急性糸球体腎炎の原因、症状、治療、予後 溶連菌と関係?何科?
- 作成:2016/03/30
急性糸球体腎炎は、腎臓をつくる「糸球体」の炎症による病気で、ある種類の溶連菌感染が引き金となることがあります。血尿や尿蛋白などの症状がありますが、治療が可能です。急性糸球体腎炎とはどんな病気で、どんな症状があるのかを、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
急性糸球体腎炎の原因とは
腎臓は小さい「糸球体」と呼ばれる組織の集合体です。1つ1つの糸球体によって、水分や老廃物がろ過され、尿として排泄されています。糸球体に炎症が起きると血尿が出るようになり、糸球体が障害されると、健常では見られないはずの蛋白尿が出ます。
「急性糸球体腎炎」とは、短い期間で糸球体に炎症が起き、障害される病気のことです。原因として多いのは細菌感染で、主に急性上気道炎として、「A群β溶連菌」と呼ばれる菌の感染後に起こります。子供や若い人に多いと言われていますが、成人、高齢者に起きることもあります。
詳細は不明な点も多いですが、細菌に感染後、体の中に抗体ができ、その免疫複合体(抗原や抗体などが複合したもの)が糸球体にくっついて、炎症を起こすと考えられています。病院では尿検査、血液検査、原因菌を調べるための咽頭検査(のどの検査)などが行われます。確定診断(「この病気と考えて、間違いない」と判断する診断)のためには腎臓に細い針を直接刺して組織を取り、顕微鏡で糸球体を確認する「腎生検」と呼ばれる検査を行う必要があります。腎生検後は出血を防ぐために安静が必要なため、3日から5日間は入院することが多いです。
急性糸球体腎炎の症状
感染後7日から10日前後の潜伏期間を経て、血尿、蛋白尿、尿量減少、むくみ、高血圧を発症します。一般的に、急性期(症状の激しい時期)を過ぎると自然に改善し、1カ月から3カ月後には血尿や蛋白尿も消失します。しかし、4カ月から5カ月後に、腎生検で糸球体を確認すると、炎症が残っていることも多いため、発症から6か月間はなるべく安静にして無理のない生活をすることが勧められています。
急性糸球体腎炎の治療と予後
急性糸球体腎炎の治療は、「保存的治療(体を切る手術などを伴わない治療)」と呼ばれるもので、安静、腎臓に負担を与えないように塩分やタンパク質の摂取制限、高血圧を伴っている場合には降圧薬(血圧をおさえる薬)の内服を行います。
扁桃炎など急性糸球体腎炎の誘因となった症状に対しては、抗生物質を1週から2週間投与します。溶連菌感染後の急性糸球体腎炎の場合には、ほとんどが完全に治りますが、小児の約0.1%、成人の25%は腎機能障害が残ってしまう可能性があります。したがって、検査で尿検査や血液検査の異常が認められなくなっても、約1年間は経過観察した方が良いとされています。
急性糸球体腎炎が起こるメカニズムは、まだ不明なことも多いため、完全に予防することは難しいですが、急性上気道炎の後に発症することが多いので、風邪をひかないように日ごろから注意することは予防に有効な可能性があります。一度治ってしまえば再発することはないですが、また感染すると再び急性糸球体腎炎が起きる可能性はあります。
急性糸球体腎炎は何科に行けばいい?
急性糸球体腎炎が疑われるときには、腎臓内科に行くようにしましょう。急性糸球体腎炎の症状は、血尿、浮腫(むくみ)、高血圧が一般的です。自分で自覚するものとしては足や手のむくみ、尿量減少などがあります。血尿は目で見てわかるものから自分ではわからないものまであります。確定診断は腎生検で行うため、入院して検査を行う必要があり、それを専門としている科は腎臓内科になります。自分で判断が難しいことも多いので、まず近くの内科に行って尿検査や血液検査を行い、医師の判断で腎臓内科に紹介してもらうことも可能です。
急性糸球体腎炎について症状や治療などをご紹介しました。もしかして急性糸球体腎炎かもしれないと不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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