性交(セックス)後の出血、腹痛、頭痛 鮮血に意味?受診が必要?

  • 作成:2016/01/25

性交(セックス)で起きる出血については、病気ではない膣部分のびらんが原因の場合があります。ただ、子宮頸がんの可能性もあるので注意が必要です。なお鮮血も含めて血の色と、病気の因果関係は不明ですので、不安な人は一度婦人科を受診してみましょう。また腹痛も、すぐに治るようならば問題ありませんが、長引く場合は子宮内膜症の可能性があります。性交後の出血と腹痛や頭痛も含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

近藤恒正 監修
落合病院 副院長
近藤恒正 先生

この記事の目安時間は3分です

目次

性交後の出血は子宮びらんが原因最多

性交後の出血は、「接触出血」といいます。性交後の出血の原因で最も多いのは、「子宮腟部びらん」です。びらんというのは、組織の一番上の層の細胞がはがれてただれている状態です。

子宮腟部びらんとは、子宮腟部(子宮の最下部で腟内に出ている部分)がただれて見える状態ですが、実は本当のびらんではないのです。子宮口付近が赤くザラザラとして、周囲の「扁平上皮」と呼ばれる領域に比べて、「円柱上皮」と呼ばれる領域がただれてみえるのですが、細胞がはがれているわけではなく、決して病気ということではありません。

子宮腟部びらんは珍しいものではなく、この状態が起こるには女性ホルモンのエストロゲンが関与しているともいわれています。個人差はありますが、月経がある女性であれば誰でもびらんが見られる可能性があります。

びらんの面積が広いと粘液の分泌量が多くなるため、それが「おりもの」として自覚されますが、炎症(頸管炎や腟炎)を併発していなければ、おりもの自体は悪臭もなく、またかゆみもありません。

しかし、びらんは物理的な刺激(摩擦など)に対して大変敏感なため、性交の際にペニスが挿入され、びらんで摩擦が起こると、性交後に出血することがしばしばあります。

子宮頸がんの可能性も

びらんの次に考えられる性交後の出血の原因としては、「子宮頸がん」があります。子宮頸がんは子宮の入り口付近で発生するがんですが、通常、子宮頸がんを発症していても、症状が出ない場合が多いです。

自覚症状としては、性交後の出血やおりものの異常などがあげられています。

血の色と病気の関係は不明

性交後の出血の色は、鮮血、ピンク色、茶色、濃い目の黒っぽい赤色など様々ですが、出血の色と病気との関係は報告されていません。

長引く出血、おりものの増量に注意

性交後に出血があった場合には、婦人科を受診しその原因を探る必要があります。まず、出血したら月経時と同様にナプキンをあてるなどして対応してください。

痛みがない場合や、出血がすぐに治まる場合であっても、病気でないかどうか確認するために一度婦人科を受診してみましょう。

検査で子宮腟部びらんと診断された場合は、病気ではないため治療の必要はありません。しかし、「量は少量でも出血が長引いている」「おりものの量が増えてきている」など異常な状態がみられる場合は、頸管の炎症を併発している可能性、もしくは子宮頸がんの可能性があります。

びらんが、子宮頸がんなのかということに関しては、「細胞診」や「コルポスコープ」と呼ばれる検査を行って、医師が判断します。

子宮頸がんの場合には、治療が必要になります。頸管炎(頚管で起きる炎症)と考えられる場合にも、クラミジアなど原因を調べながら治療を行うことがあります。

性交後の腹痛は子宮内膜症の可能性

性交直後に下腹部が痛む場合は、挿入されたペニスが周辺臓器に当たり、振動や圧迫を与えるため痛みを感じやすくなっている場合があります。性交後の一次的な腹痛であれば、特に問題はありません。しかし、毎回痛みがあったり、痛みがひどくなる場合には「子宮内膜症」の可能性があります。

子宮内膜症は、本来子宮の内側にしか存在しないはずの子宮内膜が、子宮以外の場所で増殖しはがれ落ちることを繰り返す病気です。

通常、子宮内の内膜であれば、はがれ落ちると月経となって体外へ排出されますが、子宮以外の場所では増殖したままとどまるため、その部分で起きる出血により、古い血液がたまったり、周囲に癒着(本来くっついていないところがくっつくこと)を引き起こします。

癒着があると、性交で圧迫されたりした際に、その部分が引っ張られることで痛みの原因となることがあります。子宮内膜症が発生しやすい場所は、腹膜、卵巣、子宮と直腸の間のくぼみなど骨盤内がほとんどです。

子宮内膜症では、ひどい月経痛、不正出血、月経時以外の下腹部痛、そして性交痛などが自覚症状としてあげられています。

長引く腹痛、悪化する腹痛なら受診を

性交後に腹痛があっても、一時的な痛みの場合は安静に横になっていれば痛みが治まる場合が多くあります。特に排卵の時期に性交を行いますと、普段よりも痛みが強くなることがありますが、そういった痛みは異常なものではありません。

しかし、痛みが長引いたり、ひどくなる場合には、何らかの異常が起こっている可能性がありますので、すぐに婦人科を受診しましょう。

性交で頭痛が起きる?病気?

性交(セックス)で頭痛が起こることを「性行為に伴う一次性頭痛」といいます。

「オルガスム前頭痛(頭痛が徐々に進行するタイプ)」と「オルガスム時頭痛(突然の激痛タイプ)」の2つに分類されていますが、どちらも、原因は、セックスによるオルガスム(性的興奮)の増強といわれています。

発作は、特別なセックスの体位や習慣などには関係しておらず、発生箇所は、頭部の両側(約67%)、全体あるいは後頭部(約76%)が多くなっています。また拍動性(脈にあわせてズキンズキンとする)の頭痛の傾向が高くなっています。

セックスを中断すると頭痛(発作)が治まる場合がほとんどです。ただし、「インドメサシン(抗炎症作用)」「エルゴタミン(血管収縮薬:偏頭痛の治療薬として有名)」「プロプラノロール(不整脈、高血圧、心筋梗塞、偏頭痛の治療薬)」によって痛みを和らげる効果がある場合もあります。

頭痛は検査が必要に

「オルガスム時頭痛(突然の激痛タイプ)」は、「突発性そして爆発性を伴う重度の頭痛」といわれています。頭痛の原因がくも膜下出血や動脈解離でないことを確認するためには、MRIやCTスキャンが必要になります。

セックス中の突然そして激しい強度の頭痛があった場合は、必ず神経内科などで診断を受けてください。

セックスをすると必ず頭痛がする場合は、無理をせずに、必ずパートナーの男性と話しをしてみましょう。セックスを中断することで頭痛が治まるため、セックスを中断することが一番良い対策です。

ただ、「セックスをしない」という選択肢が現実的でない場合もありますので、医師に相談し、偏頭痛の予防として用いられている頭痛薬(主にエルゴタミン)を処方してもらう方法もあります。

性交で起きる出血や腹痛についてご紹介しました。性交後の出血や腹痛を不安に感じていたり疑問が解決されない場合には、医師にお気軽に相談してみませんか?

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