アトピー性皮膚炎に効く食べ物や飲み物がある?断食は危険?食事の注意点は?ココナッツオイル、馬油は?
- 作成:2016/04/14
アトピー性皮膚炎は、食事が関係しているとの考え方がありますが、良い作用も悪い作用も含めて、科学的に根拠があるものは多くない状況です。断食の可否や飲み物の考え方も含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
アトピー性皮膚炎と飲み物 お茶や水、コーヒーでよくなる?悪くなる?
アトピー性皮膚炎の時の食事の考え方
ヨーグルトや乳酸菌が効く?腸内環境改善でよくなる?
アトピー性皮膚炎と調味料 砂糖や塩でよくなる?悪くなる?
ココナッツオイルや馬油は効果がある?
「アトピー性皮膚炎で断食」は意味がある?危険?
アトピー性皮膚炎と飲み物 お茶や水、コーヒーでよくなる?悪くなる?
「烏龍茶、ルイボスティーなどでアトピー性皮膚炎が良くなる」という説が時々出てきますが、なかなか十分な証拠を持つ、科学的な研究には発展せず、確かな結果は出ていません。
一方で、特定のお茶でアトピー性皮膚炎が悪化したという報告があります。また、缶コーヒーの添加物のアレルギーになってしまったという報告、毎日大量の水を飲んで腎不全になったという報告など、副作用を指摘する科学的な論文はたくさん出ています。
今のところはアトピー性皮膚炎を軽くするために、特定の飲み物ばかり飲むというスタイルは、副作用を上回るメリットがあるとは考えにくいです。
アトピー性皮膚炎の時の食事の考え方
アトピー性皮膚炎の食事については、医師の間でも長い間混乱がありました。皮膚科では「食べるものは全く関係ない」という人が多く、小児科では「厳密な食事制限が大切である」という人が多かったのです。しかし、近年ようやく意見が一致してきました。
食べてすぐに、全身に蕁麻疹(じんましん)が出るものは食べるべきではありません。ひどくなると、冷や汗とともに、息苦しくなって生命に危険が及ぶこともあります。喉の奥に違和感が出るものも食べない方が良いでしょう。口の周りが、点々と少し赤くなる程度の場合は、食べても良いと考えられます。
ヨーグルトや乳酸菌が効く?腸内環境改善でよくなる?
「ヨーグルトや乳酸菌をつかった食品を食べるとアレルギー性疾患が改善する」という研究が、多数出てきています。また、腸内の細菌を抗生物質で殺菌すると、アレルギー性疾患が悪くなることを示す研究もあります。しかし、効果を否定する論文もでていますから、腸内環境改善の効果はまだ完全に証明されたというわけではありません。
アトピー性皮膚炎と調味料 砂糖や塩でよくなる?悪くなる?
砂糖や塩でアトピー性皮膚炎が良くなったり、悪くなったりするということはありません。いずれも生命を保つためには必要なものですが、過剰に取ると健康に悪いことは明らかです。バランス良い食事を心がけてください。
植物由来の油脂はアレルギー性の病気に悪いという研究があり、マーガリンを食べているとバターを食べている場合よりも、「IgE」というアレルギーに関係する抗体が増えるという論文もあります。しかし今のところ、マーガリンなどの植物油脂がアトピー性皮膚炎を本当に悪化させるかどうかの結論は出ていません。
ココナッツオイルや馬油は効果がある?
アトピー性皮膚炎は保湿をするのが良いということがよく知られているため、多くの方が様々なクリームや乳液を保湿のため、炎症のある皮膚に塗っています。しかし炎症を起こしている皮膚はかぶれを起こしやすく、保湿剤にかぶれてアトピー性皮膚炎が悪化しているということがあります。そのような場合、今までに塗っていた保湿剤をやめて馬油などに変えると改善するということもあるでしょう。ただ、現時点では、アトピー性皮膚炎にココナッツオイルや馬油が有効であるという臨床研究はない、つまり科学的な根拠は不明です。
「アトピー性皮膚炎で断食」は意味がある?危険?
「アトピー性皮膚炎は通常の治療では治らない」と様々な手法で宣伝して、特殊な「治療(のようなもの)」をすすめて、収益を追求するというビジネスがあります。断食もそのようなビジネスで使われたことがあり注意が必要です。断食がアトピー性皮膚炎にどのような影響を持つかについては、現在までに科学的なデータは示されていません。普通の医師が行う治療は、日々、現在までに世界中で積み重ねられたデータに基づいて、科学的に効果が実証されているものです。安易に個人のブログや広告の内容をうのみするのは、効果がないばかりか、体に悪い影響が出たり、余計な経済的な負担につながりかねませんので、注意をした方がよいでしょう。
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アトピー性皮膚炎の時の食べ物や飲み物の考え方についてご紹介しました。アトピー性皮膚炎の発症や改善に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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