胃がんの原因と予防方法 ピロリ菌が最多?遺伝や食生活との関係は?

  • 作成:2016/07/04

胃がんの原因は、最近よく耳にするようになったピロリ菌が大きく関係していますが、遺伝や食生活が関係する側面もあります。予防の考え方を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

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胃がんの原因 ピロリ菌との関係
胃がんの原因 遺伝との関係
胃がんの原因 食生活との関係
胃がんは予防できる?気をつけるべき点

胃がんの原因 ピロリ菌との関係

胃がんの原因は完全には明らかにされていませんが、近年になってピロリ菌(H. pylori)の感染が胃がんの発生に大きく関与していることが判明してきました。そもそもピロリ菌は、1983年にオーストラリアの医師によって発見された細菌であり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、慢性胃炎の方のうち、約80%以上で感染していることが分かっています。さらにピロリ菌の除菌治療を行うとこれらの病気の再発が無くなることも分かっています。

のちの研究では、ピロリ菌感染が胃がんの発症にも関与していることが示されています。日本で行われた研究では、1,527人を平均7.8年間にわたって内視鏡検査で追跡した結果、ピロリ菌感染者からは2.9%の胃がん発生があったにも関わらず、ピロリ菌に感染していない人からは胃がんは発生しなかったとの報告もあります。現在、日本で発生している胃がんの98%はピロリ菌感染によるものと言われており、ピロリ菌は胃がん発生の重要な因子(リスク)と言えます。

胃がんの原因 遺伝との関係

がんの種類によっては遺伝が重要な要素となる場合がありますが、胃がんの原因としては遺伝よりも、ピロリ菌感染による萎縮性胃炎や、塩分の過剰摂取、喫煙、飲酒など生活習慣のほうが重要視されています。家族どうしでは、遺伝に加えて喫煙や飲酒などの生活習慣が似ている可能性が高いため、胃がんに対して同じ危険因子を持ちやすいといえます。

ただ、胃がんの中でも悪性度が高く「腹膜播種」(おなかの中にがん細胞が広がること)を来しやすい「スキルス胃がん」と呼ばれるタイプでは、通常の胃がんに比べて発症年齢が低く、ピロリ菌の関与も少ないと言われており、遺伝性が強いといわれています。

胃がんの原因 食生活との関係

胃がんの外的要因としては、食べ物の影響が大きく、発がんリスクとしては塩分の過剰摂取、喫煙、飲酒が挙げられます。食事とがんとの関連について日本で行われた研究では、1990年に日本各地の40歳から59歳の男女約4万人を対象としてアンケート調査を行いました。その結果、日本人の主な食生活のパターンは干物や漬物、味噌汁など塩分の多い「伝統型」、野菜や乳製品を多く摂る「健康型」、肉類を多く摂っている「欧米型」の3つ分けられました。このうち胃がんの発症リスクは男女ともに、塩分の多い伝統型で他のパターンに比べて高いという結果でした。この調査からも胃がんのリスクを減らすためには、高塩分な食事の割合を減らして、野菜や果物の摂取を心掛けることが大切であると言えます。

胃がんは予防できる?気をつけるべき点

がんの原因には喫煙やアルコールなどの生活習慣のほか、遺伝、感染症などが知られています。特に胃がんでは、日本人のかかっている胃がんの98%がピロリ菌感染によるものと言われており、ピロリ菌の除菌は胃がん予防において重要です。また、胃がんの危険因子として塩分の過剰摂取や、喫煙、過度な飲酒も上げられるため、バランスのとれた食生活も日々行える予防法として大切であると言えます。


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胃がんについての原因や予防方法をご紹介しました。胃の痛みに不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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