妊娠初期に下痢、便秘、痔になる?おならに変化?対応は?
- 作成:2016/05/18
妊娠初期には、ホルモンなどが影響して、下痢や便秘がおきます。また、子宮が膨らむことで、痔にもなりやすいです。おならの変化やどのように対応したら良いのかを含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
妊娠初期の下痢について
妊娠中の下痢は、便秘(後述)同様、妊娠中に起こる症状です。原因としては、以下のようなものが指摘されています。
・ホルモンバランスの崩れ
・自律神経の乱れ
・免疫機能の低下による細菌の影響
・食欲が増加することによる食べ過ぎ
・つわりがひどく嗜好が変わること
妊娠中の下痢の対処方法は、整腸剤で下痢を止めるのではなく食事療法によって対応してゆく方法がメインです。以下のような方法が考えられます。
・食べ過ぎや暴飲暴食を避ける
・整腸作用のある食材(例えば、ヨーグルトなど)を食べる
・消化のよいものを食べて胃腸をいたわる
・胃や腸に負担になるような消化の悪い食材や刺激の強い食材は避ける
・生活面においても規則正しい生活を送る
・腹巻や入浴などで下腹部を温めるように工夫する
ただし、何日も水っぽい下痢が長期間続く場合や、腹痛や発熱を伴う場合、脱水症状の状態になる、血便がみられるような場合は、食中毒やウィルス感染あるいは病気など懸念されることもありますので、すぐにかかりつけの婦人科を受診してください。
妊娠初期の便秘について
妊娠中におこる便秘は、初期と後期に分けて考えます。妊娠初期の便秘の原因は、女性ホルモンの一つ「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の分泌増加により、大腸の蠕動運動(ぜんどううんどう、胃が内容物を運ぶ運動)が抑制されるため引き起こされています。それまで、毎日排便があっても、突然週に一度になってしまったりという極端なケースもあります。また、毎日排便があっても、便が残っているように感じて、すっきりしないという方もいます。
便秘解消には緩下剤(効果が緩やかな下剤)の服用が薦められていますが、妊娠中の便秘には、市販薬ではなく病院によって処方される薬(処方薬)によって治療をすることが基本です。治療は主に、塩性下剤の「マグミット」「マグラックス」などと呼ばれる酸化マグネシウム剤を使います。塩性下剤が効かないような強い便秘の場合には、刺激性下剤の「テレミンソフト座薬」、「アローゼン」、そして「ラキソベロン液」などという薬を使います。刺激性下剤は、一時的に使う薬剤ですので、長期にわたって使用を続けるべきではありません。便秘はつらいものです。我慢せずにかかりつけの産婦人科に相談してください。
食物繊維を多く含む食材を意識的に摂取することも必要です。また軽めの運動をするなどして大腸の働きをよくしておきましょう。便秘や下痢がなく、妊娠中でも快便の方もいます。妊娠中の便の状態は人それぞれ異なりますので、どの状態でもあまり不安にならないようにしましょう。
妊娠初期の便秘や下痢は誰にでも起こります。しかし、度を過ぎた状態の場合、明らかに便に異変(血便など)がみられる、発熱などがあった場合は、疾患や感染症そして食中毒の疑いがあります。すぐに治療が必要になりますので注意してください。
妊娠中の痔
妊娠中の痔の多くは「内痔核(ないじかく、直腸側)」というタイプといわれています。痔核は誰にでも存在するもので、痔核とは、肛門が閉鎖する際のクッション部分ですが、肛門部分への負担がかかり、肛門を閉鎖する際に力が加わると、うっ血(血の流れがとまどった状態)します。妊娠中は、次第に大きくなってきている子宮が肛門や直腸あたりの静脈を圧迫するため、うっ血しやすい状態になっているためです。
妊娠中の痔の主な原因は、便秘です。硬い便を出そうと肛門部分に刺激、負担がかかり、その結果として、裂肛(切れ痔)や痔核(いぼ痔)を引き起こしています。また便秘とは全く逆の下痢でも、勢いよく排便することによって、肛門部分を刺激し、負担をかけてしまうため、同様に痔を引き起こしてしまいます。
また、分娩に向けた「骨盤底筋群(こつばんていきんぐん、骨盤を支える薬)」のゆるみも、原因の一つです。肛門括約筋が緩む事で、いぼ痔になりやすくなります。重症になると、肛門より直腸が出てくる「直腸脱」という状態が見られる事も、分娩後には珍しくはありません。
痔の典型的な症状としては、良く知られているように、排便時の出血そして稀に排便時の痛みです。出血の量はトイレットペーパーに付着する程度、便に血が混ざるなど様々で、また出血の頻度も毎日ある人もいれば、ときどきしか起きない人もおり、異なっています。少量でも、痛みなどで気になるようでしたら、かかりつけの婦人科に相談してください。わざわざ受診するのも気が引けるという方は、定期的な妊婦健診の際に相談してアドバイスをもらってください。出血がひどく毎日繰り返す痔の場合には検査を受けて、塗り薬などが処方してもらいましょう。
痔の予防策としては、便秘や下痢にならないように、毎日摂取する食品で胃腸の調子を整える、そして排便後にはウォシュレットなどで肛門をいつも清潔に保ち、毎日の入浴の際にも綺麗に洗うことです。また、肛門のうっ血を防ぐためにもドーナツ型のクッションも効果的ですので、気になる方は試してみると良いでしょう。
妊娠初期とおならの関係
妊娠中のおならの変化の原因としては、大きくなってゆく子宮によって腸が圧迫をうけるため腸の働きが悪くなるためです。腸の働きが悪くなると、便秘や下痢になり、必然的におならも出やすくなっています。また、妊娠周期が進むにつれ骨盤も広がってきますが、その際に恥骨の結合部分が緩みます。恥骨の結合が緩むと、腸がその中へ落ち込みやすいスペースを作るため、腸が上下に伸びてしまい、腸の働きが鈍り、結果的に老廃物が体内に溜まりやすくなるため、おならが出やすくなるといわれています。このように、便秘や下痢といった大腸の機能低下によって、おならが出やすくなっています。便秘や下痢と同じように食事に気をつけて腸の調子を整えるようにしましょう。
妊娠初期のついて便秘や下痢などについてご紹介しました。妊娠初期に便関連で不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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