血の道症の原因、症状、治療、再発可能性、予防 更年期障害に似ている?
- 作成:2016/10/13
「血の道症」とは、妊娠中や産後の女性に更年期障害とよく似た症状があらわれる病気です。体だけでなく、精神的な症状がでることもあります。治療や再発可能性を含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
血の道症とは?何が原因?
「血の道症」とは、妊娠中や産後の若い女性に、更年期障害とよく似た様々な症状が現れる疾患です。更年期は、45歳から55歳くらいの閉経前後の時期を指しますが、出産前後の体の変化や、子宮・卵巣の摘出手術などの影響により、本来更年期障害の症状が現れないはずの若い女性にも起こるのが血の道症です。また、まれに月経が原因で、血の道症の症状が起こることもあります。
身体の症状と精神の症状
血の道症では、女性ホルモンの分泌の過多または不足によって、卵巣をコントロールしている脳下垂体ホルモンの分泌が影響を受け、関連するホルモン分泌が異常な状態となる状態(以下、ホルモンバランスと総称します)が起こります。ホルモンバランスが崩れると、「自律神経(じりつしんけい)」という、体の機能をコントロールしている神経に失調を起こす病気です。自律神経の失調により、身体的な症状と精神的な症状の両方が現れます。
身体の主な症状は以下の通りです。
・気温や室温が暑くないのにのぼせやほてりを感じる
・寒くないのにぞくぞくと冷えを感じる
・冷や汗や冷え症が起こる
また、目まいや立ちくらみ、耳鳴り、動悸や息切れが起こるようになる人もいます。身体が疲れやすくだるさを感じる場合や、眠りが浅い、眠れないなどの睡眠障害が起こるケースもあります。他にも、頭痛や腰痛、関節痛が起こる場合もあり、個人個人によって実に様々な症状が見られるのが特徴です。
精神の主な症状は、不安感や憂鬱感を強く感じる、イライラしたり怒りやすくなったりする、気持ちが不安定になるなどです。これらの症状は、血の道症であることを自覚することで、改善されるケースもあります。
血の道症の治療と薬
血の道症は、たいていの場合、時間が経ってホルモンバランスが整うと自然に治まります。治癒までの期間は、早くて数カ月程度、長ければ2年から3年ほどかかります。自然治癒しない場合や治癒に時間がかかる場合は、漢方薬やホルモン剤を用いて治療を行います。
血の道症に最もよく使われる漢方薬は、冷えやのぼせをしずめ、精神を安定させる「加味逍遙散(かみしょうようさん)」です。加味逍遙散は更年期障害の対処にもよく用いられます。
身体の症状はほとんどなく精神の症状が強い場合は、神経の働きを整える「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」を使うことがあります。他にも、症状の現れ方や体質・体調によって、「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」「桂枝茯苓丸(けいしぷくりょうがん)」「柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)」などの漢方薬を選択することもあります。これらの薬には市販されているものも多くありますが、自己判断で薬を服用することはリスクを伴うため、事前に婦人科や更年期外来で診断を受けましょう。
女性ホルモン剤を使って治療する事もあります。女性ホルモンは大きく分けて2種類あり、「卵胞ホルモン」と「黄体ホルモン」というものです。正常の生理周期では、これらが周期的に増減しています。血の道症は生理の周期が不規則になったり、周期が無くなったりする事で起こりるため、ホルモン剤を周期的に投与する事によって、改善をはかることもできる可能性があります。
どのような治療を行うかは、診断を受けた上で、担当の先生の判断で行う事になります。
血の道症は再発する?
自然に治る、治療を受けるなどして症状が改善しても、何らかのきっかけで再びホルモンバランスが乱れると、血の道症が再発することがあります。治ったのにまた発症してしまったことで気を落としてしまい症状がより重くなるというケースもたびたび見られますが、医師やまわりの人たちのサポートを受け、じっくり克服していくという心構えが血の道症の改善に有効です。
血の道症についてご紹介しました。更年期の年齢に達していないのに、更年期障害のような症状が出て、不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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