「これ、片頭痛?それとも…」見逃してはならない頭痛、判断のポイント

  • 作成:2022/02/26

頭に痛みを感じるものを一般的に「頭痛」と呼びますが、その原因には肩凝りや眼精疲労、神経のトラブル、頭部の外傷、脳卒中やくも膜下出血、緑内障、高血圧、副鼻腔炎、虫歯、一酸化炭素中毒など様々なものがあります。このうち片頭痛は、緊張型頭痛と並んでよくある頭痛の1つで、日本の調査でも男性の50人に1人、女性の11人に1人が片頭痛だったという調査1)もあるほど身近な疾患です。 片頭痛は、生活に大きな支障を来たすこともある厄介な頭痛ですが、これ自体が命を脅かすようなものだとは言われていません。しかし、頭痛は脳出血や脳梗塞、くも膜下出血といった生命に直結するような疾患でも起こるため、こうした危険な疾患との見分けは非常に重要になります。厳密な診断は医師にしかできませんが、軽い片頭痛であれば一般的な痛み止めでも十分に対応できますので、基本的な特徴を知っておくと非常に便利です。

アスクドクターズ監修ライター アスクドクターズ監修ライター

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「これ、片頭痛?それとも…」見逃してはならない頭痛、判断のポイント

片頭痛の見分け:痛み方

片頭痛で特徴的なのは、右側か左側のどちらか片方に、一定のリズムで痛みが強くなる(※拍動性)ような痛みが現れることです。特に、階段を登るなどの日常動作で痛みが悪化するような痛み方は、片頭痛の診断基準の1つにも挙げられています3)
そのため、「右のこめかみ辺りが、ズキンズキンと痛む。動こうとすると痛みが悪化するので横になって休みたい」というような症状があれば片頭痛の可能性が考えられますし、逆に「頭全体が締め付けるようにズーンと痛むが、特に歩いたり走ったりしても悪化するわけではない」というような場合は、片頭痛ではない可能性が考えられます。

片頭痛の見分け:痛みの始まり方

片頭痛や緊張型頭痛といった日常的な頭痛は、あまり急激に現れ始めることはありません。朝からなんとなく頭痛の“種”のようなものがあり、それがじわじわと悪化してきて今に至る…といったような悪化の仕方をするのが一般的です。一方、脳梗塞やくも膜下出血といった危険な疾患による頭痛は、あるタイミングで急激に発生し、一気に痛みがピークに達します4)

そのため、「昨日くらいから調子が悪くて、今日は頭痛が酷い…」という痛み方は片頭痛である可能性が考えられますが、「さっきトイレに行った時から急に頭が痛い…」というのは片頭痛ではなく、何か危険な頭痛も疑う必要がある、ということになります。

片頭痛の見分け:痛みに伴う症状

片頭痛では、頭痛と合わせて光や音に過敏になったり、吐き気を伴ったりすることがよくあります3)。これは他の頭痛ではあまり起こらない特徴であるため、片頭痛かどうかを見分ける重要な手がかりになります。そのため、「蛍光灯の光やスマートフォンの画面、横断歩道の白い線の反射すらも異様に眩しく感じる。」といったようなことを感じる場合は、片頭痛の可能性が高くなります。

一方、他の頭痛でも色々な症状を伴うことがありますが、たとえばくも膜下出血では「首に痛みや硬直がある(アゴが胸につかない)」といった症状4)、脳卒中では「笑顔を作ろうと思っても表情が左右で歪む」「両腕を上げたままキープできない」「呂律が回らない」といった症状5)がそれぞれ典型的です。こうした症状があれば、片頭痛などを疑うのではなく、すぐに119番通報する必要があります。

片頭痛の見分け:発症した年齢

片頭痛は若い女性に多い疾患ですが、発症するのは基本的に思春期から30代にかけての時期が多く6)、50代を過ぎてから“初めて片頭痛を起こす”ということは非常に稀です。つまり、40~50代以降で片頭痛を患っている人は、10~20代の頃からずっと片頭痛を患ってきているケースがほとんどだということです。逆に言うと、40代以上の人が“これまでの人生で感じたことのないような初めての頭痛”を感じた時4)には、片頭痛よりも脳梗塞やくも膜下出血を疑う必要があります。

片頭痛と紛らわしい危険な頭痛を見逃さないために…

片頭痛の話をしていると、緊張型頭痛との見分けがよく話題になります。確かに、片頭痛と緊張型頭痛では痛みの感じ方にも違いがあり、多くの人が興味・関心を抱くようです。

実際の治療という観点で言えば、片頭痛でも緊張型頭痛でも、軽いものであれば「アセトアミノフェン」や「ロキソプロフェン」といった一般的な痛み止めでどちらも対処できるため、多くの場合この2つの鑑別はあまり重要ではありません。むしろ、片頭痛の特徴は、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血といった危険な疾患を片頭痛だと勘違いして見逃してしまわないようにするために、活用してもらえたらと思います。

1) Headache . 2004 Jan;44(1):8-19.
2) JAMA. 2004 Feb 18;291(7):866-9.
3) 日本頭痛学会「頭痛の診療ガイドライン2021」
4) JAMA. 2013 Sep 25;310(12):1248-55.
5) Prev Chronic Dis . 2008 Apr;5(2):A49.
6) Neurology . 2007 Jan 30;68(5):343-9.

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