皮膚掻痒症の4つの原因、症状、治療薬、予防 見た目は問題ない?

  • 作成:2016/05/06

皮膚掻痒症とは、皮膚に湿疹などがないにも関わらず、かゆみが出ます。考えられる原因は皮膚の乾燥以外にも、いくつかあります。治療もふくめて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は3分です

皮膚掻痒症の症状は「かゆみ」

「皮膚掻痒(そうよう)症」は、外見上、赤みや発疹などの症状はみられないものの、強いかゆみがある状態です。皮膚掻痒症は、全身にかゆみが現れる「汎発性皮膚掻痒症(はんぱつせい)」と、体の一部だけかゆくなる「限局性皮膚掻痒症(げんきょくせい)」に分けられます。

汎発性皮膚掻痒症は、全身がかゆくなるのが特徴で、発作的に時々かゆみが起こる人もいれば、常にかゆみが続いている人もいます。発作的に痒くなる方の一部では、皮膚掻痒症ではなくて慢性的な蕁麻疹(じんましん)による痒みであることがあります。その場合は急に痒くなった時に、よく皮膚を見ると赤い発疹があちこちに出ていることがわかります。

限局性皮膚掻痒症は、体の一部がかゆくなるのが特徴で、性器周辺、肛門、頭部などに比較的多く現れます。性感染症を心配し過ぎたりすることなどが原因となることもあります。

皮膚掻痒症は、外見からは症状がわかりにくいですが、人によっては夜も寝られないほどの激しいかゆみで悩むことも珍しくありません。また、かゆい部分をかいてしまうと、患部が赤くなったり、腫れたり、湿疹ができたして、症状が悪化することもあります。皮膚の赤みや発疹などがなくても、かゆみで悩む状態が続いていたら一度皮膚科に相談してみましょう。

皮膚掻痒症の主な原因

皮膚掻痒症の主な原因は、大きく以下の4つに分けられます。

・肌が乾燥した状態が続く乾燥肌(ドライスキン)
・心理的ストレス
・腎臓や糖尿病など現在かかっている病気の影響
・飲んでいる薬の影響

いわゆる「乾燥肌」と呼ばれるドライスキンは、皮膚掻痒症の主な原因とされています。私たちの肌は、乾燥すると、肌の表面にある角質の間に隙間ができて外的刺激を受けやすくなり、かゆみを起こすとみられています。チクチクする下着、衣服についたタグや衣服の繊維に絡んだ細い髪の毛などにも注意が必要です。電気毛布は設定温度が高過ぎるとドライスキンの原因となります。

皮膚掻痒症は、高齢者に多い病気ですが、腎臓や肝臓などの病気、糖尿病、血液の病気、ホルモンの異常、がんと呼ばれる悪性腫瘍などの病気を発症している人に起こりやすく、現在飲んでいる薬の影響で発症することもあります。皮膚の感染症にかかったと思い込むと、ストレスとなり皮膚掻痒症となることもあります。ただし、皮膚掻痒症が起こるメカニズムは、完全には明らかにはなっていません。

皮膚掻痒症の治療法

皮膚に赤みや発疹などの症状がないのに、かゆみが続いているときは、皮膚科を受診しましょう。現在、糖尿病、腎臓の病気などで通院中の場合は、かかりつけ医に相談してみるのもよいでしょう。かゆみ以外の異常がない場合は、皮膚掻痒症の治療を行います。ただし、現在別の病気で治療中のときは、皮膚掻痒症の原因である病気の治療も必要です。

皮膚掻痒症の治療では、かゆみを抑える働きのある「抗ヒスタミン剤」という飲み薬を用います。乾燥が原因と判断できればさまざな保湿剤を塗ります。特に皮膚に異常がないなら、好みに応じて乳液タイプ、ローションタイプ、クリームタイプなどの市販の保湿剤を購入して試してみても良いでしょう。かゆみを抑える対症療法として「クロタミトン含有製剤」または「ジフェンヒドラミン含有製剤」という塗り薬もあります。また、患部を掻いてしまい湿疹などができているときは、湿疹を抑える働きのあるステロイドが入った塗り薬を使用します。その場合は保湿のためのクリーム、乳液やローションが刺激になることがありますから注意してください。他の治療法として、漢方薬や紫外線療法などがあります。ただし、漢方療法、紫外線療法の治療効果については、いずれも明らかになっていません。

皮膚掻痒症予防は毎日のスキンケアが鍵

皮膚掻痒症の予防と対策として、汗や汚れがついたら早めに洗って皮膚を清潔に保つのは良いことですが、洗いすぎには注意してください。入浴するときは、刺激の少ない石けんやシャンブーを使い、ぬるめの湯でやさしく洗うようにしましょう。硬いタオルでゴシゴシこすると皮膚を痛めます。入浴後は、肌を乾燥から守るためにワセリンや保湿クリームなどを塗るとよいとされています。皮膚掻痒症は、一度治っても再発する可能性が高いため、かゆみがなくなってもスキンケアをするように心がけましょう。

また、かゆいときは皮膚を掻くのは避けて、冷やしたりして対応しましょう。皮膚を掻くと、傷口が赤みや腫れなどを帯びて症状が悪化してしまいます。

皮膚掻痒症についてご紹介しました。「皮膚がかゆいが、原因がわからない」と不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

病気・症状名から記事を探す

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行

協力医師紹介

アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。

記事・セミナーの協力医師

Q&Aの協力医師

内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。

Q&A協力医師一覧へ

今すぐ医師に相談できます

  • 最短5分で回答

  • 平均5人が回答

  • 50以上の診療科の医師