うちの凸凹―外科医と発達障害の3人姉弟――ようやくたどり着いた発達障害の診断

  • 作成:2021/09/27

こんにちは。外科医ちっちです。 子どもたちが幼児期の頃は、発達に疑問を持ちつつも夫婦だけで抱え込んでメンタルは瀕死状態でした。そんな中、我が家は外科医ちっちの人事異動により、引っ越しをすることになりました。そして、環境の変化に耐えられず、子どもたちはますます荒れて家庭内は涙、怒り、大混乱です。

外科医ちっち 監修
 
外科医ちっち 先生

この記事の目安時間は3分です

うちの凸凹―外科医と発達障害の3人姉弟――ようやくたどり着いた発達障害の診断

どこに行けばいいの? 6か所以上に相談するも、子育ては楽にならない。

ようやく光が差したのは長女いっち小2、長男にっち年長の時。暗闇にいた私たちを、発達障害の診断につなげてくれたのは、小学校の通級指導の先生でした。
ここにたどり着くまでの5年間、様々なところに相談に行きました。それはもう手当たり次第に。
小児科、市役所の発達相談係、幼稚園の先生、園医、スクールカウンセラー、妻は「子育てが辛い」となぜか交番に駆け込んだこともありました。とにかく、誰がこの状況を助けてくれるのか分からなくて、思いつく限り、相談しに行きました。
結果は撃沈。
小児科では「様子を見ましょう。成長とともによくなりますよ」
市役所「まずは普段の子どもの様子を知っている園に相談して」
園「気にしすぎですよー。そんなに神経質にならなくても」
園医「あなたの子どもはがんばりすぎて過労死するタイプね」
スクールカウンセラー「愛情が足りてないのでは?」
交番「・・・・・・(私たちに言われても)」
どこに行っても、いっちやにっちの「育てにくさ、やりにくさを改善できる何か」は見つかりませんでした。

うちの凸凹―外科医と発達障害の3人姉弟――ようやくたどり着いた発達障害の診断

親のメンタルはもうギリギリ。
診断につないでくれたのは学校の通級指導の先生だった

引っ越しをしたのはいっちが小2のときでした。
引っ越しから2か月ほど経ったころ学校から呼び出しがありました。
そして、いっちの担任と通級の先生、そしてはっはで面談が行われました。

「いっちさんですが、急に泣き出す、急に床に転がる、移動教室など動かなければいけない時に動けない、といった態度が見られます。通級指導教室が必要だと思います」

この先生の言葉に、はっはの頭には、「ツーキュー指導教室って何だろう?」という疑問が湧きました。
さらに先生は続けます。
「児童相談所に行って発達検査を受けてください」

実は、その場には長男にっちもいました。
学校に無理やり連れてこられたにっちは、話し合い中も「帰る(怒)」と大声で怒鳴りながら、机を蹴っていました。そんな様子をちらりと見た通級指導教室の先生は、

「この子、何かあるからすぐに児童相談所に電話してください」と
はっはの目をしっかり見て穏やかな声で言いました。

うちの凸凹―外科医と発達障害の3人姉弟――ようやくたどり着いた発達障害の診断

先生の言葉を聞いたはっはは「あぁこの子は何かある、何かおかしいのだ」と察しました。

先生は、はっはの精神的ダメージを心配して「何かある」という言い方をしてくれたのでした。今でもこの素敵な言い回しに対して適切な配慮であったと感謝しています。

今まで5年間、誰に相談しても母の愛情不足、関わり方の問題だと言われ続け、ようやくこの子をおかしいと言ってくれる人がいた――。

はっはの目からは、涙が出ました。
発達に問題があると言われて悲しかったのではなく、嬉しかったのです。

私たちはすぐに児童相談所に電話をし、2人の発達検査の申し込みをしました。
発達検査は9か月待ち、児童精神科医の診察は1年待ちと言われました。

しかし、電話口で今の状況を聞かれ、今までの様子や困っていること、苦しいことを伝えたところ、緊急事案だと思われたようで、電話から1か月後に発達検査を受けることができました。

さらにその3か月後には児童精神科医の診察を受け、こうして2人は自閉症スペクトラムと診断されたのです。

<まとめ>

困っているときに「助けて」と言えるのはとても大切です。しかし、私たちはどこに助けを求めたらいいのか分かりませんでした。その間、家族だけで困りごとを抱え込み、ずいぶん苦しい思いをしました。子どもも辛かった、だけど親も辛かった。そんな私たちを見て、「虐待しているのではないか」と通報されたこともありました。発達障害の診断がつくと、今までの訳の分からない子どもの行動が腑に落ちることもありました。公的な支援も得られ、子育てがグンと楽になりました。
第4回は「どうする?本人への発達障害の告知」です。発達障害についてまだ幼い子どもたちに「いつ、どうやって」伝えるか。我が家の場合を紹介します。

外科医師。妻(看護師はっは)と発達障害3児の育児中。記事中のイラストは、看護師はっはが担当。著書『発達障害の子を持つ親の心が楽になる本』(SBクリエイティブ)が2024年9月発刊予定。
・ブログ:「うちの凸凹―外科医の父と看護師の母と発達障害の3姉弟
・ブログ:「発達障害の生活は試行錯誤で楽しくなる
・note:https://note.com/titti2020/
・Twitter:@surgeontitti

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