里帰り出産する?しない?医師約800名の実態と希望
- 作成:2021/02/04
エムスリーでは出産にまつわる意識調査を実施。790名の医師より回答を得ました。ここでは、医師の「里帰り出産」事情についてレポートします。
この記事の目安時間は3分です
【調査概要】
出産はどうでしたか?
回答期間: 2020年11月26日 (木)~12月2日 (水)
回答済み人数: 1,377人(うち医師790人)
医師の約半数が里帰り出産を経験するも、コロナ禍で希望は少なく
まずはお子様のいらっしゃる医師に伺った「里帰り出産のご経験」についての集計結果をご紹介します。
医師全体では47.1%が「はい」と回答し、里帰り出産のご経験は約半数という結果に。内訳を見てみると、男性医師(配偶者の出産方法)では「はい」が48.9%であるのに対し、女性医師では39.6%と約10%の差がついています。
参考までに、2018年に厚生労働省の子ども・子育て支援推進調査研究事業が公表した調査結果によると、出産に当たって里帰りをした方は全体の50.1%。
単純比較はできませんが、医師全体・男性医師と一般の方々とにはあまり大きな差は無いものの、女性医師とは10%程度の差があることが分かります。
さらに、将来的にお子様を持つことを考えている方に伺った「里帰り出産のご希望」についての集計結果をご紹介します。
医師全体では27.3%が「はい」と回答し、里帰り出産のご希望は実態よりも低いという結果に。内訳を見てみると、男性医師(配偶者の出産方法)では「はい」が28.0%、女性医師は21.9%と、実態同様、女性医師では里帰り出産を希望されない方が、より多いことが分かりました。
この実態と希望の乖離については、一般的にも里帰り出産をされる方が年々減少していることに加え、コロナ禍で地元に帰りにくいという事情も関係しているのかもしれません。
「実家のサポートが得られる里帰り」か、「父親の主体的な育児を促す」か
ここからは、自由回答で伺った「里帰り出産」にまつわる医師のコメントをご紹介します。
【里帰り出産をした方】
- 夫の仕事が忙しく、産後のサポートが得られにくいと感じたため、産前産後合わせて2か月、里帰りをしました。特に産後、食事の準備や上の子の世話を親が手伝ってくれたのが本当に有り難かったです。産後、疲れて鬱々としていた時も、実家の明るい雰囲気にとても助けられました。(女性,40代,小児科系)
- 一人目が切迫早産で、妻の実家近くの周産期センターに長期入院となった。そのことをきっかけに、妻の実家近くの病院に転勤し、その後4子の父親となり、妻の実家近くに定住し、クリニックを開業した。(男性,40代,内科その他)
- 子供は3人いますが、最初の長男のみ里帰りしました。夫は安心して仕事に専念できるので里帰りがいいと思います。(男性,50代,消化器科系)
- 実家で1か月半ほど世話になった。とてもじゃないが夫婦だけでは新生児期の世話などできなかったと思う。(女性,30代,外科系)
- 夫が当直や学会などが多く、出産前後に対応できなかったため(女性,30代,内科その他)
【里帰り出産をしなかった方】
- 夫と2人で親として頑張りたかったので、1ヶ月育休を取ってもらい里帰り出産しなかった。大正解で、夫は今も子供の世話が全て私と同じだけできるので助かる。家族の絆も深まった。(女性,30代,内科その他)
- 夫が育休がとれたので、一緒に子育てをはじめようと思ったから(女性,20代,耳鼻咽喉科)
- できるだけ夫婦の時間を大事にするため(男性,30代,整形外科系)
- 里帰りしなかったので出産前後は大変でしたが、父親として子どもが認知するのも早かったです。(男性,40代,腎泌尿器科系)
- はじめから夫婦で子育てすべきだから(女性,40代,外科系)
- 私の母に私の家に来てもらって産後の世話をしてもらった。第一子の時は意外と暇で、母と二人でのんびり過ごしていたが、その後、年子で双子が生まれた時は母に第一子の面倒も見てもらい、私は新生児二人の世話をしていた。 (女性,30代,整形外科系)
- 妻の実家が比較的近いこともあり、里帰りの必要がなかった。可能であるなら、母方祖母などが「産前産後の手伝いに来てくれる」形の方が、(特にウィズコロナ期の移動の制約を考えると)望ましいと考えます。(男性,40代,外科系)
- 実家がすぐそばなので必要なかった、実質里帰り出産みたいなものでも有った(男性,50代,内科その他)
- 妻の実家が遠く、飛行機での移動となるため、逆に義母に来てもらった。(男性,40代,耳鼻咽喉科)
- 妊娠中の帰郷や、産後(新生児の乳児連れ)の帰京の負担が大きいため里帰りはしなかった。(女性,50代,精神科系)
- 実家近くに希望する設備が整った病院がない(女性,20代,小児科系)
里帰りをされた方からは、実家のサポートが得られてよかったというご意見。里帰りをされなかった方からは、夫婦で協力しあって育児ができてよかったというご意見が寄せられており、どちらを選んでも一定のメリットがあることが分かりました。
ただし、里帰りをしない場合には、父親の育児参加や、実家・義実家からのサポートがあることが前提という意見が目立ちます。産後の母親一人きりでの子育ては、産後鬱の一因にもなることが知られています。夫婦お互いが主体的に育児に取り組むことや、実家・義実家、行政などのサポートを適切に求める事が重要と考えられるのではないでしょうか。
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