鼻水・鼻づまりを治すはずだったのに…点鼻薬がかえって鼻づまりの原因に?
- 作成:2022/03/05
花粉症シーズン、市販の薬で乗り切る人も多いと思います。ドラッグストア等で購入できる市販の薬にも、花粉症に良い治療薬はたくさんあります。ただし、選び方を間違うと思わぬ副作用を起こすこともあります。点鼻薬の中には、「ずっと使い続けてはいけない」と言われている薬があるのも、そういった副作用にまつわる大切な注意点の1つです。
この記事の目安時間は3分です
盲点!使い続けるとかえって鼻水・鼻づまりの原因に?「血管収縮薬」配合の点鼻薬とは
一般用の薬として販売されている点鼻薬には、「ナファゾリン」や「テトラヒドロゾリン」といった「血管収縮薬」が配合されていることがよくあります。この薬を使うと、鼻の粘膜にある血管が一時的に収縮するため、鼻づまりの症状がスッと楽になります。使ってすぐに効果があること、その効果を実感しやすいことから、人気の高い商品でもあります。
しかし、この「血管収縮薬」の効果は、ほんの数時間程度しか持続しません。そのため、鼻炎の根本的な原因が解消していない限り(花粉症であれば花粉が飛び続けている限り)、すぐに症状をぶり返すことになります。こうして何度も薬を使い続けていると、だんだん鼻の粘膜が腫れてきて、アレルギーでもないのに鼻水や鼻づまりの症状を起こすようになってきます1)。これを「薬剤性鼻炎」と呼びますが、このリスクは薬の外箱や注意書きにも記載がないこともあります。そのため、「血管収縮薬」の入った点鼻薬を何ヶ月、何年も使い続けて鼻炎にずっと悩んでいたり、いよいよ困って病院を受診した際にも「市販の点鼻薬を使っている」ことを医師や薬剤師に伝えなかったり2)…といった事態も起きています。
「血管収縮薬」の入った点鼻薬はどうしても鼻づまりを今すぐに解消したい場合の“緊急避難”的な使い方にとどめ、使うにしても1~2週間以上は続けて使わない3)ようにする、といった注意が必要です。
花粉症の症状が軽いうちから継続利用もできるのは「ステロイド」の点鼻薬
同じ一般用医薬品の点鼻薬でも、「ベクロメタゾン」や「フルニソリド」、「フルチカゾン」といった「ステロイド」の点鼻薬は、使い続けてはいけないというものではありません。むしろ、これら「ステロイド」の点鼻薬は、花粉症の症状が軽いうちから早めに使い始め、花粉が飛んでいる間は使い続ける、という使い方も推奨されている薬です3)。特に、くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった花粉症の症状に対する効果は他の薬よりも高く4)、「血管収縮薬」のように数時間程度で効き目が切れてしまうこともありません。さらに、飲み薬でよくある“眠くなる副作用”もないなど、効果と安全性のどちらも高いことから、多くのガイドラインで最も高い優先順位で推奨されています5)。
購入前に配合成分を確認しよう!花粉症の点鼻薬
「ステロイド」と「血管収縮薬」とではどちらも同じ“点鼻薬”ではありますが、効果や安全性、使い方が異なります。ひとくくりに“点鼻薬”として考えていると、うっかり思わぬ副作用に見舞われたり、効果の高い薬を敬遠してしまったり、といったことに繋がるため、購入前に成分を確認し、それぞれの点鼻薬の違いやメリット・デメリットを把握したうえで購入しましょう。
1) ORL J Otorhinolaryngol Relat Spec.56(3):157-60,(1994) PMID:7515487
2) アレルギー 62(12):1623-30,(2013)
3) 鼻アレルギー診療ガイドライン -通年性鼻炎と花粉症- 2020年版
4) Ann Allergy Asthma Immunol. 2002 Nov;89(5):479-84.
5) Ann Intern Med. 2017 Dec 19;167(12):876-881.
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