胃がんの初期症状 自覚可能?おなら、口臭、食欲に変化?背中も痛む?ピロリ菌感染は自分で気づける?
- 作成:2016/07/11
胃がんは非常に症状を自覚しにくい症状といえますが、おなら、口臭、食欲に変化が起きることもあります。背中の痛みが胃がんと関係している場合もあります。どのような症状が起き、どのような点に気をつけるべきなのかを、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は6分です
- 胃がんに前兆(兆候)がある?初期症状、自覚症状は?
- ピロリ菌感染は自分できづける?
- 胃がんの初期症状 胃、背中、腰の痛みはどう関係?
- 初期にげっぷやおならに変化? 口臭も?
- 初期に食欲が低下することも
胃がんに前兆(兆候)がある?初期症状、自覚症状は?
胃がんは自分では気づきにくいがんの代表です。初期の段階に気づきにくいというだけではなく、進行してからもなかなか症状が表れにくい病気です。そのため知らないうちにがんが成長してしまい、症状が進行してしまう恐れがあります。
がん全体から見ると、胃がんの発症者の割合は年々減りつつあります。これは胃がんの研究や予防が進んだこと、また治療方法が向上したことが背景にあるといえます。しかし治療が進歩したとはいえ、がんの成長が進めば進むほど治りにくくなりますから、胃がんはまず何よりも早期に発見することが重要です。
胃がんを発症した方の約半数は、ささいな体調の異変をきっかけに検査をしたことで、胃がんが見つかっています。後述の症状を見逃さず、早期発見に努めましょう。また自覚症状はなかったとしても、胃がんは年齢を経るごとに発症の確率が高くなります。50歳になったら定期的な検診を怠らないようにしましょう。可能ならば40歳代から、受けると良いでしょう。また若い方が発症すると急激に症状が進行してしまいますから、後述のような症状を感じたら年齢に関係なく検査を受けてください。
ピロリ菌感染は自分できづける?
さらに胃がんの原因として最近大きく取り上げられているのが「ヘリコバクター・ピロリ」という菌の感染です。この菌は口から入り込んで胃の中に住みつく菌です。まだ上下水道設備が整っていなかった時代に子どもだった方には、この菌の保有者が多く見られます。
最近の研究により、ピロリ菌が分泌する物質が免疫系に働きかけて、病気になりやすい環境を作ることがわかってきました。その結果として胃がんになってしまう可能性があるといわれています。ピロリ菌は胃がんの他にも、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、慢性胃炎の原因にもなると考えられています。
ピロリ菌に感染していても、症状に気づかないことも多いです。しかし、感染していれば、胃がん発症のリスクも高くなると考えられますから、一度ピロリ菌の検査を受けてみることを強くお勧めします。若い人でも、親から子へ感染する可能性がありますから、検査が不要とは言えません。検査は簡単で短時間で済みます。またピロリ菌に感染していたとしても、薬を飲むことで除菌を行うことができます。
胃がんの初期症状 胃、背中、腰の痛みはどう関係?
胃は何層もの膜が重なってできています。最も内側にある(食べ物などと接する部分)のが「粘膜」です。初期のがんでは、この粘膜層にこぶ状の隆起があったり、へこんだりしていますが、ほとんどの場合に自覚症状はありません。
胃がんに伴って起きやすいのが「胃潰瘍」や「慢性胃炎」です。胃潰瘍は胃の粘膜がくずれたり、ただれたりしてしまうことで起こります。ストレスやたばこ、またはピロリ菌などが原因で、粘膜を保護する物質が減ってしまうために起こると考えられています。胃がんに伴う症状の中には、胃がんそのものが原因で起こるものもありますが、胃潰瘍や慢性胃炎によって起こる症状も多く、それらの症状をきっかけに検査をして、胃がんが発見されることが多々あります。
胃潰瘍ができると、胃に痛みを感じることが多くなります。特にみぞおちの当たりや、わき腹に痛みを感じます。胃潰瘍では、食後に痛みを感じることが多いようです。また、炎症が広範囲に及んでいると、背中や腰にかけて痛みが生じることがあります。ただし胃がんが原因の胃の痛みの場合には、食事に関連する痛みとは関係ないことも多いです。胃痛を感じたら原因を知るためにもまずは受診してください。
初期にげっぷやおならに変化? 口臭も?
また胃がんの初期には、胃に不快感や違和感、鈍痛を感じたり、気分が悪くなったりすることもあります。胸やけや消化不良を起こしたり、げっぷやおならが頻繁に出たりします。胃酸の分泌が多くなるせいで、げっぷが酸っぱく感じたり、口臭がしたりする場合もあります。
これらの、胃の痛みやげっぷの変化などのような症状は油っぽいものをたくさん食べたり、お酒を飲みすぎたりすると誰にでも起こるようなことなので、軽く受け取られがちです。「食べ過ぎただけだ」と自分で判断して、胃薬などで済ます方も多いですが、万が一のことを考えて、気になる症状があるようならば検査をしましょう。一度限りの症状ならば、大事である可能性は低いですが、食事の度に胃痛や不快感を生じたり、やたらとげっぷが出たりするようであれば、胃に何らかの異常が生じている可能性があります。
初期に食欲が低下することも
また胃潰瘍になるとお腹が張ったような感じがして、満腹感があり、少し食べただけでお腹がいっぱいになる感じがします。そのため、胃がんの初期症状として、食欲もわきにくくなり、食欲不振になる場合があります。夏に食欲不振になっても夏バテを起こしたためだと思い込んでしまい、胃がんの初期症状を見逃しやすくなります。もし食欲がないままで体重が減っていくようであれば、一度検査を受けてください。
胃がんは早期の場合であっても、内視鏡検査をすれば粘膜に隆起やくぼみが見つかります。早期胃がんであれば異常のある場所がわかるだけでなく、内視鏡を使った治療が可能かどうかを判断する材料にもなります。この時期に発見して適切な治療を受ければ、たいていの胃がんの治療見通しは良く、治る可能性もあります。定期検診による早期発見が大切なのはそのためです。
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胃がんについて、初期症状をご紹介しました。胃の痛みに不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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