片頭痛に市販薬は効かない?【医師監修】
- 作成:2021/08/05
日常でよく出会う頭痛には「緊張型頭痛」と「片頭痛」があります。市販されている痛み止めは「片頭痛」には効きにくいとされていますが、これは本当でしょうか。
この記事の目安時間は3分です
Q.片頭痛に、市販薬の痛み止めは効かない?
A.軽いものであれば、市販薬の痛み止めでも十分に対応できる。
「片頭痛」は市販薬の痛み止めでは治らない・・・そんな風に思っている人も多いです。確かに症状の重いものは病院で処方される専用の薬を使う必要がありますが、症状の軽いものであれば市販薬の痛み止めでも対応することができます。どんな片頭痛であれば市販薬でも対応できるのか、どういった場合には病院を受診すべきかを知っておきましょう。
まずは一般的な痛み止め(NSAIDs)を試してみても良い
市販薬としても販売されている一般的な痛み止め、NSAIDs(ロキソニンS®など)では片頭痛は十分に治らないことがあります。そういった場合には病院を受診し、「トリプタン」という片頭痛専用の治療薬を使うのが一般的です。しかし、NSAIDsが全く効かないかというと、そうでもありません。症状の軽いものであれば十分に効果が期待できます1)。そのため、まずはドラッグストア等でも安く購入できるNSAIDsを試してみるのが初手として良いと考えられます。
特に、NSAIDsであれば肩凝りなどから来る緊張型頭痛であっても効果があるため、緊張型頭痛なのか片頭痛なのかがよくわからない時、両方が混ざっていそうな時にも良い選択肢になります。つまり、セルフメディケーションで頭痛に対処する場合、NSAIDsは片頭痛でも緊張型頭痛でもどちらでも対応できる便利な痛み止めになる、ということです。
薬を使っても治らない、薬を頻繁に使ってしまう場合は病院受診を
ただし、NSAIDsを使ってもすっきりと治らない片頭痛の場合は、病院を受診してより専門的な治療を行うことをお勧めします。また、たとえNSAIDsでそれなりに治まっている人でも、用法用量を超えた使い方をしなければならない場合には、その治療方法は変えた方が良いです。また、月に2回以上あるいは6日以上頭痛に悩まされている人2)は、片頭痛を起こさなくするための”予防薬”を使うことも考える必要があります。月に何日くらい片頭痛に悩まされているのか、カレンダーなどに記録をした上で、病院を受診することをお勧めします。
「片頭痛」と紛らわしい危険な頭痛に注意
片頭痛はわりとよくある頭痛ですが、病院で片頭痛だと診断されたわけではなく、自分でなんとなく「片頭痛だろう」と思って対処している人も意外とたくさんおられます。このとき気をつけて欲しいのは、自分では片頭痛だと思っている人の中には、実は片頭痛ではない危険な頭痛が潜んでいることがある、ということです。実際、クモ膜下出血や脳梗塞のごく初期の症状は片頭痛と間違いやすい3)ことが知られています。こういった危険な頭痛を「片頭痛」と思い込んで痛み止めを飲んでいると、適切な治療が遅れてしまう原因になります。そのため、頭痛への対処を考える際には、危険な頭痛の可能性を自分でも見逃さないことが大事になります。
たとえば、緊張型頭痛や片頭痛は「大人になって初めて経験する」ということは滅多にありません。そのため、基本的には昔からよく経験する「いつもの頭痛」です。つまり、「人生で初めて経験するような頭痛」は緊張型頭痛や片頭痛ではない、クモ膜下出血や脳梗塞を疑う必要がある頭痛と言えます。特に、「少しずつ悪化してきた頭痛」ではなく「一瞬で痛みのピークに達した頭痛」というのも、出血などを疑う必要のある症状です。これらに当てはまる点がある場合は、すぐに病院を受診するようにしてください。
(参考文献)
1) JAMA . 2021 Jun 15;325(23):2357-2369. PMID: 34128998
2) 慢性頭痛の診療ガイドライン2013
3) JAMA. 2004 Feb 18;291(7):866-9. PMID: 14970066
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