アナフィラキシーショックとは?原因と症状 発症までの時間は?

  • 作成:2016/04/27

アナフィラキシーショックという言葉を聞いたことがある人は少なくないと思いますが、実際に非常に危険な症状です。原因も食物や蜂以外にも多様です。アナフィラキシーショックについて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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アナフィラキシーショックとは何?

アナフィラキシーとは?アナフィラキシーショックとは?

アナフィラキシーショックとは、アレルギー反応の一種です。私たちの身体には、ウイルスや細菌などの身体に対する外敵が入ってきたときにやっつけようとする「免疫」という機能が備わっています。この免疫が外敵だけでなく、食べ物など、本来害のないものにまで過剰に反応して身体に良くない症状を引き起こすことをアレルギーと言います。

アレルギーにはIからIVまで4つのタイプがありますが、このうちのIのタイプを特別に「アナフィラキシー」と呼んでいます。アナフィラキシーの場合、アレルギーの原因となる物質が身体に入ってから数分から数時間という短い時間で症状が急激に発症し、全身の発疹や痒み、顔面のはれなどの他、症状が重い場合は呼吸困難や血圧低下、意識障害といった症状をもたらします。このように血圧が下がったり呼吸や意識の状態が悪くなり、生命に危険な状態になることを医学的な用語で「ショック」といい、アナフィラキシーによって引き起こされたショックを「アナフィラキシーショック」と呼んでいます。

アナフィラキシーショックは早急に治療しないと命にかかわる場合があり、日本では年間50人から70人程度がアナフィラキシーショックによって亡くなっています。

アナフィラキシーショックの症状

アナフィラキシーの症状は様々ですが、最も多いのは全身の蕁麻疹(じんましん)、発赤(赤くなること)、かゆみなどです。粘膜の症状としては目の周りや唇が腫れてきたり、重い場合は顔面全体が腫れることがあります。また呼吸や全身の症状としては呼吸が苦しい、咳が出る、息をするときにヒューヒューという音がする、返答がおかしい、ぐったりして返事がないなどの意識障害、血圧低下などを起こす場合があります。消化器系の症状では原因となる食べ物を食べて数時間以内に吐いたり、強い腹痛、下痢を起こす場合もあります。

アナフィラキシーショックの多様な原因 蜂も?

アナフィラキシーショックの原因は様々ですが、報告が多いものとしては食べ物、蜂などの虫刺され、薬物、ラテックス(天然ゴム)などがあげられます。

(1)食べ物

卵、牛乳、小麦、そば、ピーナッツ、えび、カニは特にアレルギーを起こしやすい食品としてあげられ、この7品目は食品衛生法という法律で食品の表示が義務づけられています。

その他にも様々な食品でアレルギーが報告されており乳幼児から成人まで誰にでも起こる可能性があります。アレルギーの患者さんの多くは乳幼児などの子供ですが、大人になるに従って症状が軽くなる場合がしばしばあります。

また、食べただけでは症状が出ないのに、食べて4時間以内に運動が組み合わさると症状が誘発される特殊なタイプのアナフィラキシーがあり、「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」と呼ばれています。

(2)虫刺され

スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチなどの蜂の毒液によるアレルギー反応です。日本では、蜂刺されによるアナフィラキシーショックで年間20人ほどが亡くなっています。

蜂に初めて刺された時は特にアナフィラキシーを含めたアレルギーの反応は起こりません。しかし最初に刺された時に抗体というアレルギーを起こす物質が身体の中に作られ、2回目以降に刺されるとアナフィラキシーを発症する場合があります。

(3)薬物

原因となる場合が比較的多い薬として、抗生物質(ペニシリンなど)、解熱鎮痛剤、抗てんかん薬などがあります。その他、検査に使われる造影剤や予防接種に使用されるワクチンなどもアナフィラキシーを起こす可能性があります。

(4)ラテックス

天然ゴムに含まれるラテックスというたんぱく質によるアナフィラキシーが報告されています。これはゴムの手袋や風船、ゴム靴などで起こることがあります。またラテックスアレルギーの方はバナナ、アボカド、キウイなどにもアレルギーを起こすことがあり、「ラテックス・フルーツ症候群」と呼ばれています。

その他

上記の他、運動によって引き起こされる運動誘発性アナフィラキシーという症状が知られています。運動を中止して、休むことで症状が治まる場合が多いと考えられています。

アナフィラキシーショックが出るまでの時間

アナフィラキシーでは上述のように症状が急激に現れますが、症状が出るまでの時間はアレルギーの原因物質(アレルゲン)の種類や患者さんによって異なります。蜂毒や注射などではアレルゲンが直接体内に入るため症状の発現が早く、症状が出るまでの時間は数分程度と言われています。食べ物では原因となる物質を消化・吸収してから症状が出るため数十分から数時間以内に症状が出ることが多いようです。また、アナフィラキシーでは症状が一度収まったにも関わらず、数時間から数十時間後に再び症状が出ることがあるため、一度症状が治まっても3日間くらいは十分に注意が必要です。

アナフィラキシーショックの原因や症状などについてご紹介しました。もしかして○かもしれないと不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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