既往歴(既往症)とは?現病歴との違いは?風邪も含む?隠すと危険?

  • 作成:2016/07/14

既往歴(既往症とも言います)とは、過去にかかった病気を示す言葉で、考え方としては、「定期的に病院に通って診察や検査、治療などを一定の期間継続して受ける必要がある病気」ですので、風邪などの一時的な病気は含まれません。現病歴との違いや、既往歴を隠すリスクを含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

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既往歴とは?既往症とは?どういう意味

「既往歴(きおうれき)」とは、これまでにかかった病気を指す言葉です。「既往症(きおうしょう)」と言うこともあります。過去に病院で治療を行った病気や手術を指しており、過去の病気や手術、治療の経過などが現在の健康状態や病気の発症、治療内容などに影響を与える可能性があるため、病院を受診した場合は必ず聞かれる項目の1つとなっています。

既往歴と現病歴の違い 線引きは?

既往歴と似た言葉に「現病歴(げんびょうれき)」があります。既往歴は過去にかかった病気や手術を指すのに対し、現病歴は現在かかっている病気を指します。「現在かかっている病気」と言っても、風邪など一時的な病気は含まず、定期的に病院を受診して、治療や検査を受けているなど、一定の期間以上何らかの形で診療を受けている病気が対象になります。

また高血圧、高脂血症、糖尿病などの場合、過去から現在に至るまで定期的な診察や治療を受けている方が多くいらっしゃいます。このような場合には既往歴と現病歴の両方にあてはまるように思われますが、既往歴は基本的には「過去に治療を行っており。現在は治っている病気」を指します。そのため、過去から現在に至るまで治療や検査などを継続して受けている病気がある方は、「現病歴」の欄に記載すると良いでしょう。

風邪も既往歴に入れるべきなの?医師はどのような情報を求めている?

既往歴は「過去にかかった病気」を指す言葉ですが、どこまで細かく申告すべきか悩むという話がしばしばあります。そもそも、病院で既往歴を質問する目的は、過去にかかった病気や行った手術などが、現在の健康状態や病気の発症に影響がしている可能性があり、既往歴を知ることで現在の病気の診断や治療の重要な手がかりになる可能性があるためです。

そのため、風邪に代表される「後遺症を残さず治癒する一時的な病気」は既往歴に記載する必要がないと考えるのが一般的です。既往歴に記載する必要があるのは、定期的に病院に通って診察や検査、治療などを一定の期間継続して受ける必要がある病気であり、また手術を受けた病気なども既往歴に記載する必要があります。また広い意味ではアレルギーの有無や内容、薬の副作用、出産経験なども既往歴に含まれる場合があります。

既往歴や既往症を隠すリスク

既往歴は過去の病気に関連する個人情報であり、場合によってはあまり公にしたくない情報を含んでいる可能性があります。そのため病院で既往歴を聞かれた際に、正確に申告したくないと感じる場合もあるかと思われます。病院で既往歴を正確に申告しなくてももちろん罰則などはなく、お医者さんや看護師さんに見抜かれることも実際にはあまりありません。しかし、既往歴は病気の診断や治療の重要な手掛かりになる可能性があるため、既往歴を隠すことで病気の診断や治療が遅れたり、間違ったりする可能性を高くすることがあると言えます。

また病院以外でも、企業への入社時や医療保険、生命保険の加入時などに提出する書類に既往歴を記載する場合があります。これらの書類を記載する場合に既往歴を隠すと、会社では入社後に健康状態に問題が起こった場合に「既往歴を隠して入社した」として問題になる可能性があります。また医療保険、生命保険では既往歴を含む健康状態について正しく申告する義務(告知義務:こくちぎむ)があり、虚偽があると判断されると必要な場合に保険が支払われなくなるなどのリスクを含んでいます。そのため、各種の書類を記載する際の既往歴は正確に書く必要があります。

既往歴、既往症についてご紹介しました。過去の病気の申告範囲などの疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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