ストレスからくる動悸
- 作成:2015/10/30
心臓がドキドキする症状を動悸(どうき)といいます。動悸は心臓や血管の病気だけでなく様々な原因が考えられますが、そのひとつにストレスがあります。今回はストレスが原因の動悸について解説します。
この記事の目安時間は3分です
動悸はどうして起こる?
私たちは緊張したり興奮したりすると、心臓がドキドキと脈が速く大きくなることがあります。これは、私たちの意思とは関係なく体の働きをコントロールする自律神経が影響しているためです。自律神経には交感神経と副交感神経があり、普段は両方バランスがとれた状態が保たれていますが、興奮や緊張をしたときは交感神経の働きの方が活発になります。
しかし、緊張や興奮をしてない状態で運動もしていないのに突然心臓がドキドキと大きく脈打ち、心拍も速くなることがあります。これが動悸です。動悸の原因には、心臓の脈のリズムが乱れる不整脈を始めとする心臓の病気、甲状腺機能亢進症など甲状腺の病気、貧血、更年期障害などがあげられます。この他には、パニック障害、うつ病、適応障害、心気症などの心の病が原因で自律神経のバランスが乱れるために動悸が起こることもあります。
動悸の原因のひとつ”ストレス”
動悸の原因として見逃せないのがストレスです。ストレスとは、職場や家庭での出来事をはじめ生活環境など私たちの体や心に影響を受けることです。ストレスはよいことも悪いことも含まれますが、私たちはストレスのきっかけとなる物事や環境に出会ったときに、不安や緊張や興奮などの反応とともに交感神経の働きが活発になります。
すると、交感神経の働きによって全身に力が入って収縮しようとするため、血管が収縮して血圧や心拍が高くなります。すると、心臓に一時的に負担がかかり動悸が起こるのです。このため、ストレスがかかると動悸が起こりやすいのです。
ただし、ストレスは動悸の原因となるだけではありません。ストレスは、動悸以外にも、夜眠れない、疲れやすい、食欲がない、吐き気、頭痛などさまざまな不調の原因となることがあります。これらの症状は、他の病気が原因の場合もありますが、ストレスの影響で自律神経のバランスが乱れてしまい、全身の働きをうまくコントロールできないために起こってしまうことがあるのです。
パニック障害など精神疾患の場合も
突然、心臓がバクバクとなり胸の苦しさに耐え切れずに病院に行ったものの、検査の結果体に異常がみられない場合は、パニック障害などの心の病が原因である可能性が考えられます。パニック障害が起こる原因は明らかになっていませんが、脳内での働きが影響していると考えられています。
パニック障害は、前触れもなく突然動悸をはじめ、めまい、大量の汗、息苦しさ、吐き気、手足のふるえなどの発作が起こるにも関わらず、検査をしても体に異常が見つからない病気です。パニック障害の発作は長くても1時間以内には落ち着きますが、死の危険性を感じるほど大変苦しいため一度発作が起きると「また発作が起こるのではないか」という不安が続きます。また、以前発作が起きた場所や似た状況になると、発作への不安から緊張が高まり、再び発作を繰り返すうちに外出ができないほど日常生活に影響を与えてしまうことも少なくありません。
パニック障害の場合は、不安を和らげる抗不安薬やうつ状態を軽減する抗うつ薬などを服用し、薬の効果が現れてきたら、外出など苦手なことに慣れるための認知行動療法を行うこともあります。ただし無理をしたり、自己判断で治療を中止すると発作が再発する可能性もあるため、医師と相談しながらじっくり治療しましょう。
緊張していないのに胸がドキドキしたら
動悸が気になる場合は、内科または循環器科、循環器内科など循環器系の診療科を受診しましょう。病院では、心臓の病気を有無を確認するため、聴診器を使って心臓音の確認や心電図検査を行う他、必要に応じて超音波検査、運動負荷検査、24時間の心電図検査や血液検査を行うこともあります。
これらの検査を行った結果、心臓や甲状腺などをはじめ体に異常がみられない場合は、パニック障害をはじめ、うつ病、適応障害、心気症などの心の病が原因である可能性が考えられます。検査をしても異常がみられないときは、精神科または心療内科を受診してみましょう。
ストレスが原因となる動悸についてご紹介しました。自分の動悸に不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?
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