「健康食品で病気が治る」は信じていい?知っておきたい健康食品のデメリット
- 作成:2021/09/06
巷では様々な健康食品が販売され、盛んにテレビコマーシャルも流されています。健康食品を摂ると健康になれる、というイメージもありますが、そもそも健康食品とはどういった商品なのでしょうか。
この記事の目安時間は3分です
Q.「健康食品」で病気が治る?
A. 健康食品は、病気を治すためのものではありません。
健康食品はあくまで「食品」であり、病気を治療する「医薬品」とは異なります。何らかの薬理作用や薬効を期待できるものではない、ということを前提に取り扱う必要があります。
「健康食品」のデメリット~現実とイメージのズレ
日本人には、「健康食品」で病気を予防したり治療したりすることができる、と誤解している人が一定数存在します1,2)。むしろ、薬では治らない症状を治す食べ物だ、という勘違いをしている人も、7~14%近く存在するという調査まであります3)。しかし、「健康食品」は「医薬品」と違って、特定の病気を予防したり治療したりといった効果が実証・確認されたものではありません。
また、「健康食品」は「食品」なので身体に害となることはない、副作用は存在しない、と考える人も多いようです。しかし、実際には「健康商品」は薬の効き目を弱めたり、あるいは副作用を強めたりすることがあります。さらに、ウコンやアガリクス、プロポリス、フコイダンなどの「健康食品」が薬剤性肝障害の原因となったという報告も少なくありません4,5)。
つまり、「健康食品」は決して100%安全なものではない、ということです。「健康」を求めて「健康食品」を摂ったのに、場合によっては持病が悪化する、身体に害が及ぶ、といったリスクが潜んでいることも十分に考えられます。特に、何らかの病気を抱えている人や薬を飲んでいる人は、「健康食品」を使っても問題ないかどうかを、予め医師・薬剤師に相談することを強くお勧めします。
そもそも「健康食品」とは・・・どんなときに摂るもの?
一般的に「健康食品」と呼ばれるものには、「特定保健用食品」のように一定の保健機能を表示できるものもあります。そういった商品は、例えば「日々仕事が忙しく、なかなかバランスの良い食事ができない」・・・そんな偏食の人が、不足している栄養素を補おうとする際に適しています。
しかし、こうした届出や基準のないものもたくさん出回っています。こうした商品にはそもそもどんな成分がどのくらい含まれているのかがよくわかりません。どんな栄養素も、不足すると健康を害しますが、過剰になっても身体に良くありません。「健康食品」での偏った栄養の摂り方は、あまりお勧めできるものではありません。また、「健康食品」と称して販売されているものの中には、品質が不均一であったり、あるいは薬物が混入していたりして実際に健康被害が発生したケースも報告されています7)。信頼できるメーカーのものを選ぶ、ということも大切です。
使っている「健康食品」や「サプリメント」も、必ず医師や薬剤師に共有を
近年は「お薬手帳」の普及によって、使っている薬を医師や薬剤師に情報共有する、ということは多くの人の習慣になってきました。しかし、「お薬手帳」に使っている健康食品やサプリメントの情報までを記載している人は、まだまだ少ないようです。
病気の治療を考えたり、安全で効果的な薬の使い方を考えたりする際には、どんな健康食品やサプリメントを使っているか、ということも非常に重要な情報になります。「他に使っている薬はないですか」と尋ねられる機会が多いと思いますが、その際には健康食品やサプリメントまで、しっかりと医師・薬剤師に伝えるようにしてください。
1) 薬局薬学.12(2):95-107,(2020)
2) 日本病院薬剤師会雑誌 40, 37-39, 2004
3) 日本健康医学会雑誌.10(2):66-7,(2001)
4) 肝臓.48(10):517-21,(2007)
5) 肝臓.46(3):142-8,(2005)
6) J Int Oral Health. 2015 May;7(5):74-80.
7) 医薬品情報学.14(4):134-43,(2013)
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