妊娠検査薬の使い方、失敗例 再利用可?飲酒の影響は?夜もOK?保存にも注意が必要?薬以外でも気づける?
- 作成:2016/03/25
妊娠検査薬は、広く利用され、手軽な検査手段ですが、時に使い方を間違って、正しい結果が得られないこともあります。再利用の可否やアルコールが影響する可能性も含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
妊娠検査薬の結果が出るのは、尿をかけてからどれくらい?
妊娠検査薬は朝使う?夜使う?なぜ?
アルコールは、検査薬に影響?
妊娠検査薬の使い方の失敗例
保存にも注意
妊娠検査薬は再利用できる?
「妊娠検査薬だけで判断」は良くない
妊娠検査薬以外で妊娠に気付く方法
妊娠検査薬の結果が出るのは、尿をかけてからどれくらい?
現在日本で販売されているほとんどの検査薬は判定時間を「1分」としています。ただし尿は3秒から7秒かけること、尿をコップにとって浸す場合は5秒から20秒の間、浸すように記載されています。
妊娠検査薬は朝使う?夜使う?なぜ?
以前の妊娠検査薬は、朝一番の尿で検査するように記載されていました。その理由として寝ている間の尿は濃縮されるため、hCGの濃度が上がって、陽性が出やすいためです。しかし最近の検査薬ではほとんどが測るタイミングはいつでもよいように改良されています。ですが、できるだけ早く妊娠を確認したい人は、やはり朝の尿を使うと、早めに陽性が確認できると考えられます。
アルコールは、検査薬に影響?
アルコールの成分は検査薬と誤反応しないため、検査結果には基本的に影響を与えません。ただし、過剰に摂取をすると利尿作用が働き、尿量が増えます。結果尿が薄くなり本来は陽性なのに陰性で出てしまうことがあります。
妊娠検査薬の使い方の失敗例
市販で手に入り、気軽に使用できる妊娠検査薬ですが、正しく使用しないと間違った判定をしてしまうので気をつけましょう。妊娠を望む方は、「1日でも早く陽性を確認したい」と考えると思いますが、正確な結果を確認するためにも、測定の時期はきちんと守りましょう。早すぎると、妊娠しているのに陰性と結果が出てしまうことがあります。
また検査の手順も確認しましょう。キャップの外し忘れ、尿を判定窓にかけてしまう、尿をかけた後水平においていないなどの、使い方の間違いがよくあります。特に、尿をうまくかけられないときには紙コップに尿をとって、そこに検査薬の先端を浸しましょう。尿をかける場合と、紙コップで浸す場合は、正確な時間を出すために尿を使う時間が異なります。
尿が少なすぎたり、多すぎても間違った判定になることがあります。また検査前に水分を摂り過ぎて、尿が薄まってしまうのも問題です。
検査の判定時間も守りましょう。終了窓に線が出る前に判定してしまい、間違って陰性と判断したり、判定時間をかなり過ぎてから検査窓に出た陽性のラインを間違って「陽性」と判断していますこともあります。
保存にも注意
検査薬の保存にも注意が必要です。特に数回分が入っている製品を購入し、保管しておいた場合には使用期限が過ぎてしまうことがあります。また、非常な高温など、検査薬を変化させてしまう可能性もありますので、保管状態には注意が必要です。可能性は低いですが、検査薬に不良品が混じっていることもあります。当然ですが、大切なのは、検査薬を自分が望む結果のように反応させることではなく、正しい結果を得ることです。使用方法をキチン読んで使用しましょう。
妊娠検査薬は再利用できる?
結論から言いますと、妊娠検査薬は再利用できません。その理由は妊娠検査薬の陽性を示す部分が化学反応を起こすためです。妊娠検査薬が色を変えて陽性のラインをつくるのは、キットの中で、尿が移動するときに3つのステップを踏むためです。
1つ目はhCGだけにくっつく成分(抗体)があり、ここで尿中にhCGがあれば、抗体をくっつけて次の場所に移動します。2つ目の場所には固定されたhCGの抗体があり、hCGは先の抗体をくっつけたまま、次の抗体にもくっついてその場に固定されます。そして1つ目の抗体につけられた発色のための酵素が色を変えることによって、陽性のラインが浮かび上がります。これら2つの抗体はhCGにしかくっつかないため、尿にhCGが存在しない場合、1つ目の抗体も発色のための酵素もライン上を通過してしまい、陽性ラインは作られません。
つまり陰性であった検査薬に再び尿をかけても、抗体も試薬も陽性ラインより奥に移動してしまっているので、検査薬の機能を果たせません。本来なら陽性になるほどのhCGがあったとしても、陰性になってしまいます。
「妊娠検査薬だけで判断」は良くない
妊娠検査薬の判定結果が陽性の場合は、妊娠している可能性がありますが、子宮外妊娠の可能性もあります。また、出産にはいたらない「胞状奇胎」などの通常の妊娠以外でもhCGが出ることがあります。どちらも放置すると生命の危険性が考えられる病気です。逆に、妊娠の初期段階ではhCGが少なく、妊娠検査薬では検出できないこともあります。正常な妊娠かどうかは、妊娠検査薬でははっきりとわかりません。あくまでも目安と考え、検査薬で陽性がでれば、できるだけ早く産婦人科を受診して、様々な検査を通じて、正常に妊娠しているかどうか確認しましょう。
妊娠検査薬以外で妊娠に気付く方法
妊娠検査薬以外で妊娠したかどうか目安にできる方法は、日ごろから基礎体温を計測しておくことです。
生理日から排卵日までの約14日間(個人差が大きいです)を「低温期(卵胞期)」といい、平均体温より低い体温の日が続きます。排卵日から約14日間(ほぼ一定です)を「高温期(黄体期)」といい、平均体温より高い体温の日が続きます。
女性は排卵日になると、卵巣から卵子を1つだけ排卵(卵子の寿命は24時間から48時間と言われています)します。そして男性は性交(セックス)の際に約2億個の精子(精子の寿命は3日間)を膣内で放出され、卵管内へ移動します。受精すると、できた受精卵が細胞分裂を繰り返しながら子宮へ送られ、子宮内膜で着床すると妊娠となります。
排卵日3日前から排卵日1日後(合計5日間)が妊娠しやすい時期です。妊娠した場合は排卵日後の基礎体温の高温期が下がることなくそのまま高温を保ち続けます。
したがって、基礎体温を測定していると、排卵日後の高温期が下がらずに継続している場合は、妊娠の可能性に気付くことができます。妊娠すると、生理が止まり、熱っぽさ、倦怠感、だるさなどの症状が出てきますので、症状から、妊娠に気づくことが可能です。
排卵日を境に低温期と高温期が明確に分かれている方もいますが、あまりはっきりと体温差が出ない方も多くいますので、微妙な体温差を見逃さないためにも、基礎体温を日ごろから測定しておくことで、妊娠したのかどうかの判断材料となります。
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妊娠検査薬の使い方などについて、ご紹介しました。妊娠検査薬の結果に疑問を感じる場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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