つかまり立ちから転倒、後頭部を強打。どんな対応をすればいいの?
- 作成:2022/12/07
AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、つかまり立ちをしていた赤ちゃんが後頭部を強打してしまい、対応に悩むお母さんからのご相談です。
この記事の目安時間は3分です
【今回のお悩み】
赤ちゃん椅子につかまり立ちをしていたところ、
椅子ごと後ろに立ったまま倒れました。
1度尻もちを着いてから倒れたのか尻もちをつかずそのまま後ろに倒れたのかは見ていませんでしたので分かりません
後頭部を強く打ちました。身長は70センチです。
打った直後は泣きました。
椅子も顔面にぶつかっていましたし、後頭部もかなり強くうったようで心配です。
触った感じはたんこぶなようなものはありませんが、素人の判断ですのでそれも確実かは定かではありません。今は元気です。
質問1 病院に行って見てもらった方が良いでしょうか。
質問2 万が一たんこぶがあったらどういう対応をしたら良いでしょうか。
医師の回答
◆質問1の回答
後頭部を強く打ってしまったとのこと、不安でしたね。実は私も、娘をベビーカーから落とした経験があります。頭部外傷に関しては、以前の回答にもありましたが、頭部外傷のための臨床診断アルゴリズムで有名なのは米国のPECARNと英国のCHALIEとカナダのCATCHがあります。細かい基準は異なりますが、意識レベル、意識消失の有無、急激な嘔吐などが症状として出ないか確認する必要があります。頭部外傷後はそういった新たな症状が出てこないか、容態が変化しないかを経過観察するのが望ましいです。経過観察をして気になる症状があれば、病院に行ったほうがいいでしょう。
参考文献)
https://www.childneuro.jp/uploads/files/about/iryoanzenS_headinjuryCT_201911.pdf
(2022年11月13日最終閲覧)
◆質問2の回答
たんこぶというのは正確には「皮下血腫(ひかけっしゅ)」と言われます。打撲部位の皮膚の中に出血するもので、普通は自然に治ります。自然に治った場合は子供の軽症頭部外傷(けいしょうとうぶがいしょう)の一つになりますが、その軽症頭部外傷において頭の中に病変(脳出血)がある確率は3~53%とされていて幅があるため、そのままにしておいて絶対に安心というわけではありません。
たんこぶを訴え受診されると、ぶつけた状況や意識消失したかどうかを確認し、打撲した部分の視診と触診や神経症状はないかを診察します。また、医学的に頭部CTが必要かどうか判断します。
たんこぶは硬いと皮下血腫であることが多いですが、ぶよぶよするたんこぶは帽状腱膜下血腫(ぼうじょうけんまくかしゅっけつ)という、帽状腱膜と頭蓋骨の隙間に血が溜まっている状態を指します。皮下組織の中には小さい血管(毛細血管)がたくさんあり、このパターンはなかなか止血されず、拡大していく傾向にあります。
ぶつけたらまず安静にして冷やすと良いのですが、もし病院から自宅に帰って経過観察とされても、症状やたんこぶの症状も注意して経過を見ていきましょう。
参考文献)
下川尚子. 脳と発達 2018;50:413-7
小児科医/新生児科医
日本小児科学会専門医、日本周産期新生児専門医
一般社団法人チャイルドリテラシー協会所属。日本小児科学会健やか親子21委員。大阪大学公衆衛生学博士課程在籍。講談社モーニング連載『コウノドリ』の漫画・ドラマの取材協力。m3(エムスリー)、Askdoctors、yahoo外部執筆者として公衆衛生学の視点から周産期医療の現状について発信。
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