お薬手帳を薬局に持っていくと支払いが安くなる?忘れた場合の対処法は

  • 作成:2021/11/07

薬局で持っているかどうかを聞かれる「お薬手帳」。お薬手帳を持っていると支払いが安くなる仕組みや有効な活用法をご紹介します。

この記事の目安時間は3分です

お薬手帳を薬局に持っていくと支払いが安くなる?忘れた場合の対処法は

Q:薬局で、薬をもらう際にお薬手帳を持っていくと安くなる?

A:(2021年時点の制度では)安くなります

処方箋を受け付けた際に、薬剤師が必要な説明を行い、患者さんからの情報を記録などした場合、薬局は「薬剤服用歴管理指導料」を算定することができます。この指導料の点数は2種類あり、手帳を持参すると43点、持参していないと57点を算定します1)。この場合、14点にあたる140円の差が生まれますので、お薬手帳を持って保険薬局に処方箋を持参すると、薬をもらう際に支払う金額が少し安くなります。

お薬手帳とは

過去から現在まで使用している薬の名前や飲み方などの情報を、アレルギー歴や薬による副作用なども併せて記載して保管するものが「お薬手帳」です。医師が診察する場合や、薬剤師が調剤する場合に、飲み合わせが悪い薬の服用を防いだり、アレルギーや副作用の確認をすることができます。

2011年に発生した東日本大震災では、医療機関も甚大な被害を受けたので、患者さんの記録などが見られなくなるという事態が起きました。その際に、患者さんがこれまでと変わらない治療が継続できるように、医師や薬剤師が服用薬を判断する際にお薬手帳がとても参考になりました2)

お薬手帳の歴史

お薬手帳に関する保険薬局での算定は2000年から始まりました。色々な病院や薬局で薬をもらっている場合、患者さん自身でそれらの薬を管理することが困難であるため、各医療機関で発行されたシールなどを貼って記録し、一元管理することを目標としました。

そのころは、患者さんが持ってきたお薬手帳を薬剤師が確認することで、保険薬局は「薬剤情報提供料」を算定することができました。現在は、かかりつけ薬局やかかりつけ薬剤師の浸透、前述した災害時などでのお薬手帳の有用性が評価されたため、「薬剤服用歴管理指導料」の中にお薬手帳の値段が組み込まれました3)

お薬手帳の有効な活用方法

お薬手帳は、病院で処方された薬を記録するだけではなく、病気の症状や気づいたことを記載すると有効に活用できます。例えば、熱が出て体調が悪いと感じたら、発熱があった時間や体温、咳や鼻水がなどの症状があるのかどうかを記録すると良いでしょう。それを医師や薬剤師に見せることで、治療の助けになります。

また、病院の薬に限らず一般用医薬品やサプリメントを記録しておくことも有益です。薬同士だけではなく、薬とサプリメントの飲み合わせを薬剤師が確認することができます。「お薬手帳」という名前ですが、自身の「健康手帳」として活用してみましょう。

自分が飲んでいる薬を管理するためにお薬手帳を利用する

お薬手帳を持って保険薬局に行くことで、支払う金額が安くなるだけではなく、飲み合わせの悪い薬を見つけたり、同じ効果の薬を重複して服用しないように確認することができるなど、多くのメリットがあります。

もし、お薬手帳を忘れてしまったら、多くの医療機関でシールを発行してもらえるのでそれを自宅に帰ってから貼るようにしましょう。シールの発行がない場合は、手書きで手帳に記録するか、薬をもらう際に渡される薬の情報が書かれた紙を挟んでおきましょう。お薬手帳は経時的に薬を記録するものなので、途中の記録がなくなってしまうのは好ましくありません。

最近ではお薬手帳をスマートフォンにアプリとして記録することができます。各メーカーから様々なものが開発されていますので、紙のお薬手帳では忘れてしまったり、荷物を少しでも減らしたいという方は検討してみてください。

1)調剤報酬点数表 厚生労働省
2)東日本大震災時におけるお薬手帳の活用事例 日本薬剤師会
3)お薬手帳への記載、以前は有料だった?

執筆:薬剤師K 調剤薬局勤務、薬剤師10年目

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