妊娠初期の栄養・体重の考え方 葉酸やビタミンAが良い?要注意の体重変化とは?
- 作成:2016/10/12
妊娠初期に、葉酸やビタミンAを接種することは、胎児の成長にとって、大変重要なことですが、取りすぎは、逆効果になることがあります。妊娠初期の体重の考え方も含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
妊娠初期に葉酸やビタミンAは良い?積極的にとるべき?
「葉酸」とは水に溶けるビタミン(水溶性ビタミン)で、胎児の細胞をつくるのに重要な役割を果たします。不足すると、脳や神経の先天性異常や障害のリスクが高まることが知られていて、特に妊娠7週ごろまでは欠かせない栄養素です。葉酸は妊娠する数カ月前から摂取しても、妊娠初期や超妊娠初期での胎児の器官形成に大変有効であるということがわかっています。
厚生労働省の、「日本人の食事摂取基準」によると、妊婦は葉酸を成人女性の2倍、「480μg」を目安に、毎日とることが推奨されています。葉酸は、ほうれん草、アボガド、鶏レバーなどに多く含まれます。
ビタミンA(レチノール)は、脂に溶け、体の中に残りやすいビタミン(脂溶性ビタミン)です。ビタミンAは皮膚や粘膜を作り、不足すると夜盲症や胎児の成長不良、骨や歯の発育不良が生じる危険があります。妊娠初期から中期では、1日「700μgRE(レチノール活性当量)」を目安に摂取が勧められ、多く含まれる食品はレバー、緑黄色野菜などです。
しかし、積極的にとるべき栄養素も、摂りすぎはよくありません。葉酸は1日1000μg以上とると、かゆみや呼吸困難、発熱などが生じることがあります。また、葉酸の摂りすぎで、ビタミンB12が体内で不足して、貧血を起こすこともあります。また、ビタミンAをとりすぎると、胎児の水頭症や口蓋裂などのリスクが高まり、胎児に奇形が生じる可能性があり、注意が必要です。
妊娠初期は鉄分も重要?
海外の研究では、妊娠中の栄養で低出生体重児を軽減するものとして「鉄分」があがっており、鉄分を妊娠後期にしっかり摂取すると子どもの出生体重が増加するという研究結果もあります。 また
妊娠初期にとるべきサプリメントはある?
妊娠初期に、食事だけで十分な栄養素を取ろうとすると、難しいこともあります。しっかりと食事をとるのは基本ですが、不足しがちな栄養素は、サプリメントを上手に使って補いましょう。特に、葉酸、鉄、カルシウムは大切な栄養素です。不足している場合は、サプリメントを利用してみてはいかがでしょうか。
サプリメントを利用する際は、お母さんや赤ちゃんの健康のために、表示されている1日の上限量を守って摂取することが大切です。
妊娠初期は体重が増加する?痩せる人もいる?なぜ?
妊娠初期の体重の変化には、体重が増える人と、体重が減る人の2通りがあります。
体重が増えるケースとしては、妊娠初期に、いわゆる「食べつわり」で食欲が増して体重が増えたり、空腹だとむかむかするため食べ続けたりすることが原因です。「赤ちゃんがお腹にいるのだから、赤ちゃんの分体重が増えるのは当然」と考える人もいるかもしれません。しかし、妊娠初期の胎児の体重は、15週の末でも、100g程度です。妊娠するとホルモンの変化で体重は増えますが、妊娠初期の体重増加は、2 kg未満に抑えるのが理想的とされます。
反対に、妊娠初期に体重が減ってしまう原因は、はき気やおう吐、食欲不振などの「吐きつわり」です。吐きつわりの状態で無理して食べるのは難しいので、食べられるときにこまめに食べるようにしましょう。食べられないときは、脱水にも気を付ける必要があります。食べられなくて辛いときは、栄養状態が心配されますので、健診時期でなくても病院へ行きましょう。
妊娠初期の体重変化に気をつけるべき?
妊娠初期は、食欲が増したり、つわりになって食べられなくなるなどで体重の変化があります。妊娠中に増えても問題ないとされる体重は、普通の体形の人で9kgから12kg程度です。妊娠初期に体重が増えすぎると、妊娠中の体重の管理が大変になってしまいますし、妊娠高血圧症候群などを引き起こす原因にもなりかねません。
体重が減りすぎるのも問題が生じます。大抵の場合には、つわりは妊娠16週ごろまでになくなるとされていますが、それまで食べられないと、胎児の発育に必要な栄養素が足りなくなってしまいます。また、つわりがひどく「妊娠悪阻」という状態までになると、母子ともに命の危険が生じることもあります。妊娠前の体重より5%減っていたら、病院での治療が必要な状態と言われています。体重が減り始めたら、早めに主治医に相談しましょう。
妊娠初期に限らず、妊娠中は、お母さんや赤ちゃんの健康や安全な出産のためにも、体重の変化には気を付けましょう。
妊娠初期の葉酸の重要性や体重の考え方についてご紹介しました。「妊娠したかもしれないが、何をして良いのかわからない」と不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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