尖圭コンジローマの症状 放置は危険?男性と女性の違い。妊娠中に発覚した場合など解説
- 作成:2017/01/20
尖圭コンジローマは性感染症ですので、男性、女性ともに性器に症状が出ることが多いですが、口に症状が出ることもあります。また、妊娠中に尖圭コンジローマが発覚した場合、母子感染を起こす可能性があります。どのような症状なのかや、放置する危険性を含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は6分です
目次
- 尖圭コンジローマ 気づきにくい?
- 尖圭コンジローマの症状はどんなもの?
- 口や喉に症状が出る?キスも危ない?
- 女性と男性で症状違いがある?
- 尖圭コンジローマは放置しても大丈夫?
- 妊娠中にコンジローマが発覚
- 妊娠中に治療できる?
尖圭コンジローマの初期症状は気づきにくい かゆみは?
尖圭コンジローマは3週間から8か月(平均2.8か月)の潜伏期間を置いて発症します。一般的には自覚症状に乏しいですが、陰部に疣(いぼ)のようなものができるのに気付いたり、掻痒感(かゆみ)、違和感、帯下(おりもの)の増量、痛みなどの症状が最初に現れることが多いです。
しかし、一般的にはなかなか気づきにくいのが実際であり、男性どうしの性的接触では肛門や肛門内部、女性では膣内部や子宮頸部など目に見えない部位発症することもあるため、より発見が難しく、かなり進行して目に見えるようになってから気づかれる場合も多いようです。
したがって、普段から自分で触れて、いぼのようなしこりがないか確認することや、いつもと違うかゆみやおりものの増量が起きていないかなどを意識的に気を付けておき、異常があれば早めに医療機関を受診するようにしましょう。
尖圭コンジローマの症状はどんなもの?
尖圭コンジローマの主な症状としては疣(いぼ)のような腫瘤以外にはあまり特徴的なものはなく、それが余計に発見を遅らせる原因となっています。尖圭コンジローマは性的接触を介してヒトパピローマウイルス(HPV)に感染して発症するため、いぼは性器や肛門に多く見られます。いぼが全体的に乳頭状や鶏冠(とさか)状で、「カリフラワー状」とも表現される形をしており、大きさは1mmから3mmほどです。色に関しては白色や赤色から赤褐色ですが、形・色ともにさまざまです。
いぼは単発であることもありますが、一般には多発することが多く、密集して発生することもあります。放置しておけば、らに大きなものになります。特に女性では性器が見づらく、お風呂で身体を洗っているときに気付いたり、いぼが大きくなり歩行時などに違和感を感じて気付く場合もあります。
口や喉に症状が出ることがある?キスも危ない?
尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルス(HPV)が。皮膚や粘膜の小さな傷から感染して発症します。症状が出現する場所の多くは性器や性器周囲、肛門周囲などですが、まれに口の中にに感染し、症状がすることもあります。性器と口の接触(オーラルセックス)などによって口腔内の粘膜から感染し、性器に出現するいぼと同じように小さなブツブツができることがあります。
口腔内に発症した場合には、性行為だけでなく、キスで他の人に移す可能性もありますので注意が必要です。また、放置しておくと徐々に新しい症状が出て広がりを見せることが考えられますので、疑われる際には口腔外科や耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。
女性と男性で症状違いがある?
男性と女性では基本的に症状は同じです。男性では亀頭や陰茎、陰嚢(いんのう)の表面にいぼが多く見られます。また、男性の場合では肛門を介した性的接触によって肛門周囲や内部にも生じることがあります。放置して重症化すると、「カリフラワー状」という状態にもなります。また、症状としては増殖した疣によって尿道が圧迫されて排尿や射精が困難になる場合もあります。
一方、女性では膣や大小陰唇など性器周囲に多発していぼが見られます。女性の場合、膣内部に発症するとなかなか気づきにくいこともあります。かゆみやおりものの増量があれば、違和感があれば、早期に医療機関を受診することが大切です。また、妊娠時の感染があれば、出産時に新生児への感染を起こす可能性があります。その感染で、子供のの「気管支乳頭腫」という重大な病気につなる可能性があり、大きな危険性も考えられます。また、ヒトパピローマウイルス(HPV)には多くの種類があり、複数の型が同時に感染する事もあります。ウイルスの型によっては子宮頸がんのリスクにもなりますので、注意が必要です。また、
尖圭コンジローマは放置しても大丈夫?
尖圭コンジローマの進行には個人差がありますが、放置した場合には症状が広がったり、いぼの数が増えることがあります。男性の場合には亀頭を覆うほどにいぼが成長することもあります。一般に尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルス(HPV)の中でも良性の型が原因の感染症ですが、中には悪性の型のHPVが見つかることもあります。悪性型のHPVは男性の場合には陰茎癌(がん)、女性では子宮頸がんを発症する危険因子となります。したがって良性疾患とはいえ、他の型のヒトパピローマビールスの同時感染による発がんの可能性もありますので、早めの検診を行うことが大切と言えます。
また、コンドームは有効な予防策ですが、病変の広がりなどによっても完全に防げるものではありません。尖圭コンジローマを放置した場合にはパートナーにも感染させる危険性が高いので、人に移さないという点からも放置は決して良くありません。
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妊娠中にコンジローマが発覚 胎児や生まれてくる子供に出る?
妊婦が尖圭コンジローマに感染した場合、頻度は0.1~1.0%とあまり高くありませんが可能性は高くありませんが、産道を介して胎児に感染(「垂直感染」と言います)する危険性があります。したがって、分娩前に必ず治療することが大切です。
新生児が感染した場合、大人と同様に外陰部に尖圭コンジローマを発症したり、「喉頭乳頭腫(こうとうにゅうとうしゅ)」という病気になる場合があります。喉頭乳頭腫もHPVが原因とされており、喉頭という喉(のど)の部分に腫瘤(はれもの)が発生します。声帯に生じた場合には、声がかすれた「嗄声(させい)」という状態になりますが、声帯以外では、気道を閉塞させるほど大きくならないと気付かれないことも多いのですが、時に呼吸困難などが起き、命に関わることもあります。有効な治療薬はなく、レーザー等を用いた外科的な治療が必要になります。
したがって、妊婦の膣内など産道に尖圭コンジローマがあり、大きさや病変の広がりによっては帝王切開が望ましい場合もあります。
妊娠中に治療できる?
しかし、妊娠中の治療における問題点としては薬物療法を行えないことが挙げられます。妊婦以外の成人ではベセルナ(一般名:イミキモド)や10%程度のポドフィリンアルコール溶液の塗布が有効ですが、これらの薬物療法は、動物実験で胎児体重の減少傾向が確認されたとの報告もあり、おすすめできません。
したがって妊娠中の治療法としては、液体窒素による凍結療法、電気焼灼(しょうしゃく)、CO2レーザーによる除去が有効となります。また、治療を行っても周辺の皮膚や粘膜にもウイルスは潜伏感染している場合もありますので、新生児の感染が疑われる場合には症状がなくても2年間は経過観察する必要があります。
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尖圭コンジローマと治療、妊娠の関係についご紹介しました。「何かの性病かもしれない」と不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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