妊娠性痒疹の原因、症状、治療、予防可能性 胎児や出産への影響は?
- 作成:2016/10/12
妊娠性痒疹とは、妊娠20週から30週ごろにでる、皮膚のかゆみです。かゆみは個人差があり、夜も眠れないくらいになってしまう人もいます。原因、治療、予防方法を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
妊娠性痒疹の原因、症状
妊娠すると、今までなかった色々な症状が出てくることがあります。妊娠20週から30週ごろに、「かゆくて仕方がない」「肌にブツブツがでてきた」という症状が出たら、妊娠性痒疹かもしれません。
妊娠性痒疹は、腕や足、お腹や背中などの体幹に、大きさ数ミリメートル程度のじんましんや湿疹、水ぶくれができます。妊婦さんの2%から3%にみられ、初めての妊娠よりも、2回目以降の妊娠で症状がでることが多いと言われます。妊娠中期から後期に生じることが多いのですが、妊娠初期から症状が出る方もいます。
かゆみは、妊娠中に症状が治まる人もいれば、出産するまで痒さが続く人もいます。症状は出産後に治まることがほとんどですが、まれに妊娠後も続くケースもあります。かゆみの程度にも個人差があり、中には、かゆくて夜も眠れないという人もいるようです。
妊娠性痒疹の原因は、妊娠によるホルモンのバランスの変化や、羊水へのアレルギーなどの説がありますが、まだはっきりとはわかっていません。
妊娠性痒疹に似た症状が生じる、「妊娠性疱疹」や「PUPPP」「妊娠性皮膚搔痒症」といわれるものがあります。妊娠性痒疹とは違うものですので、かゆみがでたら、一度主治医に相談してみましょう。
胎児、出産への影響は?
妊娠性痒疹は、出産や胎児への影響はないと考えられています。
しかし、強いかゆみが続くと、お母さんのほうに、寝不足や食欲不振、疲れが生じることが考えられます。かゆみが原因となって、ストレスが続く状態では、胎児の健康や出産に影響してしまう可能性があります。
妊娠時は、体に色々な変化が起こります。リラックスして日常を過ごすことが大切です。
なお、妊娠性痒疹は、人にうつることはありません。その点は心配無用です。
治療は?何科に行けば良い?
妊娠性痒疹の治療は、かかりつけの産科で行うこともあります。また、産科の主治医から、皮膚科を紹介されて、皮膚科で治療することもあります。重度になると、入院して治療をすることもありますが、まれなケースです。
治療には、内服薬(飲み薬)はあまり使用されません。ステロイドやかゆみを抑える軟膏を皮膚に塗るといった、対症療法が中心になります。あまりかゆみがひどいときは、胎児に影響のない内服薬を処方されることもあります。
薬以外では、よもぎが効くこともありますので、よもぎ茶を飲む妊婦さんも中にはいます。しかし、よもぎ茶を飲みすぎると、鉄や葉酸の吸収を邪魔するので、飲み初めに主治医に相談してみましょう。
濡れたタオルなどで痒い個所を冷やすことも、かゆみを抑えてくれますが、冷やし過ぎに注意して行う必要があります。
中には、皮膚をかき壊していまい、症状が悪化してしまう場合があります。跡が残ってしまう可能性もあるので注意しましょう。
妊娠性痒疹の予防と再発可能性
妊娠性痒疹の原因ははっきりとわかっていませんが、一度かかると、次の妊娠の時に再発する可能性が高いことが知られています。しかし、症状を出にくくしたり、悪化を予防する方法があります。
まず、皮膚は清潔に保つことが基本です。ただ、清潔にすることを気にするあまり、ボディタオルでごしごし洗いがちになると、かえって皮膚を傷つけてしまうので、低刺激の石鹸をしっかりと泡立てて、優しく洗ってください。
皮膚についた石鹸やシャンプーなどをしっかり洗い流すことも大切です。皮膚の乾燥もかゆみが増す原因となります。
冬だけでなく、夏も皮膚は乾燥します。季節にかかわらず、保湿をしましょう。また、肌に触れる下着などは、綿などの刺激の少ない素材を選ぶと良いでしょう。ゴムなどで締め付けられている部分に出る事も多いので、強く締め付けない様にした方が良いでしょう。汗をかいたら、こまめに着替えることも予防になります。
強い痒みや皮膚の発疹があっても、妊娠性痒疹ではないこともあります。まずはかかりつけの産科で相談してみましょう。
妊娠性痒疹についてご紹介しました。妊娠中の皮膚のかゆみに不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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