰なストレスなども、交感神経を刺激することから、糖尿病に悪影響を与えていると考えられています。

糖尿病について原因やメカニズムをご紹介しました。もしかして糖尿病かもしれないと不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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