熱い飲み物も胃がんのリスクに?胃に負担をかける8つの項目
- 作成:2021/08/25
近年、胃がんの新しい診断方法や治療方法が向上しています。治ったとされる目安の“5年生存率”は、ステージIの早期なら95%前後、進行したステージIIIでも約50%に達しています。現在、早期の胃がんは治るのを前提に胃の機能を保つ治療が行われ、病気になる前とほぼ変わらない生活を取り戻せるケースも増えています。 ※この記事は医師監修のもと、作成しております
この記事の目安時間は3分です
長引く胃の不調は注意信号
早期だけでなく進行しても無症状のことがあるのが、胃がんです。そのため、早期発見には定期的な検診がとても有効です。年に一度は、厚生労働省の指針で職場や各市区町村が実施している検診を受けてください。胃がん検診の受診率は50%程度となっており、受診されていない方が多くいらっしゃいます。
少しでも早く発見するためには、胃の不調を放っておかず早めに受診することが重要です。
食べ過ぎ飲み過ぎなどで胃の調子が悪くなるのはよくあることですが、長引く場合は要注意です。胃がんの代表的な症状には、胃(みぞおち周辺)の痛み・不快感・違和感、胸やけ、吐き気、食欲不振などがあります。これらの症状は胃炎や胃潰瘍にもみられますが、自己判断は禁物。食べ物がつかえる、体重が減るなどの症状が現れたときには、胃がんが進行している可能性もあります。そんな時は、次の検診を待たずに医療機関を受診しましょう。
胃がんにかかりやすい人がいる?
胃がんは、胃の粘膜細胞が何らかの刺激を受けて発生するといわれています。かかりやすくなる要因は、いくつか明らかにされていますが、自分がかかりやすいかどうか気になるところです。次の項目にチェックが多く入るほど、リスクは高くなります。
□塩からいもの、味の濃いものが好き
□偏った食事をしている(緑黄色野菜や乳製品などが少ない)
□熱い飲み物、食べ物を熱いうちに飲み込む
□タバコを吸う
□お酒をたくさん飲む
□40歳以上
□ストレスが多いと感じる
□ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)に感染している
要因の中でも大きく関わるのは食事です。塩漬けの魚や肉、漬け物など塩からいものを食べ続けると胃がんにかかりやすく、魚や肉の焼けこげなど、発がん物質を含む食品を食べ続けるのもリスクを高めます。また、熱いものを熱いまま飲み込むのも胃の粘膜にダメージを与えます。
嗜好品では、たばこを吸う人は吸わない人に比べ2倍も胃がんになりやすく、飲酒は胃の上の方にある噴門部のがん発生に関わるという研究があります。
また、ピロリ菌は胃にすみつく細菌で炎症を引き起こし、50歳以上の人の約70%以上が感染しているとされ、感染経路の約8割が家族内感染で、小児にも感染します。「両親や祖父母など近親者が胃がんにかかった」「胃の調子がよくない」「胃・十二指腸潰瘍などと診断された」という場合は、ピロリ菌の検査をおすすめします。もし感染していたら除菌治療を行います。除菌すると胃がんの発生率が下がることがわかっており、がん予防効果が期待されています。
若者にも発症する「スキルス胃がん」
胃がんは中高年で発症することが多く、50代から急増し80代でピークになります。また、喫煙者が多い男性や、ピロリ菌に高確率で感染している高齢者で発症しやすいとされます。ただし、女性や20代の若者にも発症する胃がんがあります。それが「スキルス胃がん」です。
スキルス胃がんは、進行が早く治療が難しいがんです。がん細胞が塊を作らずにバラバラになりやすい性質があり、見つかった段階で既に腹の中に種をまかれたように散らばる“腹膜播種(ふくまくはしゅ)”という転移を起こしやすいのが特徴で、それを手術で取りきることは難しく、再発しやすいのです。
スキルス胃がんであってもほかのタイプの胃がんと同じように治療されますが、スキルス胃がんでよくみられる腹膜播種に対して、2000年頃に「腹腔内化学療法」という治療法が開発され、その後は複数の医療機関で治験が行われています。「腹腔内化学療法」は抗がん剤を腹の中に直接注入し、散らばったがん細胞を強力に抑える方法で、治癒につながることが期待されています。
<参考>
日本医師会 知っておきたいがん検診
国立がん研究センター がん情報サービス
がん種別統計情報
最新がん統計
胃がん
国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ/たばこ・お酒と胃がんの関連について
米子医療センターマガジン あーかす
東京大学医学部附属病院 スキルス胃がんの新しい治療
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