子どもの薬、オレンジジュースと混ぜても良い?飲み合わせが悪い薬はある?
- 作成:2021/08/24
子どもが薬をなかなか飲んでくれないときは、薬をジュースに混ぜて飲んでも良い、という話を耳にすることがあると思います。これは、どんな薬でも当てはまる話なのでしょうか。
この記事の目安時間は3分です
Q.子どもの薬、オレンジジュースに混ぜて飲ませても良い?
A.飲ませる薬によって、良いこともあれば、ダメなこともある
子どもが薬を飲みづらそうにしていれば、何か飲ませやすい方法を考えたくなるのが親心です。しかしその際、混ぜるものを間違うと、薬が余計に飲みにくくなことがあります。
オレンジジュースと混ぜると、かえって飲みづらくなる薬がある
薬局などで、薬剤師から「この薬はオレンジジュースと混ぜると飲みやすくなりますよ」と説明された経験がある方も多いと思います。たとえば、『クラバモックス(アモキシシリン+クラブラン酸)』という子ども用の抗生物質(抗菌薬)は、そのままでは独特な風味のある粉薬ですが、水に溶かしたり、オレンジジュースと混ぜたりすることでこの風味が軽減され、かなり飲みやすくなります。
しかし、これは「クラバモックス」という薬の場合に言えることであって、他の薬でもすべて共通した話というわけではありません。中には、オレンジジュースと混ぜることで、かえって飲みづらくなる薬もあります。
たとえば、子ども用の『クラリス(クラリスロマイシン)』という抗生物質(抗菌薬)の粉薬がその代表例です。この薬はかなり強い苦味があるため、子ども用の粉薬には苦味を防ぐための甘いコーティングが施されています。しかし、薬をオレンジジュースやスポーツドリンクのような酸性の飲み物と混ぜると、このコーティングが剥がれてしまうため、薬そのものの強い苦味が現れるようになってしまいます1)(酸性の飲み物でなくとも、水に混ぜて長時間放置しておいたり、口の中に薬の粒が残っていたりしても、強い苦味を感じることがあります)。そのため、オレンジジュースに混ぜることは、むしろ避ける必要があります。
薬によって、飲みやすくなるか飲みにくくなるかは、かなり異なる
一般的に、冷たくて甘い、粘度の高いものは、薬の苦さを隠すのに効果的とされています2)。そのため、バニラアイスやチョコレートアイスなどは薬と混ぜるときによく使われます。しかし、インフルエンザの際に使われる『タミフル(オセルタミビル)』の粉薬はバニラアイスと混ぜると風味が悪くなるなど、常に飲みやすくなるわけではありません。
良かれと思って混ぜたジュースやアイスで、かえって薬を飲みにくくさせてしまう、という事態を起こさないよう、今の薬はどのジュースに混ぜるのが良いか、個々に薬剤師に相談することをお勧めします。
※薬とジュースの組み合わせの例
薬を飲む際の工夫は、必ず医師・薬剤師に確認する
最近は小児や高齢者で飲みやすくする服薬ゼリーなども販売されていますし、インターネットやSNS上でも「〇〇という薬は、こんな風にすると飲みやすかった!」という情報が拡散されることがあります。飲みにくい薬を飲みやすくする、という創意工夫はとても大事なことですが、場合によっては、こうした工夫によって薬の効果や安全性に問題が生じ、思わぬ副作用が起きたり、病状が悪化したりする可能性もあります。薬を何かに混ぜたり、手を加えたりする前に、その工夫は本当に自分にとって問題のないものかどうか、必ず医師や薬剤師に相談するようにしてください。
1) クラリスドライシロップ インタビューフォーム
2) 医療薬学.43(9):492-501,(2017)
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