うちの凸凹−外科医と発達障害の3人姉弟− 10億あれば、発達障害は見えなくなる?「お金」に関する正直な思い。
- 作成:2022/03/21
こんにちは。外科医ちっちです。発達障害の子3人の子育てを通して思ったこと、役に立った情報の発信をしています。今日は、皆が本音を言いづらい、障害のある子どもを育てる家庭の「お金」の話です。清貧を美徳としやすい社会において、お金に関して率直に話す機会は少ないですが、発達障害児の親として感じたことを知ってほしく、率直に書きました。
この記事の目安時間は3分です
発達凸凹の子を抱えての共働きはハードルが高い
発達凸凹の子の子育てをしていて思います。
もし、私に資産が10億あって、広い家に住んでいて、お手伝いさんを雇えて、親が家事をしないでいいなら、「この癇癪や問題行動は、そもそも起きなかったんじゃないか」と思うことが、半分以上あります。
困りごとの半分くらいは、「発達障害があるから」ではなく、「発達障害の特性で、本人はやりたくないやり方でやらないといけない」から起きるからです。
「本人のペースで、本人のやりたい方法で」とはいかなくても、「大人が横にいて気持ちを聞きつつ、ゆっくりと誘導する」程度のことでも癇癪や問題行動は減ります。
一方で、収入を追求しようにも、発達凸凹の子を抱えての共働きはハードルが高いです。家事も本人達のこだわりに合わせるために量や手順は増えがちで、大人側の時間や金銭だけでなく、精神的な余裕さえ確保しにくい。
片方だけ働くとしても、あまり長時間拘束される仕事は避けたくなります。一人で抱え込むのは大変なことが多く、配偶者の健康のためにも、子どもに余裕を持った対応をする上でも、早く帰宅できるというのは重要です。
しかも、その状況は子どもが成長したからといって改善してくれません。年齢が変われば、その時々の別の困りごとが発生します。増えてしまうことすらあります。
ほしい支援はダントツで「頭数・人手」
可愛いし、自慢の子たち。何の偽りもなく、そう断言できます。
でも、生活することが大変なのも事実です。
「子が発達凸凹だから、お金がほしい」と主張している訳じゃないです。
「無限に支援をよこせ」と主張したいわけでもないです。
支援として何が欲しいかで言えば、ダントツで「頭数・人手」です。
でも、今の制度では欲しい時に・簡単に・すぐに人手を集める支援はありません。
核家族で、親族が近くにいない場合に人手不足を解決でき、最も単純かつ強力な方法は「お金」になるのも事実です。
発達凸凹の子を抱えると、子どもの対応のために、仕事をして稼ぐことは難しくなります。
急に学校に行けなくなる
急に母と離れられなくなる
急に特定のメニューしか食べられなくなる
そんなことは珍しくなく、こういった対応をしつつ、それでも勤務できる職種は限られます。
でも、こんな事実は広まりません。短く言ってしまえば、「お金を欲しがる障害児の親」なんて、コンテンツとして見たい人がいないから。
健気で天才な障害者や、それを献身的に支える無欲な保護者は、目を引くコンテンツになる。逆に言えば、そうでなければ、メディアも、そして行政・政治も取り上げないし、対応しない。
「お金が全てを解決する」わけではないです。多分、10億持っていても、子どもたちの特性に悩む日々でしょう。それでも断言できるのは、「子どものために家計に影響なく使える預金残高があれば、解決できる困りごとも、沢山ある」ということです。
部屋の掃除や、常備菜の準備を手伝ってもらえるだけで助かる
<まとめや次回予告>
「お金が欲しい」という思いを表に出すことは、ネガティブに捉えられがちですが、40歳になって思うのは、「お金で解決できる問題は、若い頃に思っていたことより沢山ある」と言うことです。
子育てで、部屋の細かい掃除や、常備菜の準備を手伝ってもらえるだけで助かる部分はあって、発達障害の子の場合は、更に「親が余裕のある状態を保てる」というのはお互いにとって大きなメリットになります。
では、「家から出にくい、細切れの時間しか確保できない」という状況の発達障害の子の親御さんが、どうやったら稼ぎやすいのかまでを発信できたらよかったのですが、自分自身、試行錯誤でまだ答えを出せていません。
今回の記事に関しては不快に思われる方、反感を感じる方居られると思いますが、結婚や出産前に自分に送りたい言葉として記事にしました。
外科医師。妻(看護師はっは)と発達障害3児の育児中。記事中のイラストは、看護師はっはが担当。著書『発達障害の子を持つ親の心が楽になる本』(SBクリエイティブ)が2024年9月発刊予定。
・ブログ:「うちの凸凹―外科医の父と看護師の母と発達障害の3姉弟」
・ブログ:「発達障害の生活は試行錯誤で楽しくなる」
・note:https://note.com/titti2020/
・Twitter:@surgeontitti
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