うちの凸凹−外科医と発達障害の3人姉弟— 前兆なし。突然始まった不登園…ひきこもりになった4歳次男〈前編〉

  • 作成:2021/12/31

こんにちは。みなさん、毎日の子育てお疲れ様です。外科医のちっちです。今回は、我が家の次男さんちに起こった “不登園”をテーマにしたいと思います。 令和元年度の小・中学校における不登校の児童・生徒は約24万人です。学年が上がるほど増えていき、不登校もしくはその経験者は、どのクラスにも1人や2人いる計算に。子どもがなまけているわけでも、親の愛情不足でもない。誰が悪いわけでもない。誰にでも起こりうることなのです。

外科医ちっち 監修
 
外科医ちっち 先生

この記事の目安時間は3分です

登園はおろか、1階のポストに行こうとするだけで大暴れ

次男さんちは、人懐っこく明るい性格です。3番目ということもあり、姉と兄が怒られているのを見て、事前に回避したり、ニッコリ笑って「ま、いっかだよぉ?」とごまかしたりなど、人間関係のこなし方が上手いと感じる子どもです。
自分の世界に没頭していることが多く、2歳にして勝手に一人で散歩に出かけてしまい、警察に保護されたことも。やけどをしても黙って耐えて、翌日周りが気づいたこともあるくらい主張するのが苦手な子です。児童精神科医の診断は、自閉症の傾向はあるが、様子見とのことでした。
親側から見ると、「他人に予定を決められることが極端に苦手」な長女いっちや、「緊張するとかんしゃくを起こしてしまう」長男にっちよりも、精神的に安定していると思ってしまっていました。
そんな次男さんちは、3歳で幼稚園に入園するまでは、家庭でほとんどの時間を母親と2人ですごしていました。

うちの凸凹−外科医と発達障害の3人姉弟—前兆なし。突然始まった不登園…ひきこもりになった4歳次男〈前編〉

さんちが通う幼稚園として選んだのは、クラスメートが10人以下の小規模の園です。少ない人数だから、初めての集団生活の負担も少ないだろうと思ったのです。その見立て通り、行き渋りもなく、入園半年後の10月2週目まで皆勤賞でした。

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しかし、ある秋の日、さんちは喘息の発作で1週間欠席しました。症状の酷かった初日は座ってしか眠れず、入院も相談するほどでしたが、外来通院で何とか少しずつ改善しました。
やっと呼吸や咳が落ち着き、「そろそろ幼稚園行こうか?」と声をかけると、「もうちょっと休む」。そう答えることが1週間ほど続き、「あれ?」と思いつつ、朝誘っても断られることがさらに1週間。
「もしかして、これって不登園?」と思いつつ、とりあえず朝1回は、「今日は幼稚園はどうしようか?」と声をかけていました。その後も「まだいけないと思う」と繰り返し、休み続けるさんち。
症状は改善するどころか悪化し、幼稚園ばかりでなく、家のドアから出る事すら難しくなり、1階のポストに新聞を取りに行こうと抱っこするだけで、「いや!いや!家にいたい」と泣き叫んで嫌がります。
気づけば最初の欠席から1カ月が経とうとしていました。

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「どーが」と「ころっけ」。不登園とともに現れた強いこだわりとかんしゃく

引きこもって1カ月も経つと、家での時間を持て余してしまいました。
この時、我が家では初めてAmazonプライムでアニメを見せました。今まで主に見ていたのは、こどもちゃれんじのDVDだったので、終わりまでくれば「おしまい」を理解することができました。しかし、プライムビデオは終わりがありません。1時間、2時間と経過し…「そろそろやめようか」と声をかけるも、さんちは無視するか、「まだみる」。

これ以上は、さんちの目にも良くないと、iPadを取り上げると…私たちは驚きました。
のんびり穏やかなさんちのはずが「鬼の形相」。まるでかんしゃく中の長男にっちです。暴れる、殴る、蹴る、物を投げる、自分を叩く。見ているだけで苦しくなるさんちの態度。
この時期のさんちは、かんしゃくを起こしているとき以外の人相もすっかり変わり、つり目でいつも怒っていました。

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夕食の「コロッケ現象」は連続60日を記録

同時に食事にも異変が起こりました。
いつもと同じように食卓を囲んだとき、急に「ころっけー、せーきょーのころっけー」の大音声。
今まで、「コロッケが好き」とか「今日はコロッケを食べたい」って言ったことはありません。コロッケを生協で買ったこともなければ、家で作ったことも数えるほど。しかし、30分以上泣いてわめいて、どうにもなりません。
そこでビチビチまぐろ状態のさんちを車に乗せ、生協に連れて行きました。すると、ぴたりと泣き止み、惣菜コーナーのコロッケを指さしました。

そして、この夕食時の「コロッケ現象」は、なんと連日60日以上も続いたのです。
この時期の、さんちの1日は動画を見て、コロッケを食べるだけになってしまいました。

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幼稚園ではまったく予定通りに動けず違和感を感じた長女いっちや、ちょっとでも引っかかることがあれば大声で泣きわめくことが多く、登園渋りもよくあった長男にっち。幼稚園時代に問題行動が起きていて、そのあとで自閉スペクトラム症の診断を受けた上の2人と違い、幼稚園に通い始めて半年間は特に困ることもなく人懐っこかった次男さんち。

そんなさんちが、幼稚園どころか外出すらろくに出来なくなってしまい、顔つきも変わってしまいました。私は妻と2人でどうしていいか悩む毎日でした。
次回後編で、どのように対応したかをご紹介します。

外科医師。妻(看護師はっは)と発達障害3児の育児中。記事中のイラストは、看護師はっはが担当。著書『発達障害の子を持つ親の心が楽になる本』(SBクリエイティブ)が2024年9月発刊予定。
・ブログ:「うちの凸凹―外科医の父と看護師の母と発達障害の3姉弟
・ブログ:「発達障害の生活は試行錯誤で楽しくなる
・note:https://note.com/titti2020/
・Twitter:@surgeontitti

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