子どもに大人用の風邪薬を飲ませても大丈夫?常備薬を選ぶ時の注意点は
- 作成:2022/01/17
風邪薬を”常備薬”として置いてあるご家庭は多いと思います。しかし、子どもが急に風邪をひいたけれど、家には大人用の風邪薬しか置いていない…そんなとき、子どもにはこの大人用の風邪薬を飲ませても良いのでしょうか。
この記事の目安時間は3分です
大人と子どもでは、そもそも使える薬が大きく異なる
子どもは大人に比べて体重が軽く、血液量も少ないため、同じ量の薬を飲んでも副作用や中毒を起こしやすい傾向にあります。さらに、大人であればそれなりに安全に使える薬であっても、子どもでは副作用リスクが高かったり、成長に影響したりする恐れがあるため、基本的に使わない方が良い薬というものもたくさんあります。そのため、大人と子どもとでは、そもそも使える薬に大きな違いがあるのです。
これは病院で処方される薬だけでなく、ドラッグストア等で購入できる風邪薬にも当てはまります。
たとえば、大人用の風邪薬には咳止めとして「ジヒドロコデインリン酸」という成分がよく配合されていますが、この薬を子どもが使うと、呼吸抑制という危険な副作用を起こす恐れがあるため、12歳未満には“禁忌(使ってはいけない)”に指定されています1)。つまり、大人用の風邪薬には「子どもが使ってはいけない薬」が配合されていることがある、ということです。
このことから、たとえ風邪薬であっても、大人用のものを子どもに使うのは、絶対にしてはいけません。
2019年以前に購入した風邪薬を常備薬にしている場合は要注意
咳止めの「ジヒドロコデインリン酸」を子どもに使うことが禁止されたのは、日本では2019年からです。そのため、これより以前に販売された風邪薬や咳止めの場合、「ジヒドロコデインリン酸」が配合されている商品であっても、子どもには使わないようにという注意喚起が書かれていません。むしろ、”子ども用”と書かれた風邪薬や咳止めにも、この「ジヒドロコデインリン酸」が入っている場合もあります。
通常、常備薬はそこまで頻繁に買い換えるものではありません。そのため、いま自宅に“昔に買った風邪薬”が常備薬として置いてある方は、薬の成分を一度確認しておくことを強くお勧めします。もしそこに咳止めとして「ジヒドロコデインリン酸」が含まれていた場合は、その薬を子どもに使ってしまうことがないよう注意書きを加筆しておくか、あるいはこの機会に買い換えしておくことをお勧めします。
「半分にすれば子どもにも使える」も、大きな間違い
大人と子どもどちらでも使える薬の中には、子ども用の薬の量がちょうど大人用の薬の半分になっていることは、よくあります。しかしこれは、子どもへの有効性や安全性を検証した結果、半分くらいの量がちょうど良いということがわかったというだけで、「子どもに薬を使う場合は大人の半分量にすれば大丈夫」ということを意味しているわけではありません。実際、子ども用の薬の量が、大人用の薬のちょうど半分・・・ではない薬もたくさんあります。
また先述のとおり、量の多い少ないを問わず、そもそも子どもの場合は”使ってはいけない薬”というものもたくさんあります。そのため、「大人用の薬を半分にすれば子どもに使って良い」という感覚で薬を使っていると、子どもの健康を害したり、成長を妨げたりするようなトラブルを招くことになります。
常備薬を選ぶときは、薬剤師や登録販売者にぜひ相談を
病院で処方された薬と違って、家に置いてある”常備薬”は家族みんなが使うことができます。しかし、薬を使ったことで得られるメリットやリスクは、薬を使う人によって大きく異なります。お父さんにとって良い薬であっても、それがお母さんや子ども、おじいさん・おばあさんにとっても良い薬かどうかはわかりません。年齢や持病、他に使っている薬の内容、職業、妊娠・授乳の状況などによっては、”物凄く悪い薬”になってしまうことも多々あります。
そのため、”常備薬”として風邪薬などの市販薬を選ぶ際には、ぜひ薬剤師や登録販売者に相談をしてもらえたらと思います。家族構成や、その家族の持病などまで教えてもらえれば、”家族みんなで安全に使える薬”を提案することができるからです。
たとえば、子どもが使えない薬(例:ジヒドロコデインリン酸)や、子どもは避けた方が良い薬(例:カフェインなど)、高齢者は避けた方が良い薬(例:エフェドリン類)などが入っていない『ストナファミリー』など、風邪薬であっても世の中にはいろんな特色を持った商品があるため、あなたの家族にとって良い商品選びをお手伝いできると思います。
1) コデインリン酸塩散10%「タケダ」 添付文書
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