妊娠糖尿病の検査と血糖値の基準 再検査の意味や費用は?
- 作成:2016/01/14
妊娠糖尿病の検査は、随時血糖値を測定する方法と、実際に体にブドウ糖を取り入れてみて、血糖値がどう変化するかを見る検査の2つがあります。それぞれ基準をなる値がありますので、「再検査」の意味合いも含めて、医師の監修記事でわかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
2種類の妊娠糖尿病の検査
妊娠糖尿病のスクリーニング検査は、妊娠初期と妊娠中期である24週から28週で行うことが推奨されています。
検査方法には随時血糖値を測定する方法と「ブドウ糖負荷試験」と呼ばれものがあります。随時血糖とは空腹ではなく、食事もいつもと同じように摂っている時の血糖値のことです。
ブドウ糖負荷試験には「50gブドウ糖負荷試験」と「75gブドウ糖負荷試験」があり、可能性を選別するスクリーニング検査としてまず50gブドウ糖負荷試験が行われます。
50gブドウ糖負荷試験は、空腹の状態で検査します。空腹時に採血と尿検査を行い、その後にブドウ糖の含まれている甘い飲み物を飲みます。
1時間後に140mg/dl以上であれば妊娠糖尿病の疑いがあると判断されます。
「再検査」が即、妊娠糖尿病の確定ではない
50gブドウ糖負荷試験で糖尿病の疑いがあった場合には、再検査が行われます。再検査では、75gブドウ糖負荷試験が行われます。
空腹時の血糖値と、ブドウ糖を体内に入れてから1時間、2時間の血糖値を測定して診断します。
再検査と言われると不安になる妊婦さんも多いと思いますが、再検査をして陰性になることもあるので心配しすぎないようにしましょう。
妊娠糖尿病は胎児に異常を起こすだけでなく、流産、早産のリスクがあります。 また母体にも悪影響を及ぼし、将来糖尿病を引き起こす可能性が高くなります。
75gブドウ糖負荷試験を行うと、全体の妊婦の7から9%で妊娠糖尿病と診断されます。
再検査と言われた時には、忘れずに、病院で検査を受けるようにしましょう。
検査費用は保険適用となる
妊娠糖尿病の検査費用は保険適用となるため、3割負担です。
また妊娠糖尿病と診断されて管理入院が必要と言われた場合にも、入院費用は保険適用で3割負担となります。
妊娠糖尿病の検査費用は病院による若干の違いもありますが、3000円程度と考えられます。
入院の場合には、入院期間によって費用が違います。1週間程度だと保険適用でも10万円以上かかることもあります。
妊娠糖尿病の血糖値の数値基準
妊娠糖尿病は妊娠して初めて発見または発症した糖尿病のことを言います。2010年にガイドラインが変更され、妊娠糖尿病と診断される確率が高くなりました。
これは妊娠初期、または中期において、母体の糖代謝に異常があると、胎児に異常を起こしやすいだけではなく、早産や流産、また母体にも「妊娠高血圧症候群」を起こす危険性があるため、厳しく管理した方が良いからです。
妊娠糖尿病の血糖値の数値基準としては、スクリーニング検査である50gブドウ糖負荷試験では「140mg/dl以上」の場合には「陽性」と考えます。
再検査で行われる75gブドウ糖負荷試験の場合には、「空腹時、血糖値≧92mg/dl」「負荷後1時間値≧180mg/dl」「負荷後2時間値≧ 153mg/dl」のいずれか1つを満たした時に、陽性と考えます。
妊娠時に診断された、明らかな妊娠と関係ない糖尿病の診断基準は、「空腹時126mg/dl以上」「HbA1cが6.5%以上(血液の高血糖状態を示す指標)」「明らかな糖尿病網膜症が存在する」「随時血糖値200mg/dl以上」のいずれか1つを満たした場合に、糖尿病と確定して診断されます。
妊娠時に診断された明らかな糖尿病は妊娠する前から糖尿病であった可能性が高いと判断されるため、妊娠糖尿病とは分けて考えます。
治療方法は食事療法とインスリン療法が中心になるので同様ですが、出産後に糖尿病に移行する可能性が高いため厳重に管理して、経過を観察することとなります。
【妊娠糖尿病関連の他の記事】
- 妊娠糖尿病の原因、症状、予防 自覚症状は?なぜ気づきにくい?ストレスでもなる?
- 妊娠糖尿病の時の食事の考え方 おやつや外食はだめ?糖質制限の意味も解説
- 妊娠糖尿病の治療 「食事療法」「管理入院」とは?運動はできない?ストレスは治療に影響?
- 妊娠糖尿病の胎児・母体への影響 奇形・巨大児が多い?切迫早産、帝王切開との関係も解説
- 出産後の妊娠糖尿病 治療不要?産後の検査と要治療の基準値も解説
妊娠糖尿病の検査と血糖値の基準についてご紹介しました。もしかして妊娠糖尿病かもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
関連するQ&A
関連する記事
このトピック・症状に関連する、実際の医師相談事例はこちら
病気・症状名から記事を探す
- あ行
- か行
- さ行
-
- 災害
- 再放送
- 子宮外妊娠
- 子宮筋腫
- 子宮頸がん
- 子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん
- 子宮頸がん検診・検査
- 子宮頸がんの症状
- 子宮頸がんのリスク・予防
- 子宮内膜症
- 脂肪肝
- 手術
- 出産後の症状・悩み
- 出産準備・入院
- 食事・授乳・ミルク
- 食欲
- 心臓病
- 自閉症
- 女性
- 自律神経失調症
- 腎炎・腎盂炎
- じんましん(蕁麻疹)
- 膵臓がん
- 睡眠
- 髄膜炎
- 頭痛薬、副作用
- 性器の異常・痛み
- 性器ヘルペス
- 性交痛
- 成長(身長・体重など)
- 性病検査
- 性欲
- 生理痛(生理・月経の痛み)
- 生理と薬(ピルなど)
- 生理不順・遅れ(月経不順)
- 摂食障害
- 切迫早産
- 切迫流産
- セミナー・動画
- 前立腺
- その他
- その他アルコール・薬物依存の悩み
- その他胃の症状・悩み
- その他うつの病気・症状
- その他エイズ・HIVの悩み
- その他肝臓の病気
- その他外傷・怪我・やけどの悩み
- その他心の病気の悩み
- その他子宮頸がんの悩み
- その他子宮体がんの悩み
- その他子宮の病気・症状
- その他出産に関する悩み
- その他腫瘍の悩み
- その他消化器の症状・悩み
- その他腎臓の病気・症状
- その他生理の悩み・症状
- その他臓器の病気・症状
- その他皮膚の病気・症状
- その他卵巣がんの悩み
- その他卵巣の病気
- その他流産の症状・悩み
- た行
- な行
- は行
- ま行
- や行
- ら行
協力医師紹介
アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。
記事・セミナーの協力医師
-
白月 遼 先生
患者目線のクリニック
-
森戸 やすみ 先生
どうかん山こどもクリニック
-
法村 尚子 先生
高松赤十字病院
-
横山 啓太郎 先生
慈恵医大晴海トリトンクリニック
-
堤 多可弘 先生
VISION PARTNERメンタルクリニック四谷
-
平野井 啓一 先生
株式会社メディカル・マジック・ジャパン、平野井労働衛生コンサルタント事務所
Q&Aの協力医師
内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。