仕事上の注意を不快にしか感じない。自分の考え方がおかしいの?

  • 作成:2021/12/04

AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、仕事上で注意されても不快にしか感じず、悩んでいる方からのご相談です。

この記事の目安時間は3分です

仕事上の注意を不快にしか感じない。自分の考え方がおかしいの? 仕事上の注意を不快にしか感じない。自分の考え方がおかしいの?

【今回のお悩み】
仕事のことなのですが、常に思考が定まらず、深く考えると行動が止まってしまうことがあります。上司や先輩に注意をされると不快にしか感じず、指摘されたことの改善に思考が向かないことも多々あります。これは自分の考え方がおかしいだけなんでしょうか?(20代・男性)

【医師の回答】発達障害がある人は、社会に出た時に「落差」を感じ、落ちこむことも

考えがうまくまとまらない感覚が、お仕事中に特に目立って困ってらっしゃるのですね。自分でもどうにかしたい気持ちがあるのに、注意をされてしまうと、ただでさえ優先順位がついていないものがより混乱されるのではないでしょうか。
それでも、注意をされた内容がもっともだと思うからこそ、改善しなければと思うし、なかなかそこに気持ちが向かわないことに苛立ちを自覚されてもおかしくないように思います。

相談者さんは、幼い頃から寝食を忘れるほど何かに没頭したり、色々なことに興味をひかれやすかったり、忘れ物が多かったり、段取りが苦手だったり、期日が守れなかったり、集団行動が苦手だったりといった特徴はなかったでしょうか。
単にお仕事に慣れていないだけという可能性もありますが、もしかすると生まれつきの発達の偏りがあるかもしれません 。

特定の分野は得意なのに、それ以外は苦手といった凸凹は、誰しも大なり小なり認めるものです。このような得意不得意の差が極端に大きい場合に、発達障害という診断がつくことがあります。
あくまでその方の特性のひとつであり、発達の偏りがあるから悪いということはありません。しかし、高い能力を持ちながらも生きづらさを抱えている人の中には、発達障害が隠れていることも少なくありません。

ご家族やご友人に恵まれていると、多少の違いは「面白い子だな」とプラスに受け止められて、本人も安心して過ごせます。しかし、社会に飛び出したときには、これまでのように特性を理解してサポートされていた環境との落差を埋められずに不適応を起こし、二次的に気分の落ち込みや不安、いらいらなどの症状を認めることがあります。

近年は、大人の発達障害外来も増加しておりますので、一度受診して、ご相談してみてはいかがでしょうか。ご自身の得意不得意が明らかになれば、解決の糸口がみえてくるのではないかと思います。
いっぱいいっぱいになってしまった頭の中が整理されることで余裕ができ、やりたいと思ったことをスムーズに実行できるようになれば、集中力があがり、本来の実力を発揮できるのではないでしょうか。

林 安奈(はやし・あんな)/精神科医・産業医

VISION PARTNERメンタルクリニック四谷 パートナー医師

東京女子医科大学医学部医学科卒業。東京女子医科大学病院にて臨床初期研修修了後、東京女子医科大学精神医学講座に所属し、同大学の緩和ケアチームや吉祥寺病院等で精神科医として研鑽を積みつつ、医学博士号取得。現在は多くの企業で産業医としても活動している。

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