予後とは?良し悪しはどう決まる?良いと「寿命が長い」?関係ない?
- 作成:2016/03/11
「予後」という言葉を医師など医療関係者から聞くことがあるかもしれません。「予後」とは簡単に言うと、治療などをした後の「見通し」という意味ですが、予後の良し悪しが単純には言えない理由があります。「予後」という言葉について、寿命との関連も含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
医療関係者がいう「予後」って何?どういう意味?
医療関係者は病気の説明などの際によく「予後」という言葉を使いますが、実は患者側で「予後」という言葉を正しく理解している人は約半数と言われています。医療関係者の言う「予後」にも前後の文脈から若干異なる意味合いがある場合もあります。
辞書で「予後」を引くと、(1)病気・手術などの経過または終末について、医学的に予測すること。(2)病気の治癒後の経過、と、2つの意味が出ています。別の言葉で言い換えれば「見通し」ということです。つまり「予後」には良い意味のものも悪い意味のものも含まれます。
また、特別な言い回しとして「予後は3か月です。」といった表現をされることがあります。この場合の「予後」は「余命」という意味で使われます。
予後の「良い」「悪い」はどうやってきまる?予後の「良い」「悪い」に基準はある?
医療関係者も神様ではありませんから、患者の今後をぴったり当てることはできません。そのため、患者の「予後」を話す時には、「一般的なデータや経験を踏まえて、平均的な経過とたどれば」という意味で話をします。
たとえば、ある病気に対し手術をするかどうか決めるときには、「手術をすれば9割の人の予後は日常生活が可能となります、しかし1割の人は手術をしても改善しないこともあります」といった表現で説明します。「1人の患者の病気が、9割程度治る」ということはありえませんので、「あなたは9割の確率で改善するグループに入りますが、1割の確率で改善しないグループに入ることもある」と説明しているわけです。
癌(がん)の患者の場合、年齢や病気の広がり具合を考慮して、「手術をしなければ平均的には余命は6カ月でしょう」という表現になります。ですが、病状説明の場合は、前半部分を省略されることもあり、「手術をしなければ余命は6カ月です」と説明を受けることもありえます。もし、医師などの説明内容に疑問があれば、どのような根拠があるのか聞いておきましょう。
予後の良し悪しは受け取り側が判断するものです。医療者側としては「高齢で、この状態なら、予想以上の改善」と思っていても、本人や家族の期待した状態でなければ、もともとの期待と違うわけですから、医療者と患者側には温度差が生まれます。治療をしても「こんなはずではなかった」ということがないように、医療者側は予想される”平均的な”予後をあらかじめ伝えるようにしているのです。
予後の良し悪しは絶対?個別ケースでは、良し悪しが当たらないこともある?
あくまでも統計や経験、事前に説明された「予後」と実際の経過に違いがあるのは、よくあることですし、良い意味でも悪い意味でも起こりえます。
「手術をしても車いす生活が精一杯でしょう」と言われとしても、リハビリが予想以上に進み、歩行できるようになっているかもしれません。不治の病で「余命3 カ月」といわれていても、1カ月で亡くなる人もいれば、5カ月で亡くなる人もいます。ですが、単純に考えると1カ月の人と5カ月の人を平均すれば、3カ月ですので、医療者は「余命3カ月」と説明することになるわけです。
「予後が良い」は「寿命が長い」?
予後は、「薬による治療後」「手術による治療後」「リハビリをしたら」などと、いろいろなパターンがあるため一概には言えません。ですが、予後を良くするための方法がないかどうかは主治医に尋ねてもよいと思われます。
また、「予後」をよくするということは、余命を延ばすという意味にも取れますが、それだけではありません。余命は変わらなくても、それまでの過ごし方が幸せであれば、やはり「予後」を良い状態で過ごせたと受け取る人も多いかもしれませんし、患者さんの幸せにつながれば、医療者としても「良い」という判断をすることは不自然でないと言えます。
病気の治療としてやれることがなくても、患者さん自身がやりたいことを1つでも達成したり、家族が患者を思いやりできるだけ一緒の時間を過ごしたりすることも、「予後」を良くする1つの方法と思われます。
医療者の使う「予後」という言葉についてご紹介しました。医師らの説明がよく理解できず不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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