妊娠初期の良い運動と悪い運動 セックスやダイエットはダメ?注意点は?
- 作成:2016/07/20
妊娠初期の適度な運動は体に良いとされていますが、他の人と接触するようなスポーツはおすすめできません。具体的にどのようなスポーツをすべきなのかや、セックスや運動の可否を含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
妊娠初期に運動をするメリットとリスク
かつて、妊娠中は安定期に入るまでは運動は控えた方が良いと考えられてきましたが、最近では妊娠初期でも体調に問題がなければ積極的に運動をすることがすすめられています。
妊娠中の運動にはさまざまなメリットがあります。まず、理想的な体重を保ち、妊娠高血圧症候群も含めて、血圧のコントロールに役立ちます。また、出産に必要な体力と呼吸法が身につき、安産につながります。さらに、妊娠中のむくみ・便秘・腰痛・肩こりなどの不快な症状の緩和、ストレス解消、マタニティーブルーの予防にも期待できます。
ただし、ハイリスク妊娠の場合は注意が必要です。切迫流産・切迫早産の兆候、重度の高血圧、心疾患や血管の疾患、不正出血などがある場合は、基本的にスポーツは禁止です。貧血や多胎妊娠の場合も、通常の正常な妊娠よりは、運動には気をつける必要があります。
妊娠初期から運動をする場合は、必ず医師のメディカルチェックを受けてからにして下さい。運動開始後でも、少しでも異変を感じたらすぐに中止するようにしましょう。
妊娠初期にオススメの運動とは?
妊娠中には、ケガにつながりやすい種目や負担の重すぎる運動は向いていません。バスケットボールやサッカー、ラクロスなどは他者との接触が多く、スキー・スノーボード、体操競技などはバランスを崩しやすく危険です。テニスやスカッシュなどゲーム性が高くムキになりやすいスポーツも避けた方が良いでしょう。
妊娠中に望ましい種目は全身の筋肉を使う有酸素運動です。たとえば、ストレッチ、ウォーキング、水泳、アクアビクス、ヨガ、ピラティスなどがあります。最近では妊婦向けのプログラムがたくさん開発され、専門家の指導のもと無理のない運動をすることができます。
妊娠中の運動として賛否が分かれるのが、ゴルフとランニングですが、基本的にはあまりオススメできません。ゴルフは瞬間的に力が入り体をひねりますし、スコアが気になる人はつい無理をしがちです。ランニングも、軽いジョギングくらいなら良いのですが、タイムをはかったり長距離を走ったりするのは避けましょう。いずれにしても、医師や助産師と相談しながら安全に行うことが大切です。
妊娠初期のダイエットの危険性
妊娠中には体重の増加が気になるものですが、過度のダイエットは母体にも胎児にも悪影響を及ぼします。
妊娠中に適切に体重が増えないと、母体の貧血や切迫早産のリスクが高まります。また、ダイエットのために胎児に十分な栄養が届かないと、発育不全のために低出生体重児が生まれやすくなります。最近の研究では、出生時の体重が少ないと将来の心臓病や糖尿病などの生活習慣病の発症リスクが高まるとことが分かっています。
妊娠初期は食べづわりなどで体重増加が心配される時期です。しかし、医師の判断で体重管理が必要となった場合でも、民間のダイエット法に頼るのではなく、助産師や栄養士の指導のもと、摂取カロリーのコントロールと適度な運動で、科学的に確かな方法で体重増加を抑えるようにしてください。
妊娠初期の性行為(セックス)について
切迫流産や切迫早産のリスクがない限り、妊娠中にセックスをすることは問題ありません。むしろ、精神的な充実が妊娠に良い影響を与え、早産の確率が低くなると言われています。
妊娠初期は胎盤が安定していないためセックスは控えた方が良いという声もありますが、セックスが原因で流産や早産が起こることはありません。胎児は子宮と羊水に守られており、子宮と膣は粘液でしっかりと遮断されています。また、精液に含まれる「プロスタグランジン」は子宮収縮作用があるため陣痛を促すと心配する人が多いのですが、実際に陣痛を引き起こすことはありません。オーガズムも子宮収縮を引き起こしますが、流産や早産につながることはありません。なお、「切迫流産(流産になりかけの状態)」「切迫早産(早産になりかけの状態)」と診断されている方は、症状を悪くする可能性があるため、性行為は控えられたほうが良いでしょう。
妊娠中のセックスで心配なのは感染症です。性感染症の中には流産や早産のリスクを高めるものや母子感染するものがあり、胎児の健康に大きく影響します。主な性感染症には梅毒・性器クラミジア・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルスがあります。感染症を防ぐためにはコンドームの使用が効果的です。
妊娠初期の運動とセックスの考え方についてご紹介しました。妊娠初期の生活に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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