うちの凸凹―外科医と発達障害の3人姉弟~教室に入れない次男…学校の先生とも「ほう・れん・そう」は必要!
- 作成:2022/12/03
こんにちは、外科医ちっちです。子どもたちが日中お世話になる小中学校。今年の夏休み明けから次男さんち(小1)が学校に行けなくなり、小学校の担任、教頭、校長先生とやり取りをすることが増えました。そして、完全不登校だった1か月をへて、給食だけ食べに行くようになって1週間が過ぎた日のこと。教頭先生から「学校に来る日は事前に連絡をして欲しいです。来るのか来ないのか分からないと困ります。こちらも人員配置があります」とお叱りを受けてしまいました。
この記事の目安時間は3分です
いつ行けるかは、その時にならないと分からない
教頭先生がおっしゃることは分かります。でも、食事・睡眠は乱れ、1日中YouTubeを狂ったように見ている小1が「今日の予定を決める」ことは大変、とても、すごく難しいです。
年齢が7歳と幼いこともありますが、心が疲れ切っていて、意欲が感じられません。何かをしたい、何かを食べたい、そんな活発な感じではないのです。時々フッと気力が湧くときがあり、そのタイミングを待っているのです。
夜、学校の時間割を見ながら聞いてみます。
父「どの時間に行く?」
さんち「・・・・・・」
何も答えません。
翌朝
母「今日はどんな予定にしようか?」
さんち「・・・・・・」
母「4時間目と給食? 給食だけ?」
さんち「・・・・・・」
母「学校に電話して、予定を言わないといけないんだよ~」
さんち「・・・よじかんめ(小声)」
正直なところ、予定の見通しが立てられるような状態なら、そもそも不登校になっていないよな、と思うのです
個別対応が必要な子どもに、学校は…
さんちは1音目が出ない吃音もあるので、本人がとてもしゃべりたいと思っていること以外は、スムーズに言葉で発してくれません。心が崩れてからはカードや指差しでの意思表示もできなくなりました。急かしてはいけないので、行きたくなるまで待つのがいいのでしょうが、そうすると、ふっと「今から行くかなー」と午前10時頃に言い出す日もあれば、ずっと黙っていて夕方になる日もあります。
予定を決めることは、心のエネルギーが減った人にはとても難しいですから、できればこんな感じで「その日に出来ること」に合わせて行動したいのです。
そういうわけで、今まで給食の時間あたりで、さんちの心の向くままにふらっと学校に行っていました。家を出る前に学校に「今から行きます」と連絡し、5分後に到着していたのです。
でも、よく考えてみると、教室に入れずに個別対応が必要な子どもが5分後に来るということは、「どの先生の手が空いているのか」を考えないといけないわけです。
妻が学校に数日付き添ってみて分かったのですが、支援を必要とする普通学級の子は多いです。教室に入れなくて保健室や職員室にいる子、時々給食だけ食べにくる子、授業中に教室にいられなくて学校中をふらふらしている子、そもそも学校に来られない子。6学年全体で少なくとも5~6人の子を見かけました。数日間に見かけただけで各学年1名程度、個別対応が必要な子どもたちがいます。
例え、予定通りにならないとしても
子が学校にいる間の事故やけがは学校の責任になります。そこで集団から出ている子ども1人ひとりに補助の先生がついています。しかし、そういった人的資源も有限です。さんちにはその補助教員がついていないので、手の空いた先生が個別対応することになります。
そうすると、「いつ来るのか? いつまでいるのか? 教室には入れるのか? 保健室にいるのか? 会議室にいるのか?」
こういった先行きが見えないと先生方は困ります。
私が勤務している医療現場でも「ほう・れん・そう」は基本ですが、教育現場でも、親の立場であっても怠ってはいけないことを実感しました。
<まとめや次回予告>
その後は、さんちの負担になるとは思いながらも、朝8時にさんちの気持ちと予定を確認して、学校に「4時間目の体育を見学して、給食を食べて帰ります」のように予定を伝えています。当然、朝の気分とは変わっていってしまうので、予定通りの行動がとれないことはよくあります。
先生方は日々の業務で大変忙しい中、集団からはみ出る子の対応をしていただいて、感謝しかありません。
外科医師。妻(看護師はっは)と発達障害3児の育児中。記事中のイラストは、看護師はっはが担当。著書『発達障害の子を持つ親の心が楽になる本』(SBクリエイティブ)が2024年9月発刊予定。
・ブログ:「うちの凸凹―外科医の父と看護師の母と発達障害の3姉弟」
・ブログ:「発達障害の生活は試行錯誤で楽しくなる」
・note:https://note.com/titti2020/
・Twitter:@surgeontitti
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