低置胎盤の原因、症状、妊娠や胎児への影響 治療や予防は可能?
- 作成:2016/09/14
低置胎盤とは、胎盤の位置が子宮の出口近くになった状態です。通常の出産も可能ですが、出血が増える懸念などのリスクがあります。原因や治療、予防ができるかを含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
低置胎盤の症状
「低置胎盤」とは。妊娠時に胎盤の位置が通常より低い位置に来てしまう疾患のことです。低置胎盤と似た病気に「前置胎盤」というのがありますが、これらの違いは、胎盤が子宮口を塞いでいるかいないかの違いです(前置胎盤については、https://www.askdoctors.jp/articles/200750で解説しています)。低置胎盤はギリギリ子宮口を塞いでいないのに対して、前置胎盤は子宮口を多かれ少なかれ塞いでしまっているので非常に厄介です。
低置胎盤の原因
胎盤は受精卵が着床した場所にできるものですが、何らかの形で低い位置に着床してしまったり、胎盤が正しく形成されなかったりする場合に低置胎盤になると考えられています。また、子宮内膜症や子宮筋腫といった病気の場合や、堕胎や帝王切開に伴って子宮内膜が傷ついていしまっていると、低置胎盤や前置胎盤になりやすいと考えられています。他にも、高齢出産や喫煙も原因の一つになっていることが指摘されています。低置胎盤になっても、自覚症状はありませんので、定期的な検診を受けることが大切です。また、低置胎盤は、通常よりも出血しやすい状態ですので、より一層安静にすることが求められます。
低置胎盤の妊娠・出産・胎児への影響
低置胎盤での妊娠は普通の妊娠に比べると慎重な対応が求められます。前置胎盤のように子宮口がふさがっていないので通常の出産も可能ですが、子宮口付近が胎盤で狭くなっている事に変わりはなく、通常の出産が困難だと判断された時には帝王切開になります。また、帝王切開による出産にならなかったとしても、出産後に胎盤剥離面からの大量出血につながる事も考えられます。出産時には問題なく、胎児は無事ですので、突然の大量出血でパニックになることなく、落ち着いて医師や助産師の指示に従うようにしましょう。
低置胎盤によって胎児に悪影響を及ぼすことはあまりありませんが、胎盤が傷つきやすいデリケートな状態なので、まれに常位胎盤早期剥離を起こす事があり、出血によって母体が危険にさらされる可能性があります。特に、出産前に大量出血となると流産・死産になる可能性が高まりますので、気をつけましょう。
低置胎盤の治療と予防
積極的に低置胎盤を治療して元に戻すような治療を行うことはほとんどありません。妊娠初期や中期に低置胎盤にみえる状態であれば、胎児の成長に従って通常の胎盤の位置に戻ることもありますし、低置胎盤であっても通常の出産が可能な場合も多いです。また、予防法と呼べるようなものありません。子宮筋腫など、低置胎盤を引き起こしかねない病気の予防自体も、難しいのが現状です。ただ、機会があるのであれば可能な限り若いうちに出産し、喫煙などを控えるのが良いでしょう。また、低置胎盤の原因も医学的に完全に解明されているわけではないため、喫煙も病気もなく、若いうちの妊娠でも低置胎盤になることもあります。低置胎盤の場合は、治療や予防よりも、判明してから状態を悪化させないことといえます。
低置胎盤の再発可能性
低置胎盤の結果。帝王切開で出産したということであれば、再発のリスクが高まる可能性が指摘されています。ただ、それでも、妊娠できなくなるというわけでもありませんし、出産は可能。再発を必ず防げる方法というのもありませんので、過度に心配しても仕方ないでしょう。また、低置胎盤の診断や検診は産婦人科で行います。低置胎盤の場合は、胎盤が子宮付近に来ているので、産婦人科の内診は注意が必要です。
低置胎盤についてご紹介しました。妊娠中の症状に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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