アフターコロナの人材マネジメントQ&Aコーナー
- 作成:2022/09/13
社員のモチベーションの低下に悩む経営者の方は多く、メンタルケアは仕事に直結する問題です。この問題を解決するには、コミュニケーションの改善が必要となってきます。 チーム運営におけるマネジメントには、このコミュニケーションの改善問題がつきものです。 そこで今回、AskDoctorsでは、産業医の平野井啓一先生に、「現役産業医の成功マネジメント」というタイトルでセミナーにご登壇いただきました。 働く方の健康に対して医学的なアプローチだけではなく、コミュニケーションの改善問題など、非常に多方面からマネジメント問題について切り込んで深掘りした内容になっております。 そのセミナーにおける4つの質問とその回答を、ここではお伝えしていきます。
この記事の目安時間は3分です
Q1 リモートワークで従来のようなコミュニケーションがとりにくくなり、疎外感を持たせてしまっているのではないかと心配です。リモートの多い現状で、疎外感を持たせずに働いてもらうことは難しいと感じるのですが、この場合はどうすべきでしょうか
A1 コミュニケーションというのは情報共有をするだけではなく、温度差を埋めるということが必要になってきます。
温度差を埋めるためには必ずしも直接の交流や言葉が必須なわけではありません。
ある会社の取り組みでは、コロナ禍の感染対策として社員の食事スペースを個人ブース化し、各ブースの壁に情報共有ができる掲示板のようなスペースを作りました。
子供が生まれてお子さんと写っている写真や、新しく働くことになった方の情報、趣味の話など、そのスペースにたくさんの人の情報を掲載することで、会話はしていなくても、コミュニケーションをとっているような感覚になり、そうした情報からすれ違いざまに会話が生まれることも増えたそうです。
言葉以外のコミュニケーションにも目を向けて実践していくと良いかもしれません。
Q2 マネジメントする側の働き方も考えていかなければなりません。部下からのチャットがたまってしまい、その返事等部下のフォローに時間がかかりすぎてしまいます。その結果、自分の業務を回していくのが困難になることもあります。マネジメント人材の働き方はどのようにしていくべきでしょうか。
A2 例えば複数店舗の店長さんの上にいるエリアマネージャーさんといった方は、部下のフォローに時間がかかってしまうという状況になることがあります。
人間なので限られた時間でこなせる量には限度があります、すぐに返事ができないときも、ちょっとした質問に対して「ないがしろにしているわけではない」という意思表示を見せることが大事です。
返事がすぐにできないときは、読んだとわかるワンタッチのリアクションをつけてあげる。少しのサインを届けるだけでも、相手の心理的安全性はあがります。部下を集めて会議を開いて、自身の仕事状況について話し合いをするのも良いです。
自分自身の状況を見える化していくこと、伝えることで、部下の心理的安全性があがり、仕事のやりやすさは変わってきます。
Q3 リモート勤務の管理において、社員が家で実際に仕事をしているかを確認するためにパソコンと手元をカメラに写すと話す方がいらっしゃいました。ですが、それは「上司に信頼されていない」と部下に言っているようなことになり、モチベーションの低下に繋がってしまいます。どのように仕事をしているかの管理をすれば良いのでしょうか
A3 上司と部下の関係をどのように考えるかが大切です。上司と部下の関係というのは、資源を交換し合う関係という考え方があります。
上司から部下に対しては、仕事の指示、自身の経験やねぎらいの言葉など。部下から上司に対しては、仕事の成果、成長意欲や熱意など。常に資源を交換しあっているという感覚でいると、見張りのような管理にはなりません。
例えば子供に勉強しなさいと伝えても、部屋では携帯をいじることもあるでしょう。その対策として子供部屋に見張り用のカメラをつけたとしたら、子供は良い思いをしません。親子の関係性にも問題が生じる可能性もあります。
資源の交換ではなくて、やっているかどうかの管理をしなければいけないという姿勢が前面にでてしまうと信頼関係はないと思われてしまいます。上司の目的がただの管理になってしまっていないか。何のために管理をするのか。資源の交換を意識した考え方ができると良いです。
Q4 リモートワークになり、部下の健康管理に気付きにくいという問題があります。このサインがでていたら気をつけるなど、意識しておくべきことはあるでしょうか。
A4 変化が持続しているかどうかがポイントです。例えば、眠れないことは誰にでもありますが、それが2週間から1ヶ月続いたら要注意です。
部下の方のメールの返信がいつもより遅くなっていたり、仕事の精度が落ちていたり、そうした変化があったときに、その状況が持続しているかどうかを意識してておくと良いと思います。一時的にミスをするときが1週間くらい続くことはありますが、その状態が1ヶ月続いていたら、何か不調を抱えているかもしれません。
また、リモート会議で画面をオフにして参加するケースがありますが、メンタルヘルスの観点ではオンにするのが望ましいです。元気そうに話していても、実際は顔色が悪かったり、表情がこわばっている可能性もあります。リモート会議ではできるだけ顔を出して会議に参加してもらうというのも、取り組みの一つにできるといいのではないでしょうか。
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