「こたつで寝ると風邪をひく」って本当?根拠はある?
- 作成:2021/11/09
昔から「こたつで寝ると風邪をひく」という話はよく耳にします。確かに、こたつで寝て風邪をひいた経験のある人もいるでしょうし、逆にこたつで寝ても平気だという人もいるでしょう。こうした伝承の真偽を少し考え直してみたいと思います。
この記事の目安時間は3分です
「こたつで寝ると風邪をひく」ということを示した、明確な根拠はないが・・・
そもそも「こたつで寝る」という行動が、「風邪」という結果を引き起こすかどうかをしっかりと確認しようと思ったらどうするか。たとえば同じ年齢で似たような生活をしている人たちを集めて、「こたつで寝るグループ」と「布団で寝るグループ」とにランダムに分け 、それぞれのグループからどのくらい風邪をひく人が現れたか・・・といったデータを集めて比較しなければわかりません。しかし、そのような 研究はこれまでに行われたことはないため 、「こたつで寝ると風邪をひく」という話に、明確な科学的根拠はありません。
しかし、だからといって「こたつで寝ても風邪をひく」という話は全くの嘘っぱちかというと、そうとも言えません。そこには、多少の“確からしさ”が含まれていることも事実です。
たとえば、こたつで寝るときと布団で寝るときの姿を想像してみてください。真冬であれば、多くの人は掛け布団にくるまって寝ると思いますが、こたつは構造上、そんな被り方はできません。どうしても肩や上半身はこたつの外に出てしまいがちです。昔は今ほど気密性・断熱性の高い家ではありませんでしたので、そのような格好で寝ていては、身体が冷えて風邪をひいてしまうことも多かったでしょう。
あるいは、暖房機能のついたこたつの内部は、普通の布団よりも温度が高くなります。こたつで寝入ってしまった後、だんだん熱くなってきて汗をかいて、こたつから出てきてしまう・・・そしてこたつの外で汗が冷えて風邪をひいてしまう、ということも考えられます。
こうした多くの経験談から、「こたつで寝ると風邪をひく(ことがある)」という教訓が生まれたと考えることはできるでしょう。
「こたつでよく寝てしまう人」の生活も想像してみる
では、気密性や断熱性に優れた現代の家に住む日本人でも「こたつで寝ると風邪をひく」ことはあるのでしょうか。確かに、部屋全体が暖かければ、先述のような理由で風邪をひくことは少ないと考えるのが妥当でしょう。それでも、布団で寝るのに比べると“身体の温度変化が起こりやすい”という点で、身体に負担をかけやすい傾向にあるのは変わらないでしょう。
また、現代人で考える場合、「こたつで寝ると風邪をひく」というより、「こたつでよく寝るような生活をしている人は風邪をひきやすい」という要素も考えられます。そもそも、人間は通常は布団やベッドで寝るものです。それが「こたつで寝てしまう」ということは、それだけ疲れが溜まっているということを意味します。また、こたつは元々寝る目的では作られていませんので、寝返りをうった際に机の脚に身体をぶつける等をして、途中で目が覚めてしまうことも多々あります。さらに、こたつが置いてあるのは通常リビング等ですので、照明や遮音などの観点から、寝室よりも“眠るのに適さない環境”にあると考えられます。こうした場所での睡眠は質が低下し、睡眠不足の要因にもなります。
つまり、「こたつでよく寝る人」は、「いつも布団で寝る人」に比べて、疲れ気味だったり、生活が不規則だったり、睡眠が不十分だったりする傾向にあることになります。こうした要因を抱えている人が風邪をひきやすいのは、ある意味当然とも言えるでしょう。
わざわざ「こたつで寝る」必要はない
上記の通り、「こたつで寝る」ことが「風邪」の直接のリスクになるかどうかについて、確たる根拠はありません。しかし、昔からの教訓として、「こたつで寝る」という行為、身体をより激しい温度変化にさらすことになるという点、寝室にある布団以外の場所で眠ることが睡眠の質低下に繋がると考えられる点などを考慮すると、あながち間違いとも言えません。
もし「こたつで寝る」ような機会が増えている人は、気付かないうちに疲れを溜め込んでしまっている可能性も含めて、一度しっかりと睡眠環境を整えることを考えてみましょう。
執筆:薬剤師K 調剤薬局勤務、薬剤師10年目
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