妊娠時に必要な「葉酸」 必要なタイミングは?オススメのサプリはある?

  • 作成:2021/11/06

一般的に、若い女性は妊娠前の段階から「葉酸」を摂取しておくことが推奨されています。これは、葉酸の摂取によって胎児の先天異常を減らせることがわかっているからです。 食事に気をつけているだけでは十分な葉酸を摂れないことも多いため、必要に応じてサプリメントなどを活用することになりますが、サプリメントはどんなものを選べば良いのでしょうか?

この記事の目安時間は3分です

妊娠時に必要な「葉酸」 必要なタイミングは?オススメのサプリはある?

「葉酸の摂取」が大事な理由~妊娠初期は普段よりたくさん必要になる

妊娠のごく最初の段階では、胎児は脳や脊髄の原型となる“神経管“を頑張って作っています。「葉酸」が不足するとこの”神経管“をうまく作ることができず、神経管欠損というトラブルを起こすことがあります。

「葉酸」は、野菜などにも含まれているもののため、普段であれば普通に食事を摂っていれば目立って不足するようなものではありません。しかし、妊娠初期の妊婦さんは、自分だけでなくお腹の中の胎児も多くの「葉酸」も必要としているため、普段通りの食事では不足してしまいます。特に日本人の場合、「バランスの良い食事」を心掛けるだけでは、この妊娠初期において「葉酸」が必要な量に達しないことが多い傾向にあります1)

そのため、妊娠初期にはサプリメント等を活用して「葉酸」を追加摂取することが必要になってきます。実際、1日に0.4mgの葉酸をサプリメントで追加摂取することによって、神経管欠損のリスクは25~30%ほど減らせることもわかっています2)

「葉酸」が必要な量含まれていれば、基本的にはどれを選んでも良い

ではこのとき、どんなサプリメントを選べば良いかというと、1日に0.4mg=400μgという必要な量の「葉酸」を摂取できるものであれば、値段の安いもの、飲みやすいもの、近所のスーパーで気軽に購入できるもの・・・基本的にどれを選んでもらっても大丈夫です。

ただし、胎児のために摂るのが推奨されているのは「葉酸」です。普通の食生活を送れている現代日本人であれば、その他のビタミンなどを敢えてサプリメントで摂る必要はありません。特に、妊娠中の安全性が確認されていないハーブ等を含む商品は、避けることをお勧めします。

高価なものを節約しながら飲むようなことになっては本末転倒です。「葉酸」だけのサプリメントであれば、安価で使いやすいものがたくさんありますので、継続しやすいものを選んでもらうのが良いでしょう。

※偏食、食生活が不規則といった理由で「バランスの良い食事」が難しい場合には、個々にかかりつけの産科医と相談してください。

葉酸の摂取は、「妊娠に気付いてから」では遅い

「葉酸」は、妊娠していることが判明してから摂れば良い・・・と考えている人も多い3)ようですが、多くの「葉酸」が必要になる時期、つまり胎児が神経管を作るのは妊娠のごく初期、妊娠の3週目から8週目くらいにかけての期間です。通常、妊娠していることに気付いた時点で、この段階は始まっていますので、このタイミングから「葉酸」を摂っても手遅れになってしまいます。そのため、妊娠していることが判明する前・・・妊娠前からなるべく摂取しておく必要があります。

身近に相談できる医師・薬剤師を見つけておこう

日本でも7~8割の妊婦さんが、妊娠の際には「葉酸」が大事だということを知っている、という調査結果があります4,5)。しかし、大事だということはわかっていても、実際に妊娠前から「葉酸」を追加で摂っていた人は少なく、特に24歳以下の若い世代では「葉酸」の重要性そのものも知らない人が多いという傾向もあり、まだまだ十分な周知がされていません。インターネットの情報では、それが正確な情報なのかどうかの判別が難しいということも多いでしょう。他にも、先に紹介した「妊娠していることがわかってから摂取すれば良い」と思っている人 や、インターネットなどで“必要以上に高額なサプリメント”を購入していることで家計が圧迫され、食生活などに支障を来たしてしまうケースも見受けられます。

こうしたトラブルを減らすためにも、身近に気軽に相談できる医師・薬剤師を見つけておくことをお勧めします。「医師や薬剤師は忙しいので、こんなことくらいで相談に行っては怒られる」・・・と 思われる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。不安なこと、心配なことがあれば、いつでも相談をしてもらえたらと思います。

1) J Obstet Gynaecol Res. 2011 Apr;37(4):331-6
2) Am J Clin Nutr. 2007 Jan;85(1):285S-288S.
3) Nihon Koshu Eisei Zasshi . 2014;61(7):321-32.
4) Public Health Nutr . 2018 Mar;21(4):732-739.
5) Congenit Anom (Kyoto) . 2017 Sep;57(5):171-172.

執筆:薬剤師K 調剤薬局勤務、薬剤師10年目

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