胃酸過多症の治療薬、副作用、自然治癒可能性 牛乳や食事も効果?漢方薬はある?
- 作成:2016/05/02
胃酸過多症には、胃の中の酸性状態を改善する薬などが使われるほか、漢方薬も使われます。食事の考え方や牛乳の可否も含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
胃酸過多症は、放置して、自然治癒する?
胃酸が出すぎている状態である「胃酸過多」は、基本的に放置すれば続きます。まれなケースでは、ピロリ菌が胃に感染して胃炎を起こし、胃酸を分泌できなくなった場合に胃酸が自然に減少することがありますが、胃酸が分泌できなくなっているわけですが、良い意味での改善ではありません。もちろんピロリ菌による胃炎が起きている状態ですし、通常の胃と比べて胃がんになりやすい状態でもあります。自然治癒といえる状態ではありません。
つまり、胃酸過多の状態はその生活や食事内容を見直し、それでも改善がない場合や一刻も早く症状をなくしたいときには薬の治療が必要となります。
胃酸過多症の薬の効果と作用機序、副作用
胃酸過多の薬は大きく分けて、以下の3つのものがあります。
・胃の中の酸性を弱める薬
・2つめは胃壁の粘膜を保護する薬
・3つめは症状をおさえる薬
胃の中の酸を弱めるためには、「胃から分泌される胃酸の量を減らすもの」と、「胃酸と混じって胃の中のpH(ペーハー)を上げる(酸性度を弱め、アルカリ性に近づける)もの」です。
胃酸分泌の量を減らすものは「プロトンポンプ阻害剤」や「H2ブロッカー」と呼ばれる薬です。胃のpHを上げる「制酸剤」といわれるものは「炭酸水素ナトリウム」や「炭酸カルシウム」「水酸化アルミニウム」「水酸化マグネシウム」といったものがあります。
胃粘膜を保護する種類は「胃粘膜保護剤」と呼ばれます。胃の粘膜をカバーすることによって胃を守る薬と、胃の粘膜の血流を改善して粘膜を増やしたり修復を促すものがあります。
症状をおさえる薬は、根本的な原因に対応するのでなく、症状に対応するため「対症療法」といわれるものです。たとえば胃の痛みが強いときには胃の表面麻酔として効果のある薬、胃もたれには胃の蠕動(ぜんどう、食べ物などを腸に送るための運動)を改善させる胃蠕動改善薬、下痢には下痢止めといったものになります。
胃酸過多症に漢方薬はある?
東洋医学の考えでは、胃の症状については。胃酸過多であっても、逆に胃酸が少なくて起きる症状でも、治療の仕方には変わりなく、胃の機能を回復することが目的となります。以下に代表的な薬や対象となる症状を示します。
安中散(あんちゅうさん):お腹が冷えやすく、吐き気や喉が酸っぱい感じをする人に適しています。胃を温めて神経の緊張を取り除きます。
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう):ストレスにより胃に負担がかかりく、上腹部痛や吐き気がある人に使用されます。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう):のぼせなどを伴い、胃のつかえ感がある人に適しています。
三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう):お腹の痛み、張り、胸やけなどに使用されます。
生姜瀉心湯(しょうがしゃしんとう):みぞおちがつかえる感じやお腹の張り、ゲップ、胸やけのある人に有用です。
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう):腹痛や胸やけ、下痢を伴うときに使用します。
六君子湯(りっくんしとう):食欲低下、吐き気、胃もたれに効果的です。
平胃散(へいいさん):消化が悪かったり食べすぎたときに使用される消化剤として使用されます。
胃酸過多症は食事で改善する?
胃酸過多は食事の見直しも重要です。食事の内容としては胃酸分泌を促してしまう刺激物や脂っこい食事、コーヒー・炭酸飲料・アルコールなどを控えましょう。また、食事の仕方も重要です。お腹いっぱい食べないようにしましょう。また胸やけや口が酸っぱくなるような逆流性食道炎の症状がある場合、食後すぐに横にならないようにしましょう。
胃酸過多症には牛乳が良い?
胃酸が多い人は牛乳を飲むとよいという話がありますが、実際はお勧めできません。というのは、牛乳は脂肪分の多い飲み物だからです。牛乳を飲むと一時的には胃酸が中和され、胃粘膜を保護するので症状は改善するかもしれません。しかしその後、牛乳の脂肪分で胃酸分泌が増加し、リバウンドのような症状が表れることがあります。
胃酸過多症の薬や食べ物についてご紹介しました。胃酸が多く出ているように感じて、不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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