麻疹(はしか)の症状、合併症、治療、風疹や突発性発疹との見分け方
- 作成:2016/03/23
麻疹(はしか)の症状は、発熱や目の充血などですが、口の中に特徴的な斑点ができます。合併症も色々ありますが、命にかかわるものもあります。風疹や突発性発疹のとの違いも含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
麻疹の症状 くしゃみや発熱?
一般的な麻疹の経過は、ウイルス感染後、10日から12日ほどの潜伏期間(症状が出ない期間)を経て、初期症状である鼻汁(鼻水)・くしゃみ・発熱などが出ます。熱は38℃ほどまで、上がります。
目の症状として白目の部分が充血したり、目やにが出ることもあります。乳幼児では下痢や腹痛を伴うこともあります。
また、全身の発疹より先に、頬(ほお)の内側の粘膜に小さく周囲が赤くて真ん中が白い斑点がみられます。これは、麻疹に特徴的な「コプリック斑」と呼ばれるものです。コプリック斑は、臼歯(前歯から数えて4番目以降の歯)がふれる頬の内側の粘膜にできます。コプリック斑は3日程度で消失します。
熱は3日ほどで下がりますが、その後再び39度まで熱が上がって、同時に少し盛り上がった赤い発疹が全身に出現します。この発疹は、近くにできたものとくっついて様々な形となります。全身の発疹は高熱とともに3日から4日続きます。
以降、熱は下がり始め、発疹も現れた順に色あせていき、色素沈着が起きたり、かさかさした皮膚の屑(くず)になります。
合併症がなければ、すべての症状は10日から14日で改善します。
麻疹の合併症 肺炎や中耳炎も
麻疹を発症すると免疫力が低下して、ほかの感染症にかかりやすくなり、肺炎、中耳炎、心筋炎、脳炎などの合併症が見られることもあります。
合併症で最も多いのは肺炎で、約半数を占めます。肺炎はウイルス性のものもあれば、細菌性のものもあり、原因は多様です。
中耳炎は麻疹の患者の10%程度にみられ、細菌感染が原因のことが多く、症状を訴えられない乳幼児では、耳からの耳たれが確認できて、大人が始めて気づくこともあります。
心筋炎は、心臓の筋肉や心臓の周りの膜に炎症を起こします。心筋炎は継続せず、一時的であり、問題の無いことがほとんどです。
脳炎は0.1%程度の発症率で、全身の発疹が現れた後に発症することが多く、麻疹の重症度と脳炎の発症可能性の関係は、わかっていません。脳炎を発症した中で60%の方は完全に回復しますが、残りは異常行動や麻痺(まひ)、けいれん、精神発達遅滞といった後遺症を残します。また死亡する場合もあり、脳炎の死亡率は15%程度です。そのほかに「亜急性硬化性全脳炎」と呼ばれ、徐々に運動障害や知能障害をきたす神経の病気もあります。亜急性硬化性全脳炎は、半年程度で亡くなる予後不良の合併症です。
麻疹の治療はどんなもの?対症療法?
麻疹はウイルスそのものの薬がないため、発症した場合は症状に対する治療を行う治療(「対症療法」と言います)になります。
熱が高い場合には解熱剤を使用したり、氷枕などで体を冷やし、積極的に水分を摂るようにします。水分も摂れない時には点滴をすることもあります。咳が出ているときには「鎮咳剤(ちんがいざい)」、痰が出るときには「去痰剤」、目の充血には目薬などが処方されますが、いずれも麻疹ウイルスを減らすのではなく、症状を軽減させる治療になります。
肺炎や中耳炎、脳炎などの合併症を発症した場合は、その治療も必要です。
麻疹の症状が出ている間は、細菌感染による合併症の恐れもあるため、診察結果によっては抗生剤をあわせて服用することもあります。その場合は、指示された通りに抗生剤は飲みきるようにし、勝手に中断しないようにしましょう。
風疹や突発性発疹の症状の違い かかる年齢や流行時期は?
麻疹で最も特徴的なものは「コプリック斑」です。ですから、1日1回は口の中をみて、白っぽい斑点が出ていないか確認しましょう。「コプリック斑」が確認できれば、麻疹の診断は容易です。そのほかに、麻疹は全身の発疹にも特徴があります。ぽつぽつと出た発疹がくっつきあって、さまざまな形をつくることです。
対して、風疹は発疹が顔から全身に広がることが多いですが、突発性発疹は胸やお腹から出始めて全身に広がります。
その他にそれぞれの病気はかかりやすい年齢があります。麻疹は5歳以前、風疹は小学生のころ、突発性発疹は1歳までにかかることが多いです。また、麻疹は冬の終わりから春にかけて、風疹は冬から初夏にかけて感染者が増える特徴もあります。
病院にかかる際には、2週間ほど前に麻疹を発症した人と接していないか、口の中に白い発疹がなかったかが診断の助けになりますので、きちんと伝えましょう。
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麻疹の症状や合併症などについてご紹介しました。子供に発疹があり、不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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