2種類あるヘアカラーによるアレルギー 頻度に注意?生理中はOK?パッチテストとはどんなもの?
- 作成:2016/05/11
ヘアカラーでアレルギーが起きることがありますが、すぐ起きるものと時間が経過してから症状が出るものと2種類あります。使用頻度や生理中のヘアカラーの可否を含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
ヘアカラーでアレルギー?かぶれが起きることがある?
毛髪を染めておしゃれを楽しむ人が多い一方、最近はヘアカラーでアレルギーを起こす人が少なくありません。ヘアカラーが原因のアレルギーは、使用後すぐに発症する「アナフィラキシー」と、6時間から48時間後に発症する「アレルギー性接触皮膚炎」に分けられます。他にも、ヘアカラーの成分による刺激が原因で、皮膚に発疹、発赤(赤くなること)、かゆみ、かぶれなどが現れる「刺激性接触皮膚炎」を起こすことがあります。
アナフィラキシーは使用直後から30分程度の間に発症する重度のアレルギー反応です。ヘアカラーに含まれる物質にアレルギーを起こして、蕁麻疹(じんましん)、発赤などの皮膚症状以外に、息切れ、咳、動悸、血圧低下、めまい、腹痛、嘔吐などが現れます。発症することは少ないですが、生命に危険性が及ぶことがあるため、症状が現れたらすぐ救急車を呼び治療することが必要です。
アレルギー性接触皮膚炎は、かぶれ、かゆみ、発赤、水ぶくれ、腫れ、痛みなどの症状が現れる状態です。原因の多くは酸化染料の一種である「パラフェニレンジアミン」などの「ジアミン系薬剤」と呼ばれるものです。ヘアカラー使用後6時間頃から症状が現れ、48時間後に最も症状が重くなります。さらに症状がひどい場合は、顔全体や首まで症状が広がって、顔面が腫れて目が開かなくなることもあります。軽い症状の場合はヘアカラーのかぶれということに思い当たらず、慢性湿疹と考えてヘアカラーを繰り返してしまうこともあります。アレルギー性接触皮膚炎を一度発症すると、症状が治まった後も、同じアレルゲンに触れると症状が再発します。さらにアレルギーの発症回数が多くなるほど次第に症状が重くなり、全身に及ぶこともあります。
刺激性接触皮膚炎は、皮膚にかゆみ、発赤、水ぶくれ、腫れ、痛みなどがみられる皮膚炎です。アレルギー性接触皮膚炎と症状が似ていますが、アレルギーでなく、成分による刺激が原因で起こる病気です。皮膚に長く薬液がつきすぎたり、傷や湿疹のある部分に薬液が付着することにより発症しますから、肌の状態によって出てくる症状は大きく異なります。
アナフィラキシー、アレルギー性接触皮膚炎、刺激性接触皮膚炎は、いずれも今まで症状がなくても突然発症する可能性がある病気です。特に皮膚に湿疹や傷がある場合には、薬剤が皮膚に浸透しやすいので発症しやすくなります。いつも使っている製品だからと油断せず、ヘアカラーを使用する前には必ずパッチテストを行い、皮膚に異常がみられた場合はすぐ使用を中止して皮膚科を受診しましょう。
ヘアカラーの頻度と間隔 やりすぎはよくない?
ヘアカラーの頻度は、薬剤の種類によって異なります。毛髪を脱色し毛髪の内部まで染色する「酸化染毛剤」を使う場合は約2カ月間、色持ちがします。脱色作用はなく毛髪の内部まで染色する「非酸化染毛剤」は約1カ月間、髪の表面のみカラーリングするヘアマニキュアは2週間から4週間を目安に使用するのが一般的です。ただし、短期間でヘアカラーの使用を繰り返すと毛髪が傷みやすいだけでなく、薬剤が頭皮にダメージを与え、皮膚アレルギーが起こりやすくなります。ヘアカラーの使用頻度は、使用上の注意に従いましょう。
ヘアカラーのパッチテストとはどんなもの?
パッチテストは、ヘアカラーにかぶれる体質かを調べるテストです。過去に異常がなくても、体質や皮膚の状態の変化で突然かぶれることがあります。ヘアカラーを使用する48時間前には、可能な限り、できれば毎回パッチテストを行いましょう。
パッチテストは、染めるのに使う第1剤と第2剤を小皿に出したら、綿棒で混ぜテスト液を作ります。テスト液を腕の内側に10円玉ほどの大きさに塗った状態で放置します。テスト部位を絆創膏などで覆うと強い反応が起こることがありますから、絆創膏などをはらないようにしてください。確認すべきタイミングとしては、30分後と48時間後になります。塗ってから48時間以内に発疹、発赤、かゆみ、水ぶくれ、刺激などを感じた場合には、すぐに洗い落とし、ヘアカラーの使用はやめましょう。
ヘアカラーと生理の関係
生理中だからといってヘアカラーをしてはいけないということはないでしょう。月経のたびに発疹が生じることがあり、「月経疹(げっけいしん)」と呼ばれています。これは体内で作られる黄体ホルモンに対するアレルギーが原因とされています。月経疹はヘアカラーのアレルギーとは関係はなく、月経中にヘアカラーの成分に特にかぶれやすい状態になっているということもありません。ただ、かゆみを伴う月経疹がある場合、ヘアカラーの接触皮膚炎の発生に気が付きにくい可能性については、注意が必要です。普段通りに十分注意をしておけば、妊娠中や生理中もヘアカラーを楽しむことができます。
妊娠中は治療に制限があり、病気をこじらせないことが大切ですから、頭部や顔面に皮膚炎がある時に無理にヘアカラーをしないでください。
ヘアカラーで起きるアレルギーについてご紹介しました。皮膚の症状に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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