うちの凸凹?外科医と発達障害の3人姉弟?? 次男の「かんしゃく」を防ぐために、外科医が手作りした「気持ちカード」の効果
- 作成:2021/11/27
紅葉の秋になりましたね。外科医のちっちです。 前回は、かんしゃくへの対応についてお話ししました。いざ、子どもの心が揺れてしまうと、なにも届かないのがかんしゃく対応の難しいところです。そこで、かんしゃくを起こさせないために、落ち着いている時にこそできることがありますので、今回はかんしゃくの具体的な予防対策についてお話しします。
この記事の目安時間は3分です
モヤモヤした気持ちを「絵」で表現する
発達障害の子どもたちは、言われたことを理解して受け取ることも、自分の気持ちを伝え表現することも苦手な場合が多いものです。
そこで、その対応策の一つとして挙げられているのが、「絵」での理解です。「怒る」「むしゃくしゃしている」といった気持ちの概念はわからなくても、顔をしかめているカードで自分の気持ちを表現できるようになるからです。
この「気持ちの表現」というのが大切で、2つのメリットが得られます。
1)自身の細かい感情の理解、分類ができるようになる。
2)他人の感情を推測する手掛かりにできる。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
まず、1)の自身の感情の理解と分類ができるようになる、についてです。
我が家の次男・にっちの場合は、不安や緊張、不快、悲しさなどのマイナスの表現が、すべて「怒る・暴れる」になっています。本人は自分の気持ちを把握できていません。
そこで、いっしょくたになってしまっている表現に区別がつけられるようになれば、その前段階で気持ちの変化に気付くことができるのです。
たとえば、「不安だ。お母さんに相談に行こう」とか、「不快だ。みんなから離れて大声を出してから戻ってこよう」といった対策が、いつかできるようになるかもしれません。
次に、2)の他人の感情を推測する手掛かりにできるですが、自閉スペクトラム症の子どもは、気持ちを察するというのが難しいのです。
その原因は、3つあります。
①自分の感情の分類がかなり大まかである(快・不快しかないのか、まだ赤ちゃんなのか)。
②アウトプットが上手にできない(感じていることを言葉にできない)。
③他者からの視点に立つことが苦手である(いつだって自分オンリー視点)。
こうした特性があるので、親側の気持ちを言葉で伝えようとしても、伝わりません。そもそも「気持ち」がよくわかっていないからです。
落ち着いているときに「見えない気持ち」を可視化するツール
気持ちを可視化するために、我が家では手作りの「気持ちカード」を作りました。カードは見やすく、つかみやすいもので、1枚12cmくらいの円形で子どもの手のひら大です。
喜怒哀楽+アルファの表情のカードで、破られないようにラミネート加工してあります。
にっちのかんしゃくが落ち着いて、こちらの言葉が届くタイミングになったらカードの出番です。本人にカードを選んでもらい、今の気持ちを可視化できるようにしてみたのです。
また、気持ちなどの感情を表すカードと、学校や家などの場所を表すカードに分けて使っています。
かんしゃく対策は見守りと言葉を引き出すこと
かんしゃくが起こった時は、危険がなければ、見守って待ちましょう。
そして落ち着いたら、本人からの言葉を引き出して、どうしたら良かったのかを考えさせます。
かんしゃくの大原則は、「正しい対応を全力でしても、収まらない時は収まらない」。もしも、簡単にできる対処法があって、収まるのなら「障害」とは呼ばれない。この大原則を、自分のためにも子どものためにも意識しています。
次回は「療育施設ってどうやって選ぶの?」です。またお会いできたら嬉しいです!
外科医師。妻(看護師はっは)と発達障害3児の育児中。記事中のイラストは、看護師はっはが担当。著書『発達障害の子を持つ親の心が楽になる本』(SBクリエイティブ)が2024年9月発刊予定。
・ブログ:「うちの凸凹―外科医の父と看護師の母と発達障害の3姉弟」
・ブログ:「発達障害の生活は試行錯誤で楽しくなる」
・note:https://note.com/titti2020/
・Twitter:@surgeontitti
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