死亡率が高い“くも膜下出血” 前触れはある?確認しておきたいリスクと予防

  • 作成:2021/09/19

脳の血管が破れたり詰まったりして起こる病気を総称して、脳卒中といいます。くも膜下出血は、脳の血管が破れて起こるもので、ほぼ半数は血管が破裂した段階で死に至ります。命が救われても、その半数以上に障害が残るという報告もある注意したい病気です。

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死亡率が高い“くも膜下出血”前触れはある?確認しておきたいリスクと予防

自覚症状なく突然発症するケースが多い

人の頭は、頭皮の下に頭蓋骨、その下に硬膜・くも膜・軟膜の3層の膜でおおわれ、最も重要な脳を守っています。
くも膜下出血は、およそ9割が脳動脈にできたコブ、動脈瘤が破裂することが原因とされています。動脈瘤ができたとしても、コブ自体に自覚症状は現れないため、突然発症するケースが多いのです。コブは血管の分岐する部分にできやすく、数ミリ程度から数センチにまで及ぶものもあり、出血量や出血した場所によって症状は異なります。
このコブができる原因は詳しくはわかっていませんが、先天的な要素や高血圧、喫煙、多量の飲酒、ストレスなどがあげられています。

脳を包む頭蓋内の仕組み

死亡率が高い“くも膜下出血”前触れはある?確認しておきたいリスクと予防

くも膜下出血に前触れはないの?

くも膜下出血が起きたとき現れる症状が、「強烈な頭痛」、「おう吐」、「意識障害」などです。頭痛が起こった場合には、よく「バットで殴られたような激しい痛み」と比喩されます。また、頭痛やおう吐などが現れることなく、突然意識を失うこともありますし、いきなりいびきをかいて倒れることも。このような症状が現れたら、一刻も早く病院を受診する必要があります。
突然起こることが多いくも膜下出血は、前触れとなる症状をつかむことは難しいですが、以下のような前触れ症状が現れる場合もあります。

  • 血圧の乱高下
  • 視力低下やめまい
  • 頭痛(激しい頭痛が起こらないこともある)
  • 吐き気、おう吐
  • 意識の低下や頭がボーッとする、モヤモヤする

このような症状が現れたら、ただの頭痛とあなどらないで専門医を受診してください。一度症状が治まったとしても、あとになってくも膜下出血を起こすことがあります。
また、動脈瘤はMRI(磁気共鳴画像診断)や MRA(磁気共鳴血管画像診断)で発見することもできますので、長引く頭痛の場合には検査してみることも大切です。特に、40歳以上では100人に3〜5人の割合で動脈瘤があるといわれています。気になる頭痛がある場合は、脳ドックを受けることをおすすめします。

くも膜下出血になるリスクと予防

くも膜下出血のリスクが高いとされているのは、高血圧、喫煙者、家族に脳卒中患者がいる、過度の飲酒、ストレスなどです。
血管疾患の多くは、血圧が高いことが最大のリスクとされています。高血圧では、そうでない人に比べて、くも膜下出血による死亡リスクはおよそ3倍、喫煙習慣がある場合はない人に比べ、およそ2〜3倍、家族に脳卒中患者がいる場合もいない人に比べ、およそ2倍高くなるという報告もあります。
くも膜下出血を起こさないために重要なのは、脳動脈瘤を発見できる脳ドックを受けること。特に、家族に脳卒中患者がいる場合には、定期的に受けると予防につながります。
また、日常生活でもリスクを減らす方法はあります。

①血圧のコントロールをする
 病院では140/90 mmHg、家庭では135/85 mmHg以上が高血圧とされているので、
 これを超えないようにすること。日々血圧を測定し、乱高下がないかチェックをする。
 食事は塩分を控え、バランスよく食べる。
②禁煙する
 喫煙すると血圧が上昇、くも膜下出血のリスクを上げる。禁煙するとリスクも低減する。
③飲酒は適量にする
 過度な飲酒が続くと血圧が上昇。適量を心がける。
④ストレスをためない
 強いストレスは血管を傷つけるので、ストレスはためないようにする。車の運転など緊
 張する場合にも血圧が上がるので注意。

参考サイト
東京大学脳神経外科
https://www.h.u-tokyo.ac.jp/neurosurg/rinsho/SAH.htm
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000772691.pdf
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/sinno05/13-5.html
JACC Study
https://publichealth.med.hokudai.ac.jp/jacc/index.html
糖尿病ネットワーク
https://dm-net.co.jp/calendar/2016/026328.php

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